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トヨタ式「やる気」の高め方

トヨタ式「やる気」の高め方

(2019年9月 2日更新)

 
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トヨタ式の人づくりにおいては、働く人の「やる気」を引き出すことが重視されています。リーダーは部下の「やる気」を引き出すために、どのような対策を打つべきか、そのポイントをご紹介します。

 

よいモノをつくるには「やる気」が不可欠

トヨタ式の人づくりにおいては、従業員一人ひとりの「やる気」を引き出すことが重視されています。たとえ優れた能力を持っていても、その人に「やる気」がないと、力の出し惜しみをしてしまうことがあるからです。

能力が最大限発揮されないということは、「能力が低い状態」でモノづくりをするということであり、結果的によい製品がつくれなくなってしまいます。反対に、従業員全員が「やる気」をもって各々の仕事に取り組めば、力が存分に発揮され、「能力が高い状態」でモノづくりが行えるということです。

製造業の人材育成において、こうした観点をもつことは非常に重要だといえます。

 

目に見えない「やる気」はどう測るのか?

人の「やる気」は目に見えないため、その人に「やる気」があるのかどうかを判断するのは困難だと思われるでしょう。しかし、PHP通信ゼミナール『「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース』で紹介されている、次のポイントをチェックすれば、一人ひとりの「やる気」を推し量ることが可能となります。

 

・各種ルールの厳守状況

・あいさつの声の大きさ

・勤怠状況

・各種提案件数

・サークル活動への参画・発言態度

・指示に対する達成度合い

 

部下を日々観察し、「やる気」が低下しているのが確認されたら、リーダーは「やる気」を引き出すための対策を打っていくことになります。

 

目標や進捗状況を数字で表し「やる気」を引き出す

例えば何らかの目標を達成すると、誰でもやりがいを感じて、次の仕事への「やる気」の向上につながります。ただし目標は、簡単すぎても難しすぎても「やる気」が湧いてきません。リーダーには、努力すれば達成できる「程よい難易度の目標」を掲げる裁量が求められます。

目標設定のあり方について、同テキストでは次のように説明されています。

 

達成可能な目標であっても、抽象的な目標だと単なる「絵に描いた餅」に終わってしまいます。そこで、目標は具体的な「数字」をもって示し、さらに「何を」「いつまでに」「誰が」「どのような方法で」するかを具体的に決めることが必要になります。

(略)そして実行していくときには、掲げた目標に対して今どのような状況なのかを、「50%」や「80%」といった数字で全員に示しましょう。

 

「目標・期限・担当者・方法・進捗状況」などを記した「目標管理板(ホワイトボードなどで作成)」を職場に掲示し、誰もが見て確認できるようにしておけば、従業員の「やる気」を高めることができます。

 

部下の「能力」を高めるトヨタ式の指導方法とは?

モノづくり企業では、各部署のリーダーの指導力を高めて、部下の「能力」を引き出せるようにしていくことも重要です。例えば、まだ十分な知識がない部下に対して、リーダーは基本から丁寧に教える必要があります。しかし初心者に指導するのは意外に難しいものです。

そこで参考になるのが、同テキストで紹介されているトヨタ式の指導方法です。

 

・仕事の手順を1つずつ言って聞かせ、してみせる

・急所を強調する

・はっきり、抜かりなく、根気よく

・能力以上に強制しない

・させて間違いを直す

・させながら作業手順の説明をさせる

・させながら急所を確認する

 

こうした理にかなった教える手順を、研修等でリーダーに学んでもらい、現場で実践できれば、部下は着実に成長していくことができるでしょう。会社がリーダーを育て、リーダーが現場スタッフを育てる「人材育成の仕組み」が構築できれば、モノづくりのレベルは上がり、ひいては会社が発展していくことになるのです。

 

部下指導の後はフォローをしながら確実に育てる

トヨタ式人づくりでは、指導したあとの「フォロー」も重視されています。リーダーが、次のステップを踏んでフォローすることで、部下は着実に育っていくはずです。同テキストから要約します。

 

1 理解度を確認して仕事に就かせる

部下に「わかったか?」と尋ねるのではなく、相手の様子を見て「わかっている」ことを確認し、理解度・習熟度に応じた仕事を担当させるようにします。

 

2 わからないときに聞く人を決めておく

部下の疑問に的確に答えられる人を選び、何かあったらその人に尋ねるよう指示します。

 

3 質問するように仕向ける

経験が浅い部下は、「こんな質問をしたら上司に叱られるのでは?」と思ってしまうことがあります。そうならないように、気軽に尋ねられる雰囲気をつくります。

 

4 徐々に指導を減らしていく

部下の習熟度が上がれば、様子を見ながら指導を減らしていきます。

 

「星取表」をつくって個々の能力を「見える化」する

部下の能力を伸ばしていくためには、「一人ひとりが現在どういう能力をどの程度身につけているのか」を把握する必要があります。各人の実力を確認したうえで、さらに能力を高めていけるよう指導していくのです。トヨタ式では、個々の能力を「見える化」するために、「星取表」をつくるという方法が採られています。

 

星取表とは、それぞれの部署に求められる能力をできるだけ具体的に書き出し、それらの「できる」レベルはどれくらいなのか、そして所属する1人ひとりがその能力のうち、現時点でいくつできているのかを一覧表にしたものです。

 

星取表を作成することで、従業員は「いま自分に何が足りないのか」がわかります。その足りない部分について勉強したり、練習したり、経験を積んだりすることで、スキルアップを図るのです。また星取表があれば、リーダーにとっては部下を指導するポイントがわかりやすくなります。

ただし、星取表はあくまでも「その人がその時点で獲得している能力」の記録です。人にはそれぞれ成長段階がありますから、部下の優劣を比較するのではなく、あくまでも目標設定のツールだと位置づけるべきでしょう。そのような考え方をリーダーに植えつけることで、より指導力の高いリーダーを育てていくことができるのです。

 


 

※本記事はPHP通信ゼミナール『「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース』を抜粋・編集して制作しました。

「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース

 

 

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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