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若手社員の「やる気の源泉」はどこに?

若手社員の「やる気の源泉」はどこに?

(2019年9月20日更新)

 
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昇給・昇格といった可視的な要因に動機づけられない若手社員。彼らの「やる気の源泉」はどこにあるのでしょうか。モチベーションマネジメントのヒントをご紹介します。

 

動機付けになりにくい「昇進・昇給」

一昔前までは、「昇進・昇格」や「昇給」といった要素が動機付けに最も効果を発揮し、企業もそれに合わせた人事制度を構築してきました。しかし、経営環境や若い人たちの意識が大きく変化した今、もはやポストやお金といった可視的な要因に頼る動機付けは限界を見せています。

では、こうした変化の中で、いかにして組織メンバーのやりがい・はたらきがいを引き出せばいいのでしょうか。

ひとことで言えば、「仕事の意味」を理解させるような問いかけを投げかけ続けることで、今、与えられた仕事に対する使命感を高めることが大切であると思われます。

 

看護師に対するCS研修の事例

事例をご紹介しましょう。

ある病院では、医療サービスの向上を目指して、看護士に対する「CS研修」を実施し、自分たちがしている仕事の意味を考えさせたそうです。日ごろ、忙しすぎて仕事の意味を意識することのなかった看護士達でしたが、この研修を機に、自分たちの仕事が患者の苦痛や不安を和らげる上でなくてはならないものであることに気づき、自律的に仕事に取り組むようになったところ、結果としてサービスの質があがったと患者の評判になったそうです。  

 

大手食品メーカーの営業部門の事例

また、大手食品メーカーの元営業本部長からお聞きした話にも共通点が見いだせます。

T氏は、販売不振が続いていた会社の再建を託されて営業本部のトップに就きましたが、就任してまず感じたことが、営業担当者たちに元気がないということでした。毎日、夜遅くまで残業をし、心身の不調を訴えて倒れる社員が少なからずいましたが、彼らが取り組んでいた業務の大半が、本社への報告書の作成など内向きの仕事だったそうです。

そこでT氏は、営業担当者を内向きの仕事から解放し、その代わりに顧客回りを徹底するよう指示を出しました。顧客と会うことが本来業務である営業担当者は、嬉々として仕事をするようになり、それ以降同社の業績が回復基調に転じたのです。不思議なことに、営業担当の残業時間は以前とほとんど変らなかったのですが、健康状態は非常に良好で、倒れていた人まで復帰して元気に仕事をするようになりました。

いったい何が彼らを変えたのでしょうか。

結局、取り組んでいる仕事が、内向きの仕事から外向きの仕事に変わり、一人ひとりがそこに「仕事の意味」を見出すことができるようになったのです。

この体験を経たT氏は「人が元気になるかどうかは、労働時間の長短よりも、むしろ仕事の意味を見出せるかどうかにかかっている」という持論をもつに至り、それまで以上に仕事の意味を感じさせるマネジメントを意識するようになったと言います。

 

仕事の意味を伝えることが指導者の最重要責務

経営学の動機付け理論に従えば、社会が成熟するにつれて、人びとを動機付ける要因は、お金や地位といった「目に見える要因」から、やりがい・働きがいといった「目に見えない要因」へと変化するとされています。従って、日本のような成熟化社会において人のやる気を高めるためのカギは、担当する仕事の意味を正しく理解させることができるかどうかにかかっているのです。

松下幸之助は、「『あんたの仕事の結果はこういうふうに世間に役立っているのですよ。だから、非常に尊い仕事なんですよ』と、言ってあげる。そういうことが言えないと、人を指導することはできませんね」と述べ、仕事の意味を伝えることが指導者の最重要責務であることを説いています。

 

若手社員の自信と使命感を高揚させる

先にご紹介した事例が示唆しているように、人は誰しも自分が携わっている仕事の意味を理解した時、やる気が高まり、他人から指示されなくても自律的に取り組むようになるものです。

ともすれば忙しい現場においては、目の前の仕事をこなすのに精一杯で、「この仕事に取り組むことで社会に対してどういう貢献をしているか」とか、「この仕事に取り組めば自分のキャリア形成にどうプラスになるのか」といった根本的な問いに対する答えを見出せないまま、やりがい・はたらきがいを感じず疲弊している人が多いのが現実の職場の実態ではないでしょうか。

短期的な成果が重視されがちな今こそ、リーダーが仕事の意味を自分なりに解釈し、それを自分のことばで若い人たちに伝えることが求められています。常に仕事の意味を問いかけ、視野を広げるサポートをするとともに、自分たちの仕事に対する自信と使命感を高揚させるよう、意識し続けることが大切です。そのことが、人の心に火をつけ、活力ある職場をつくる第一歩になるのではないでしょうか。

 

若手社員研修

 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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