起業家精神とは? なぜ必要なのか、どう高めるのかを解説
2024年9月17日更新
日本の国際競争力の下降傾向に歯止めがかかりません。そうした事態が生じたのは、社会全体で起業家精神をもった人材を育ててこなかったことに起因すると思われます。起業家精神とは何なのか、なぜそれが重要なのか、そして、どのようにして高めていけばいいのか、それぞれの観点から考察いたします。
起業家精神とは
起業家精神は、新しいビジネスやプロジェクトを立ち上げる際に求められる特有の考え方や行動様式を指します。これは単に新しい会社を設立することにとどまらず、既存のビジネスを革新したり、社会的な課題を解決するための取り組みを行うことにも関連しています。
起業家精神は、リスクを恐れずに新たな挑戦を受け入れ、創造的な解決策を見出すための意欲や能力と言い換えることもできるのです。
なぜ、起業家精神が必要なのか
現在、我が国の産業界は、閉塞感が強く、チャレンジ意欲が高まらない企業が増えてしまっています。こうした事態を打破するカギは、起業家精神に満ちた組織風土をつくることです。なぜ、起業家精神が組織に必要なのか、その理由を4つの観点から述べます。
1.変化への適応力
現代社会は前例のないスピードで変革が進んでおり、デジタル化やグローバル化が著しい状況です。このような環境下で企業が生き残るためには、新しいことにチャレンジし、異なる視点で事業を見直す必要があります。起業家精神を持つ人材は、こうした変化に柔軟に対応できます。
2.イノベーションの創出
起業家精神を持つ人材は、新しい事業や商品開発のアイデアを生み出す力があります。これにより、組織全体の革新性が高まり、競争力の向上につながります。
3.自律型人材の育成
起業家精神を持つ人材は、自ら考えて行動する自律型の人材です。このような人材が増えることで、組織全体の生産性と効率性が向上します。
4.組織の活性化
起業家精神を持つ人材は、自ら積極的に仕事をつくり出し、周囲を巻き込むことで、社内に活発な空気を生み出します。これにより、組織全体のモチベーションと創造性が高まります。
起業家精神をもつ人の特徴
起業家精神をもつ人々には、いくつかの共通する特徴があります。
まず、彼らは強いリーダーシップを発揮し、周囲の人々を巻き込んで目標に向かって進む能力があります。また、自責の姿勢を持ち、失敗を他者のせいにせず、自分自身の判断を振り返ることができるため、成長につながります。さらに、創造的な発想力を持ち、新しいアイデアを生み出すことが得意です。
起業家精神を高める6つの方法
起業家精神を高めるには、以下のような方法があります
1.好奇心と学習意欲を持ち続ける
新しい知識や情報を積極的に吸収し、常に学び続ける姿勢が重要です。本を読んだり、セミナーに参加したり、メンターを見つけたりして、視野を広げることが効果的です。
2.リスクを恐れない行動力を養う
新しいアイデアを実行に移す勇気をもつことも重要です。失敗を恐れず、チャレンジ精神を持って行動することを奨励するような風土を組織内につくるのです。
3.失敗から学ぶ姿勢を持つ
失敗を恐れずに挑戦し、そこから得られた教訓を次に活かす姿勢が大切です。失敗を成長の機会と捉える発想を心がけ、習慣化するのです。
4.創造的思考を育む
既存の枠にとらわれず、新しい視点でものごとを見る習慣をつけましょう。問題解決力や革新的なアイデアを生み出す力を磨きます。
5.ネットワークを広げる
異業種交流会やビジネスイベントに積極的に参加し、多様な人々と交流するのです。考え方やバックグラウンドの異なる人との出会いは、視野の拡大とチャレンジ意欲の喚起につながります。
6.自己管理能力を高める
起業家精神を高める大前提は、時間管理やストレス管理など、自分自身をコントロールする力を磨くことです。それによって、効率的に働き、最高のパフォーマンスを発揮できるようになります
これらの方法を意識的に実践することで、起業家精神を徐々に高めていくことができます。それには、継続的な努力と自己啓発が重要です。
起業家精神が未来を築くための力に
起業家精神は、現代社会において、ますます重要な要素となっています。変化の激しい環境において、自ら考え行動する姿勢は、個人の成長だけでなく、社会全体の発展にも寄与します。起業家精神を育むことで、私たちはより良い未来を築くための力を持つことができるのです。
的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。