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「トヨタ式人づくり」からリーダーの育成方法を学ぶ!

「トヨタ式人づくり」からリーダーの育成方法を学ぶ!

(2019年8月23日更新)

 
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日本を代表する自動車メーカーのトヨタ自動車では、人材育成に関して独自の考え方や方法論が確立されています。そのエッセンスをうまく自社に取り入れることができれば、よきリーダーが育ち、会社を大きく成長させることにつながるでしょう。

 

 

変化し続ける製造業における人づくり

製造現場においては、AIやIoTなど最新技術の導入をはじめ、自動化・省力化・無人化が進んでいます。しかし、どれだけ技術が進歩しても重要なのは「人」です。優れた製品を生み出し、市場に提供していくために、さまざまな判断を下すのはあくまでも「人」の役割だからです。つまり「人づくり」こそが、モノづくり企業の最大のテーマだというわけです。

本稿では、トヨタ自動車の人材育成の考え方を紹介するPHP通信ゼミナール『「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース』を参考にしながら、「人づくり」の基本やリーダーの育成等について考えてみたいと思います。

 

「人づくり」を最優先するモノづくり企業

日本で最も成功した企業のひとつであるトヨタ自動車は、いうまでもなく「モノづくり」の会社です。ところがトヨタ自動車で最も重視されているのは、「モノをつくる前に人をつくれ」という思想です。つまり「モノづくり」よりも「人づくり」が優先されているのです。良い材料と高性能な機械設備、それを正確に操作する作業者がいれば、それだけで競争力のある製品をつくれるわけではありません。そのことは、製造業に携わる方々がいちばんよくおわかりでしょう。同テキストでは、次のように述べられています。

 

モノづくりの目的は、お客様のために「より良いモノをより早くより安く」つくることです。そのためには生産現場で働く社員全員が心を1つにして力を合わせることが必要です。そうすることで初めて良いモノをつくることができます。そして、さらに大切なのは働いている1人ひとりが創意工夫をすることです。

 

モノづくりを進化させるには、携わる人たちが心を合わせ、力を合わせて取り組むとともに、皆が「知恵」を出し合っていくことが肝要です。「トヨタ式人づくり」とは、「協力し合える人」「知恵を出して働く人」を育てていく仕組みであるといえます。こうした考え方は、モノづくりを行うすべての企業の人づくりに役立つのではないでしょうか。

 

経験を通して知恵を引き出し、部下を成長させる

人を育てるのも人(リーダーや上司)の役割です。モノづくり企業にとって「人づくり」が最重要課題であるということは、育成に携わるリーダーの責務も重大だということです。では、リーダーはどのような姿勢で人を育てていけばいいのでしょうか。ポイントは大きく2つあります。ひとつは「人の知恵を信じる」こと、もう一つは「仕事を通して人を育てる」ことです。同書からそれぞれポイントを要約します。

 

(1)人の知恵を信じる

経営資源の要素としては、人・モノ・金・情報・時間などがあります。モノ・金・情報・時間には制限がありますが、「人の能力」を伸ばすことに制限はありません。人の能力のなかでも、「人の知恵」を伸ばすことは非常に重要です。人の知恵には限界がないので、部下を育て、部下の知恵を目いっぱいに引き出すことで、大きな成果をあげられます。部下が育つことで、上司自身も仕事がしやすくなり、より大きな仕事ができるようになります。

 

(2)仕事を通して人を育てる

「育てる」「教える」というと、座学のイメージがあります。しかし、座学だけでは、知識は習得できても「仕事に本当に役立つ知恵」は身につきません。部下を育てるためには、日々の仕事のなかに、「知恵を出す仕組み」や「人が育つ仕組み」を組み込むことが大切です。部下は日々の仕事を通して育つのです。その部下を育てるのは上司の役目であり、仕事とは「人づくり」の場なのだといえます。

 

例えば、何か技術を教える場合でも、1から10まで懇切丁寧に教え込むのではなく、ある程度のところまで教えたあとは、部下自身に工夫させるように仕向けるのもよい方法でしょう。そうして失敗を経験しながら自分の頭で考えていくうちに、だんだんと「知恵」が身につくようになるはずです。人材育成において、ぜひ参考にしたい視点だといえます。

 

ムダに気づく部下、ムダのない指示ができる上司を育てる

トヨタ自動車のモノづくり現場では、いかに「ムダを省いていくか」が大きなテーマとなっています。上司が部下に対して適切な指示命令を行えば、部下はムダな「動き」をあまりしないで済むようになり、時間が浪費されなくなって、生産効率が向上します。トヨタでいう「ムダ」とは、「付加価値を高めない、さまざまな現象や結果」を意味するとのこと。「原価を高めるだけで、それ以外に何ももたらさない諸々の要素」がムダにあたります。製造現場における「ムダ」について、同テキストでは次のように説明されています。

 

生産現場の動作は「作業」と「ムダ」に分かれます。さらに作業は付加価値を高める「正味作業」と、付加価値がつかず本来ムダではあるが、現段階では行なわなければならない「付随作業」に分かれます。「ムダ取り」で大切なことは、この「作業」と「ムダ」の見極めをすることです。そして、改善によってムダを省き、次に付随作業を改善していきます。

 

つまり、すべての「ムダ」をなくし、「付随作業」を限界まで減らし、「正味作業」の比率を最大限に高めていけば、究極の生産効率を実現できるということです。トヨタ式では、これを「動きを働きに変える」と呼んでいます。何もつくらずただ動いていた状態から、製品をつくって働いている状態に改善するということです。

ムダを発見するのは、現場で働く部下の役目です。ということは、「ムダに気づく部下」を育成することが課題となります。さらに上司は、あらゆるムダ情報を集約して、最も効率よく部下が働けるように指示命令を下すのです。このように、「トヨタ式人づくり」には、多くの企業が参考にできる有効な方法論が多く含まれているのです。

 

 


 

※本記事はPHP通信ゼミナール『「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース』を抜粋・編集して制作しました。

「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース

 

 

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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