新人のフォローアップ研修は導入研修とセットで計画する
2019年4月18日更新
新入社員に対する教育機会としては、入社時の導入研修よりも、フォローアップ研修のほうが重要だと指摘される人事ご担当者は、じつは少なくありません。そこで、フォローアップ研修の意義と目的を整理してみました。
なぜ、フォローアップ研修が重要なのか
その理由の第一にあげられるのが、教育効果の高さです。入社直後の導入研修は会社や仕事の実態がわからない状態で行なわれるために実感が持ちにくく、聞くだけに終わりがちです。
その点、フォローアップ研修はある程度、実務経験を積んだあとなので、自らの体験と照らし合わせて考え学ぶことができるため、教育効果が格段に高くなります。
第二に、導入研修の時点では、仕事への漠然とした不安や心配はあるものの夢や希望や期待のほうがそれを上回っており、そのためやる気も高いのですが、現場に配属されると不安や心配、とまどいが一気に表面化し、自信がぐらつきだします。
そういった新入社員の悩みや迷いを解消し、自信を回復させるための機会が必要となってくるからです。
フォローアップ研修は、この二つの理由からきわめて重要な教育機会と言えます。
フォローアップ研修の目的
フォローアップ研修の目的と効果を整理すると
1)現在の自分の状況を振り返ることによる課題の抽出
2)企業人として基本姿勢や仕事の意味の再確認
3)社会人として不可欠なビジネスマナーや知識・スキルの復習・整理・理解促進
4)仕事に対する不安・悩みの解消と自信の強化
5)これらをとおしての、やる気の涵養
ということになります。
これらを総合的に言えば「心のリセットと頭のリマインド」ということになるのではないでしょうか。それはまた、指示され・教えてもらう姿勢から、自らが考えて行動する自律性をもった企業人育成の貴重な学習機会なのです。
フォローアップ研修は導入研修とセットで計画する
フォローアップ研修は、新入社員全員を集めて実施することが望ましいでしょう。
新入社員同士が顔を合わせて話し合うというそのことだけでも非常に大きな効果が期待できるからです。
同じような悩みや不安をもっている人はたくさんいる、それでもみんながんばっている、という状況を知り、こういう考え方、こういう努力の仕方もあるのか、と知ることが、勇気とやる気を大きくアップさせることができます。そして自分の課題を明らかにし、その課題を一つひとつ乗り越えていくことが、さらなる成長につながっていくのです。
また、そのプログラム・コンテンツは、導入研修と連動していてこそ効果が発揮されます。つまり、この2つの研修をセットとして、新入社員教育のなかに位置づけることがポイントになります。
さらにいうなら、その企業様の3年後、5年後の求める人材像を明確にしたうえで、新入社員研修から一貫した教育プログラムを構築するといいでしょう。
ところで、よい新入社員研修とは?
新入社員研修(導入研修+フォローアップ研修)のやり方は、それぞれの企業様の業種・業態、環境条件、伝統・慣習などによってさまざまです。しかし、その目的は、彼らを1日も早く一人前に育て上げることだと集約できるでしょう。それが会社として、組織としての強い要請であり、教育担当部門の使命であることは間違いないと思います。
ただし、忘れてはならないことは、新入社員研修は会社にとって必要であるばかりではなく、当の彼ら一人ひとりにとっても必要不可欠なプロセスだということです。彼らにとって新入社員研修は、社会人としての成長の第一歩であり、自信をもって次のステップに進んでいくための貴重な学習機会なのです。
ですから、「よい新入社員研修」というものがあるとすれば、それは「会社・上司も満足、人事部門も満足、受講生も満足」という、WIN・WIN・WINの姿です。
理想としてはそれで間違いないと思いますが、これはそれほど簡単なことではありません。では、強いて言えば、この三者の中でどれを最優先すべきでしょうか。それは疑いもなく、「受講生」すなわち「彼ら」だと考えます。受講生たる彼らが、この研修は間違いなく自分たちのためのものだ、本当に自分の成長のためになる、と感じてこそ、本当に彼らの身につき、ひいては上司も人事も満足するという結果になるのではないでしょうか。
しかし、ここで注意しなければいけないのは、彼らが喜ぶような研修がよい研修だとは限らない、ということです。弊社としては、この微妙な違いを常に意識しながら、多くの企業様でお役立ていただけるプログラムをご用意しております。
PHP研究所 企画制作部部長 平井克俊
新入社員 フォローアップ研修のご案内
入社して職場にひととおり慣れる時期は、同時に、さまざまな問題にぶつかり、悩みを抱えることが多い時期です。いま一度、新入社員を集めてのフォローアップ教育をおすすめいたします。
職場でのOJT、上司・先輩によるフォローアップのために
新入社員に業務日報などを提出させることは、仕事内容の確認や、日々のふりかえりという点でたいへん効果的ですが、同時に、上司や先輩社員とのコミュニケーションを深め、疑問や不満の把握と、動機づけのきっかけづくりに大いに役立ちます。新入社員のOJTやフォローアップのツールとして、『新入社員研修ノート』『新入社員指導実践テキスト』をご活用ください。