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リーダーとしての心の持ち方・考え方~コーチングQ&A

2018年11月 5日更新

リーダーとしての心の持ち方・考え方~コーチングQ&A

私は聴く力が不足しているということを研修で再認識しましたので、部下に安心感を与え、極力話しやすくするよう努めてきました。しかし、リーダーとしての責任感からか、自分自身があせり、結果を早く求めることがたびたびあったように思います。

リーダーとしての心の持ち方だと思いますが、どのように気持ちを変えればよいかをお教えください。

(永田三郎・営業マネジャー〈仮名〉)

*   *   *

永田さんの職場の実態やコミュニケーションの状況がわかりませんので、あくまで一般論になりますが、可能な範囲でアドバイスさせていただきましょう。

心の持ち方・考え方を変える「気づき」のヒント

永田さんご自身が書いておられるとおり、これは「心の持ち方」あるいは「考え方」に関する部分が大きいと思います。それだけに、これを変えるのは容易なことではありません。原則的に言ってもっとも大切なことは、永田さんご自身がどれだけ強く思うか、という「思いの強さ」です。これが大事だ、と気づくことは第一歩ですが、だからこうしたい、とどれだけ強く思えるかが、結果を変えます。ここでは、「気づきのヒント」を2つ提供しましょう。

(1)リーダーの最大の役割は「チームをより強い組織にすること」

どんなに小さなチームであってもその責任者の立場にある人にとっては、基本的に共通する2つの役割があります。第一は成果・業績をあげること、そして第二は自分の預かるチームをより強い組織にすること、です。

この2つの役割のうち、どちらが重要でしょうか。通常、多くのリーダーの関心は第一の役割に集中しがちです。しかし、実は第二の役割こそが優先課題なのです。詳しくご説明する余裕はありませんが、次のことをよく考えてみてください。

すなわち、「組織を強くすれば、成果・業績は必ず上がる、しかし、成果・業績が上がっている組織は強い組織かというと、必ずしもそうとは言い切れない。短期的に成果が上がっても、メンバーが疲弊しきって脱落者が出るようではいずれ成果は落ちる。

会社は永続しなければならないが、人は代わる。ある組織のリーダーも、数年すれば交代する。となれば、自分がその組織を預かった時よりも強い組織にして後継者にバトンタッチするということを全部の組織が行なって初めて、会社全体としての永続的な発展につながる。要するに、自分の預かった組織を強くすることこそが、すべてのリーダーに共通の最優先課題である」。

では強い組織とは何かということですが、これもいろいろな要素があります。一番のポイントは、メンバー一人ひとりをより強くするということです。それは、自分で考え、判断し、行動し、成果を出すような人材にするということです。これこそが、リーダーの具体的な意味での最優先課題といえます。

(2)部下の話には、無限の宝が眠っている

上司が忙しいことは部下も知っていますから、報告にしろ連絡相談にしろ、なるべく簡略に、必要最小限にしようと努めるものです。それでもだらだらした話し方の人がいていらいらさせられるものですが、実は、部下が語っていないことのほうに非常に重要な価値がある場合が少なくありません。

上司が真剣に耳を傾けて、促しながら聴いてあげれば、部下は当初話そうと思っていた事項以外のことまで話し出します。そこには、上司の知らない情報や、部下自身のアイデアや考え(答え)、または不安や不満、などがふんだんに含まれています。部下本人は大して重要だとは思っていなかったもの、報告する必要はないと思っていたことでも、上司の目から見れば非常に重要である場合も少なくありません。それを聞かずに済ますのは、実にもったいないばかりでなく、場合によっては大きなミスや損害につながる可能性さえあります。

さらに、部下は自分の言いたいことや自分の気持ちを全部話せたことで、気分がすっきりするだけでなく、「自分はこんなことまで考えていたんだ」と自分自身で新たな発見をすることがあります。これらは部下のモチベーションアップと、上司への信頼感の向上に確実につながります。

これこそ部下の話の裏に隠れている素晴らしい「宝」だとはいえないでしょうか。「部下の話をゆっくり聴く時間がない」という声をよく耳にしますが、それは「部下の話以上に重要な仕事がある」ということの別の表現です。しかし、部下の話を聴くこと以上に重要な仕事などない、と考えている人もいるのです。

この2つのヒントから永田さんはどんな気づきを得られたでしょうか。その上で、よし、こうしよう、という強い「思い」をもたれたでしょうか。私からは、これが正しい、こうすべきだ、と申し上げることはできません。あとはご自身で考え、行動していただきたいと思います。

【POINT】「自分を変えたい」と、どれだけ強く思えるかがポイント

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

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【著者プロフィール】
星雄一(ほし・ゆういち)
1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。

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