メンタルヘルスは組織ぐるみで!【コラム】~細野高志
2011年7月13日更新
メンタルヘルスの問題を、自社の課題としてあげられている企業は多くあります。会社を取り巻く現在の経営環境下では、いろいろなところに疲弊が起こり、余裕のない組織が多いのでしょう。みなさんの組織では、どのように対応されているのでしょうか。
わたしが相談を受けたケースでは、対応者任せと言いますか、人事担当者や総務担当者、もしくは衛生管理者や産業保健スタッフの知識や力量に頼っている場合が多く見られます。その相談内容はいろいろな状況での対応となりますが、共通していますのが、上記のご担当者の個人能力に、その判断が委ねられているということです。これでは組織の問題解決ではないと言わざるを得ません。そして、担当者がケース毎に智恵を絞り、機微なケースを誠心誠意ご対応されています。その結果として、程度の差はありますが、そのご担当者がメンタルダウンしてしまうケースも少なくはありません。
考え直してみませんか。メンタルヘルスはご担当者の方々の問題ではなく、組織の問題なのです。組織の問題をその方々が役割として担当されているにすぎません。組織の問題であるのでしたら、組織としての解決策、対応策を具備しておく必要があります。まさに組織ぐるみのシステムが必要です。
ここ十数年間の自殺者数は三十数万人を超えています。一向に減少しません。それどころか労災認定は増加しています。組織のリスクマネジメントの観点からも、このままで宜しいのでしょうか。
わたしが対応しました事例をご紹介しますと、組織としての考え方を統合し、フロー図を作成された組織もあります。また就業規則に休職・復職のルールを掲載された組織もあります。あらかじめルールとして決めておくのです。休職のための診断書は、誰が開封するのか。誰が内容確認するのか。次にどこへ回すのか。誰の権限で決定されるのか。逆に復職診断書が提出されたときは、同様にして誰が開封するのか。誰が内容確認するのか。次にどこへ回すのか。誰の権限で決定されるのか。組織にとっては診断書には何の権限もありません。主治医の意見書なのですから。とは言え、国家資格を有する医師の意見ですから、軽んじるわけにもいきません。ですから、あらかじめ決めておかなければ、その時の担当者が慌ててしまうことになります。
火事は出さなくとも消防計画書は作成されていますよね。同様にお考えいただけないでしょうか。そのことが担当者をまもり、組織の過失を未然に防ぎ、CSRに寄与することだと、わたしは考えております。
是非とも、メンタルヘルスは組織ぐるみで!
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1976年7月~93年4月、学習塾経営(中高6学年一貫教育)。93年5月~1996年6月、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)に入職。97年3月、(財)京都工場保健会に入職。2006年7月、独立起業。
現在、京都経営者協会人材開発研究会会長。京都私立病院協会運営委員。保健医療管理士会幹事。