新入社員に求めるもの
2012年1月10日更新
新入社員に求めるものとして、かつて人事担当者が口をそろえるようにして語ったのが「即戦力」という言葉でした。
どこの職場も忙しく、
「新入社員の育成に時間をかけていられない」
「すぐに戦力として役立ってほしい」……。
そこで、資格や語学、PC関連のスキルなどがもてはやされ、入社前にある程度のスキルを身につけておくことが必要とされてきたように思います。
もちろん仕事に必要なスキルは、なるべく早く身につけておくに越したことはありませんが、よく考えてみれば、スキルだけで仕事が成り立つものではありません。
あるコンサルタントの先生が、以前、こんな話をしてくれました。
「新入社員に大切なことは、〈学ぶ姿勢〉を身につけることである」
人間は、学びつづけ、成長しつづけていく存在だと思います。〈学生から社会人へ〉という、この人生の一大転機は、〈学ぶ姿勢を身につける〉一番の好機といえるでしょう。それを、ただ目先のスキルの習得に躍起にさせるというのは、あまりにもったいない話です。
新入社員一人ひとりが、どのような人生を築いていくか――。
そのスタート地点にあって、成長の道標を示してやることが、人生の先輩たる私たちの責任でもあります。社員の成長が、企業全体の着実な成長・発展に結びつく。それが、企業本来のあるべき姿だと考えるならば、〈成長〉というキーワードを心に刻むことこそ、新入社員に求められるのではないでしょうか。
人生の道程は決して平坦なものではありません。仕事も決して楽なものではありません。むしろ厳しく、険しいものです。だからこそ、一生懸命に学びながら、一つずつ確実に乗り越えていく〈強さ〉が、これから人生を歩みだそうとする若者に求められるのではないでしょうか。
教育出版部 企画制作部 林 順一