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優れたリーダーは、組織で働く人の心を「目的と目標」でつなぐ

2019年2月28日更新

優れたリーダーは、組織で働く人の心を「目的と目標」でつなぐ

優れたリーダーのもとでは、組織も人も成長を重ね、質の高い仕事の成果を生み出し続けます。リーダーは、何をもって、ともに働く人々の心をつないでいるのでしょうか。

 

 

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優れたリーダーは仲間をつくる

過去2回にわたって、組織におけるリーダー(指導者)とアジテーター(扇動者)の違い、そしてそれぞれがもたらす影響についてお伝えをしてきました。今回はリーダーとアジテーターの4つの違い「3.リーダーは共通の仲間をつくり、アジテーターは共通の敵をつくる」について、具体的に解説いたします。

 

【リーダーとアジテーターの4つの違い】

1.リーダーは勇気や希望で先導し、アジテーターは恐怖や怒りで扇動する

2.リーダーは問題解決を図り、アジテーターは問題対処に終始する

3.リーダーは共通の仲間をつくり、アジテーターは共通の敵をつくる

4.リーダーは仲間を主役にし、アジテーターは自分を主役にする

 

リーダーは共通の仲間づくりが得意

組織で仕事をするということは、ともに働く人同士で助け合い、より良い仕事の成果を生み出していくことです。リーダーにしろアジテーターにしろ、組織だって仕事をする以上は、この「ともに働く人々」づくりが必須です。そして、ともに働く人々を募るためには、その人たちの心をつなぐための共通項が必要となってきます。

しかしリーダーとアジテーターでは、そのともに働く人々づくりに必要な、人と人との心をつなぐ共通項に大きな違いがあるのです。

リーダーと呼ばれる人物が、何をもってともに働く人々の心をつないでいるのかについてですが、リーダーはともに働く人々の心を勇気や希望が湧いてくるようなワクワクする「目的と目標」によってつないでいます。そしてこれは、リーダーとアジテーターの4つの違いの「1.リーダーは勇気や希望で先導し、アジテーターは恐怖や怒りで扇動する」にもつながってくる部分です。

共通して目指したいもの、達成したいもの。リーダーと呼ばれる人々は、そのような共通項を生み出し指し示すことに長けています。共通して目指すもののために、ともに成長し助け合える存在、それが仲間です。リーダーは、仲間をつくることが得意なのです。

 

吉田松陰の言葉が示すもの

ではなぜ、リーダーは人と人との心をつなぐことができるような「勇気や希望が湧いてくるような、ワクワクする目的目標」をつくり出すことができるのでしょうか。それは、リーダー自身がその目的目標に一番ワクワクして取り組んでいるからです。

幕末第一級の志士、吉田松陰は次のような言葉を残しています。

「志が一度確立すれば、人に求めたり世の中に願ったりすることもなく、断固として一人でも楽しみながら実行する」

29歳で世を去るまで、志と情熱を絶やすことなく走り抜けた吉田松陰。その人生は上記の言葉を、まさにそのまま体現した人生だったと言えるのではないでしょうか。

リーダーが一己の利を捨て、誰かのため何かのためになると心から信じ動いているからこそ、その磁力に対して共感した人々も集うというものです。

 

アジテーターは共通の敵づくりが得意

一方のアジテーターは、共通の敵づくりが得意です。たとえば、組織の外に怒りの対象となるような憎むべき相手をつくり出します。そして、組織でともに働く人々に対して共通の怒りを植え付けます。怒りという感情は人間の行動の源泉になりますので、アジテーターはその「怒り」という感情をともに働く人々に植え付けることによって、その人々の心をつなぎ留めているのです。

では怒りでない場合は何をもって、働く人々の心をつなぎ留めているのでしょうか。それは恐怖です。典型的なたとえで言えば、スケープゴート(いけにえの羊)の存在です。アジテーターの指揮する組織では、その組織内にいじめや制裁の矢面に立つ人の存在があります。アジテーターの下にいるメンバーは、自分がスケープゴートの立場に立たされることを恐れ、「明日は我が身」をさけるためにも、アジテーターの機嫌を損ねないよう、仕事の成果を上げることが重要となってしまいます。

 

敵を外に求めるうちは、リーダーたりえない

リーダーの指揮する組織でもアジテーターの指揮する組織でも、表面的・短期的な視点で見ると、仕事の成果に大きな差がないように見える場合も多々あります。しかし、表面的には見ることができない水面下の部分や長期的な視点で見ると、リーダーの組織では、その組織も人も成長を重ね、質の高い仕事の成果を生み出し続けます。

そんなリーダーの組織に対して、アジテーターの組織では、組織も人もあまり大きな成長はありません。その理由の一つには、離反や離職の多さがあります。人や心の繋がりが希薄なため人の出入りが激しいので、成長の機会となる新しい仕事、より大きな仕事に向き合う機会がほとんどありません。現状維持で精いっぱいなのです。

しかしもっと問題なのは、たとえそのような成長や挑戦の機会に恵まれたとしても、その機会に対して「取り組むための目的・目標」をアジテーター自身も組織も持てていないため、挑戦する意義を見いだせないのです。組織を指揮するアジテーター自身が仕事を行う動機に怒りや恐怖を用い、そしてその怒りや恐怖の矛先を自分以外の誰かや何かに向けているからです。

敵とは自分の外に探すものではありません。敵は自分の心の中の、弱い部分に潜んでいるものです。敵を外に求めているうちは、人はリーダーたりえないということです。

 

次回は、【リーダーとアジテーターの違い】について「4.リーダーは仲間を主役にし、アジテーターは自分を主役にする」を解説いたします。

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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