「プロへの道は10000時間」の法則【コラム】~井原恵津子
2013年11月12日更新
毎年秋は、新入社員のフォロー研修を担当する機会に恵まれ、彼らと半年ぶりに再会するのを楽しみにしています。入社時は初々しかった彼らも半年の間に、様々な失敗を重ねながら、仕事の厳しさを身を持って学び、表情や言動にも組織の一員としての自覚が感じられるようになってきます。
そんな彼らも、5,6年も経つと現場の最前線で仕事を任され、社内外でも信頼され頼りにされる存在になってきますが、そこに至るまでには、約10000時間が費やされていることに……。
『天才!成功する人々の法則』(マルコム・グラッドウェル著)によると、作曲家、プロのスポーツ選手、小説家、音楽家を問わず、その分野に精通し、世界レベルの技術に達するには、10000時間が必要と言われています。これを一般の企業に当てはめてみると1年間の働く日数を240日(1年365日のうち休日、祝日を省く日数)×8時間として、5年経つとほぼ10000時間に到達することになります。頼りなかった新人も5年間精進すれば、プロ社員として第一線で活躍できるようになるというわけですね。
一方、私自身で言えば、研修講師として仕事に自信が持てるようになるには、15年以上かかり、かなりの遅咲きタイプ。その間、自分の適性や能力の無さを嘆いたものでしたが、よく考えてみれば、講師を始めたころは、人前話す経験がゼロ。その上子育ての真っ最中で1カ月の半分も仕事に時間を割くこともできなかったわけで、10000時間の法則でいえば、5年どころか、20年以上かかるのは当然の結果と言えましょう。講師として10000時間の領域に達するには、1日7時間の研修を1428回やり続けることが必要で、仮に、1年に50回の研修をこなしたとして、28年近くがかかる計算となるからです。
それでも講師デビューをしてから早27年、あともう少しで10000時間に限りなく近づいていることになり、我ながらよく諦めずに頑張ってこられたものだと感心しています。
これからも、10000時間に向けて努力と忍耐力、そして何よりも目標への熱い想い(もっといい研修がしたい!)があるうちは、まだまだ成長出来るかも。まさに「継続は力なり!!」ですね。
【講師プロフィール】
井原恵津子 いはら・えつこ
1972年11月、日本航空(株)に入社し国際線客室乗務員として勤務。1975年2月、同社を退職。1988年3月、(株)クオレ・コーポレーション専任講師として勤務。2001年10月、オフィス・グランツ代表として独立。現在、PHPゼミナール講師。