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「怒り」=悪ではない。アンガーマネジメントでいう「健全な怒り」とは?

「怒り」=悪ではない。アンガーマネジメントでいう「健全な怒り」とは?

(2019年5月20日更新)

 
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アンガーマネジメントでは、長期的視野のもとで建設的な方向に発せられる「健全な怒り」を肯定しています。健全な怒りは、自己を成長させるエネルギーとなり、これを日々の具体的な行動に落とし込めば、ビジネスにおいて成果を出すことにもつながります。

 

「健全な怒り」は悪ではない

アンガーマネジメントでは、「怒り」を「健全な怒り」と「健全でない怒り」とに分類し、健全な怒りに対しては肯定的にとらえ、健全でない怒りに対しては否定的にとらえます。これについて、PHP通信ゼミナールの『「アンガーマネジメント」実践コース』では次のように説明されています。

 

はたして怒りに健全なものとそうでないものがあるのでしょうか。答えを先に言ってしまえば、健全な怒りとそうでない怒りはあります。

正確に言えば、怒りそのものが健全かどうかではなく、怒りを健全な方向に向けた考え方、行動があるということです。健全な方向とは、長期的に見たときに、自分にとっても周りの人にとっても健康的、建設的な方向になっているということです。

逆に健全でない方向というのは、短期的には良いと思えるような方向であったとしても、長期的に見れば必ずしも良い方向には向かっていないものです。

 

要は、怒りを感じた物事が、会社や部署、所属する人たち、個人、あるいはステークホルダーなどにとって重要であり、建設的に対処するのであれば、それは「意味のある怒り」だということです。さらに、そこに長期的視点があるかどうかも大切です。

 

自分自身に質問をする

怒っている物事に対して、短期的な解決方法をとることは、「一見すると健全」なように見えて、長い目で見ると健全ではない場合があります。例えば顧客が理不尽なクレームをつけてきたとして、それに対して意地になって強硬に反論することは「短期的な解決方法」だといえます。

これに対して、「自分にとって、周りの人にとって長期的に見たときに健全な選択肢は何だろうか?」と自問自答することで、怒りを健全な方向に向けることができるといわれます。

「怒りのピークの6秒間」(※前回記事参照)をやり過ごしたあと、この質問を思い出し、よりよい対処の仕方を検討すれば、その「怒り」は実りあるものに昇華していくはずです。

特にチームリーダーなどの立場にある人がアンガーマネジメントによって「長期的な視野」に立って考えるスキルを身につけることができれば、チーム全体もさまざまな事態に適切に対応できるようになるでしょう。

 

「事実」と「思い込み」について

「怒り」の感情が湧いてきたとき、人はどのようなことを考えているのでしょうか。怒りのきっかけは、何らかの「事実」であることが多いと思います。ところが、怒りが自分の中で増幅していくとき、そこに「自分自身の思い込み」が無意識に加わっていることが、案外多いのではないかと考えられます。

例えば何か事故が発生し、その原因を調べていくうちに、部下が隠し事をしていたことが発覚したとします。そのとき上司の心の中では、「ほかにも何か隠しているに違いない」という疑念が湧いてきて、部下を追及したくなることがあります。

しかし、「隠し事」が事実だったとしても、「ほかにも何か隠しているのではないか」と考えるのは、その上司の「思い込み」でしかありません。あるいは、その部下はあとで上司に報告しようと思っていて、たまたま先に人づてにその内容を知ってしまうケースもあり得ます。そうなると隠し事をしていたこと自体が「思い込み」です。

 

リーダーは「事実」に基づいて行動する

思い込みは「偏見」や「先入観」を生みます。そして偏見や先入観をもつと、目の前の「事実」をねじ曲げて見るようになります。これでは物事は解決しませんし、その人のその後の成長を妨げることにもなるでしょう。

そうではなく、情報の中から「事実を峻別」し、事実に基づいて対応すれば、それは経験値となり、その人の成長につながります。

特にリーダーとなる人物こそ、「思い込み」にとらわれず、「事実」に従って正しい選択・決断をしなければなりません。そうした優れたリーダーを育成していくためにも、アンガーマネジメントの導入は有効な手立てだということができるでしょう。

 

現状の不満・怒りを力に変えるための条件とは?

自問自答しながら健全な怒りを抱き、思い込みを排除して事実を見つめたあとは、「怒りを力に変えていく」ことが肝要です。アンガーマネジメントでは、「怒りを力に変えるための3つの条件」が挙げられています。

 

1.長期的な視点での目標設定

2.目標を達成するための具体的な行動の明確化

3.目標達成に向けた行動を毎日行なうための環境整備

 

長期的な視点での目標設定とは、例えば「自分がリタイヤするまでに、どのようなキャリアを積んでいくか」といった、10年、20年、30年単位でビジネスにおける目標を立てるということです。あるいは「会社の中長期の経営計画を念頭に置いて、それに対して自分は何を目指すのか」といった考え方も重要でしょう。

その目標達成ために、日々何を行っていくのかを、できるだけ具体的に決めることも大事です。「一カ月に何冊本を読む」「一週間に何社訪問営業をする」「毎日ウォーキングをして健康を維持する」等々、行動を明確化すれば、実行に結びつきやすくなります。

そうした行動をしやすい環境を整えることも忘れてはいけません。目標を周囲の人たちに発表して、後戻りできないように背水の陣を敷く、という方法もあるでしょう。あるいは、自分が能力を最大限発揮できるよう指導してもらう「パーソナルコーチ」を雇うケースもあります。

こうして「目標」と「現状」との差を縮めていくことで、「現状の不満への怒り」が、「自分や会社の成長のエネルギー」に変換できるのではないでしょうか。

 

 

※本記事はPHP通信ゼミナール『「アンガーマネジメント」実践コース』を抜粋・編集して制作しました。

 

通信教育アンガーマネジメント実践コース

 

課長研修

 


 

森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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