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企業の責任が問われるバイトテロ~一夜漬け教育で防げるのか?

企業の責任が問われるバイトテロ~一夜漬け教育で防げるのか?

(2019年3月 8日更新)

 
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昨今、頻発するバイトテロは、企業の責任が問われる問題として捉えられています。非正規社員の一斉研修に踏み切る企業も出てきましたが、今回は、その対応の在り方について考察します。

 

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会社組織の「4つのジンザイ」とは?

会社には4つのジンザイがいる、というのは社会人であれば誰もが一度や二度は耳にしたことがあると思います。4つのジンザイとは「人財・人材・人在・人罪」のことです。

 

【4つのジンザイ】

人財・・・質の高い仕事の成果を上げ、人間性・専門性ともに成長を続けるジンザイ

人材・・・質の高い仕事の成果を上げるに至っていないが、成長が期待されるジンザイ

人在・・・組織にとって害はないが益もない、無益無害なジンザイ

人罪・・・組織にとって害を与え益のない、無益有害なジンザイ

 

上記の4つのジンザイは、多くの場合「人材が育てば、人財に」「人材が育たなければ、人罪に」といったイメージで語られるように思います。しかし、筆者はそのようには考えません。人の命は財産そのものです。「労働力人口」という言葉もありますが、とくに少子高齢化が進む現代においては、「働き手としてその人がいる」ということは、それだけでもすでにいち会社組織のみならず、社会全体にとっても大きな財産であるとも言えるわけです。

 

「バイトテロ」は、企業で人罪を育ててしまった結果?

それに、「育ったから、育たなかったから」というのも少しズレているのではないでしょうか。私は、「育たなかったから、人罪になった」のではなく、「人罪に育ってしまった」と考えます。なぜそのように考えるのかというと、そもそも生き物は「育たない環境では、生きていけない」からです。

動物にして植物にしても、育たないところでは育たないし、育つところでは育ちます。たとえば、栄養豊かでキレイな海では美味しい魚に育ちますし、水が汚染されたような海では臭くてまずい魚、食べられない魚に育ちます。しかし、たとえ水の中であっても魚が育たない環境には魚は一匹もいません。それは植物であっても、人間社会でも同じことです。

昨今「バイトテロ」が社会問題になっていますが、「育たなかった」のでははく、「育つべくして育った」結果のバイトテロなのです。

 

従業員の資質が原因?

私は前回の記事「相次ぐ「バイトテロ」の原因~働く人の幸せと会社組織の在り方を考える」で、バイトテロの原因に本人の資質ももちろんあるが、そのような人物が育ってしまう職場環境になっていないかを、組織の側も自問自答していかなければならない、と説きました。

バイトテロが発生するのは、そのようなことを起こしてしまう従業員本人たちの資質もあるかと思います。本人たちも仕事に対して「収入を得るための労働」としか捉えていないのかもしれませんし、もしかするとそれ以下にしか思っていないのかもしれません。それはその人たちが、それまでの人生の中で(家庭環境や学校、前職なども含めて)学んできた負の価値観です。

ですが、最初はそうだと思っていたとしても、仕事の達成感や感動を共有できたり、職場が自己成長の場だと感じられるようになったり、尊敬できる先輩や仲間ができたりと、収入のためだと思っていた仕事に対して、それ以上の価値を見出すことができるのもまた、社会で働くことの大きな大きな魅力です。

 

一夜漬け教育だけでは幸せな会社は築けない

バイトテロのような問題が発生すると、多くの組織では対応として全社員での研修会などが開かれたり、新たな規則が設けられたりします。これは組織によっては当然やらなければならない大切なことかもしれません。それをしなければならない組織は、これまでそれすらもしていなかったということなのですから……。

ですが、そのような一時的な教育だけでは、バイトテロのような問題は、なかなか根本的な解決には至りにくいことでしょう。なぜならば、バイトテロを犯してしまう従業員も、その組織も、感性が低い(または仕事を通じて感性が磨かれない職場である)ことに本質的な原因があるからです。

ホワイト企業と呼ばれるような組織は、共通して組織も人も感性が高いという特徴があり、それは一朝一夕ではなく皆丁寧な人財育成の積み重ねによって磨かれています。尊敬信頼する上司や先輩に恵まれ成長する中で、自身も部下や後輩に対して尊敬信頼され見本となる人物でありたいと思えるようになる。目の前の仕事を通じて仲間と働くことの価値を一緒に見出し、仕事から得られる成長や感動を分かち合える組織。そのような組織を築くためには、仕事の内外で丁寧に感性を磨くことを、組織として積み重ねていくほかありません。

 

企業の人財育成が担うもの

本人たちの資質や、それまでに歩んできた人生の話となると、「それはもう会社としては、どうしようもない」となってしまうかもしれませんが、そうではありません。たとえこれまでが不遇であったとしても、その後の人生で大切なことを学び幸せをつかむ人々は沢山います。その反対に、恵まれた環境に生まれ育ったにも関わらず不幸になる人々がいるのも事実です。そして、職場環境や企業における人財育成は、本人たちのこれまでの人生の遇不遇に関わらず、一隅を照らすことのできる大切な機会なのではないでしょうか。

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。


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