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とにかく反応が薄い新入社員。その特徴と育て方は?

とにかく反応が薄い新入社員。その特徴と育て方は?

(2018年8月29日更新)

 
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何かを問いかけても反応が薄く、コミュニケーションがとりにくい新入社員。超売り手市場の中でやっとの思いで選考・採用したからには、すぐに辞められては困ります。

 

反応が薄い今どきの新入社員を一人前に育てるには、内定者フォローや導入研修においても今までのやり方は通用しません。人事・教育担当の方は、彼らの特徴をしっかりと把握し、育て方を工夫する必要があります。

 

平成世代と昭和世代の溝は深い!

いわゆる「昭和世代」と「平成世代」とでは、価値観や考え方が大きく異なっています。そのため上司や管理職である昭和世代の人が、平成生まれの若者と昔の感覚で接すると、お互いに大きなギャップを感じることになります。平成生まれの若者は、決して能力が低いわけではありません。ただ、昭和世代と平成世代の「当たり前」や「常識」に、著しい違いが生まれているのです。人事・教育担当者は、そうした言動とその背景を理解し、彼らの価値観や常識をふまえて、内定者フォローや新入社員の教育を進めていく必要があります。

 

今どきの新入社員は、上下間のコミュニケーションが苦手

企業で人事・教育を担当する方の多くが、今どきの新入社員とのコミュニケーションや接し方で悩んでおられます。彼らの特徴で真っ先に言われるのが、「何かを問いかけても反応が薄い!」ということです。

彼らは「デジタルネイティブ世代」といわれるように、物心ついたころからインターネットが身近にある環境で育っています。ネットでの検索やSNSなどのバーチャルなコミュニケーションが圧倒的に増えた分、人と向かい合って会話する機会が減ったことが「反応が薄い」原因の一つとしてあげられるかもしれません。

また彼らは同年代とはすぐに打ち解けます。「SNSなどですぐにつながり、入社式のときには、十年来の友だちかと思うほど仲良くなっていた」という話も聞きます。その反面、年齢や立場の違う人とコミュニケーションは苦手という傾向があります。特に指摘されるのが、自分から挨拶できない人が増えているということ。家庭では親から、学校では先生から挨拶をしてくれることもあって、「目下の人間が目上の人間を敬って自分から挨拶をする」という習慣が身についていない人が少なくありません。

 

「全入時代」に育った平成の若者たち

少子化時代の学校は、生徒が休みたいと思ったり、親が休ませたいと思ったら、簡単に休めるような風潮になっています。決して無理をしません。一方、40代や50代の昭和世代は、「よほどのことがない限り、休んではいけない」という常識で育ってきました。

また、少子化で競争がなくなり、高校も大学も高望みしなければ必ずどこかに合格する、いわゆる「全入時代」。一流大学を目指すごく一部の人を除いて、大学受験で浪人する人も少なくなっています。学力は低下傾向なのに、大学には簡単に入学できるため、挫折経験がありません。さらにほめられて育ってきていることから、「勘違いした自信」をもっている人が多くいます。

彼らは、そうした競争のない温室から、弱肉強食のビジネスの世界にいきなり飛び込むわけですから、仕事がうまくいくことはほとんどありません。今や工場も事務も効率化されてコンピューターやロボットがやるようになりました。新入社員がやれるような簡単な仕事がほとんどなくなりました。いわゆる下積みの仕事がありません。「即戦力」という言葉は聞こえがいいですが、そう簡単ではありません。

ましてや一所懸命、泥臭くがんばるという経験もないため、昭和世代の上司にとって、とても物足りないように感じます。新入社員にとってビジネス社会が、学校社会と比べて非常にギャップの大きい未知の世界である、ということをしっかり理解しておかないと彼らとコミュニケーションがとることができないでしょう。

 

平成生まれの新入社員の特徴

また、「ゆとり世代」「さとり世代」といわれる新入社員の特徴として、教えられたことやマニュアルに書いてあることはよく理解するが、状況を把握して推し量ったり、場の空気を読んで察することが苦手ということも挙げられます。

たとえば上司とタクシーに乗る場面があったとして、彼らは研修でタクシーの座席の座り方、どこが上座でどこが下座かはよく理解しています。ところが、上司が「タクシーに乗ろう」といっても、「部下である自分が道路に体を乗り出してタクシーを止めなければいけない」ということに気づかない人が多いようです。そんな彼らを見て、上司は「そんなこともできないの?」と唖然としてしまうのです。

あるいは、会社の規定で禁止されていないからという理由で、ジーンズを履いて茶髪で出社してくる人もいます。それが仕事にふさわしくない格好であるかどうかが判断できないのです。

 

ビジネスマナー教育は、マイナスからのスタート

そのような社会常識のない新入社員を見て、「なんでこんな人を雇ったのか?」「導入教育はしっかりやっているのか?」というクレームを、人事・教育担当者にぶつける上司の方もいるでしょう。なにしろ直接叱ると、「パワハラ」だと騒がれたり、「ブラック企業」だと書き込みされたりして、簡単に退職してしまう可能性があるからです。そのため、どうしても腫れものに触るような扱いになってしまいがちです。

昭和世代は、厳しい競争の中で育ち、家庭や学校でそれなりに「しつけ」をされて育ってきたため、入社時のビジネスマナー教育から始めることができました。しかし「ゆとり世代」や「さとり世代」は、(もちろん全員とはいいませんが)ビジネスマナー以前に「社会人としての心構え」や「社会常識」から教育するという前提に切り替えるべきでしょう。言い換えれば「家庭や学校では何も教育されていない」ということを許容することです。

「これくらいできて当たり前」、「こんなことはできて当然」という意識を捨てることが一番大切です。

人事・教育担当の方は、そうしたスタンスで教育計画を立て、また管理職や上司の立場の人にも理解を求めるべきでしょう。

 

「フィード・フォワード」~未来志向のアドバイスで育てる

これからの内定者教育、新入社員教育は、昭和世代が慣れ親しんだ「弱点克服型」から脱却する必要があります。個性を軽視し、会社の型にはめ込んでいくやり方は彼らにはまったく向いていません。旧来の「〇〇(社名)マンを育成する」といった概念は、いったん捨て去るべきでしょう。

平成生まれの新入社員を育てるには、一人ひとりの長所を見つけて、それを伸ばし、個性を生かしていく教育を推進することです。そして、若い人たちがもっている「成長意欲」や「社会貢献意欲」をかきたてる方向で育成していくのです。できるだけ細かいことまでマニュアルで規定し、誤解を生まないよう準備することも重要です。

これからの人材育成でキーワードとなるのが「フィード・フォワード」という考え方ではないでしょうか。内定者や新入社員に対して、「あなたが将来こうなりたいと思うのなら、こういうことを勉強して、こういうことに取り組めばいいですよ」といった具合に、「未来に向けたアドバイス」をすることです。

 

「自己責任」の考え方で成長を促す

さらにもう一つ、「自己責任」の考え方を伝えることも大切です。「教えてもらっていないからわからない」「教えないほうが悪い」などと思い、すべて人のせい(他責)にしているうちは成長など望めません。社会人になれば、自分自身の成長も含めて、何もかも自己責任だと考えて取り組むことで、人は大きく成長することができます。「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という意識を植えつけ、前向きに学ぶ姿勢を身につけさせることができれば、その人は自分の力でぐんぐん成長していくようになるでしょう。

 

 


 

茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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