クレームはチャンスです!【コラム】~大野久美子
2010年11月18日更新
ここ数年クレーム対応研修の依頼は病院、学校、役所等の公的機関と、以前では考えられない業種・業態まで広がりを見せています。
年間50回以上のクレーム研修を通して感じることは、多くの組織はクレームを否定的に受け取る偏見をもち、誤った取り組み方を行なっているということです。結果、不適切な対応で、財産である信頼を失い、「顧客離れ」がおき、対応者の心理的負担の増大につながるというマイナスのスパイラルに陥っています。
一方で、適切なクレーム対応を行なうことができれば、お客様との信頼関係が強化され、お客様満足の向上が図られ、さらには企業イメージと企業価値を高める好機とすることもできます。
そのためには、クレームこそ、お客様の真のご要望と社会の傾向、新製品の開発やサービス向上のヒント等を得ることができる貴重な情報源であるという、前向きで肯定的な意味づけをしていく事です。
そして、クレーム対応において何よりも重要なことは、物理的な状況や機能の回復だけを行なうのではなく、そのことによって引き起こされたお客様の感情の修復、つまり「心の修復」を行なうことです。出来ない事、希望通りにならない事もあったけれど、親身になって状況や気持ちを理解しようと努力してくれた、あなたに応対してもらえて良かったという気持ちになっていただくことです。
多くの対応では、ただ感じ良くお詫びをして、原因を分かり易く丁寧に説明して解決策を示す事しか出来ていません。従って「心の修復」には至りません。そこで、怒りや不安・不信といったマイナスの感情までをも受け入れ、理解し共感したことを、具体的な言葉や態度で伝えていく高度なコミュニケーション力が求められます。
認めることと、受容し共感することとは違います。この表現はかなり難解です。研修ではここをしっかりとトレーニングし、初期の段階で、お客様と心の一体感を構築した上で状況の把握や解決策の提示を行なう、効果的なプロセスも学びます。
講師がお客様役になり、実際にその組織で起きたケースを使い、ロールプレイングで自身の応対のプロセスを客観的に振り返り実践的な対応力を向上させていきます。
クレームは理屈や理論に対応するのではなく、感情に対応するものです。カウンセリングマインドやNLP等を駆使した研修を活用し、対応力を身につけてください。
そして、クレーム対応を行なった結果、期待を上回る強い満足を持って戴き、お客様をファンから支援者へと進化させて、選ばれ続ける組織になっていきましょう。
大野久美子(おおの・くみこ)
(有)エム・ケイプレイス設立 代表取締役社長
PHPビジネスコーチ(上級)