メンタルヘルスと職場のコミュニケーション
2013年4月 5日更新
メンタルヘルス対策ではコミュニケーションが非常に有効な手段として知られています。職場で働くメンバー同士、日ごろからコミュニケーションをしっかりととっていれば、表情などから精神的な変化に気づきやすくなり、メンタル不全を未然にくいとめやすくなるからです。
コミュニケーションの内容はどんなものでもかまいません。仕事の話はもちろん、趣味や家族のことなどプライベートな話題もあります。どんな小さなことでも日ごろからコミュニケーションを積み重ね、上司や部下、立場に関係なく互いに歩み寄り、心をひらくということがメンタルヘルス対策では大切なのです。
コミュニケーションの内容はどんなものでもかまわないといいましたが、ひとつだけかならず上司から部下に語りかけていただきたいことがあります。
それは「会社の思い」です。「会社の思い」とは経営理念のことであり、どこの会社も掲げているでしょう。そして、そこで働く社員には、経営理念にもとづいた仕事が求められます。しかし、会社の思いと社員の思いがまったく別の方向を向いていたらどうなってしまうでしょうか。自分がしたいことと会社が求めることのギャップに苦しみ、働く目的を見失ってしまうでしょう。さらに、それでも働き続けなければいけないという釈然としない気持ちを抱え続けていると、それがメンタル不全につながってしまうという悪い循環を生み出してしまいます。
だからこそ、社員一人ひとりに「会社の思い」を理解してもらうアプローチが必要なのです。「会社の思い」を理解することができれば、自分はなにをするべきなのかという使命感が生まれてきます。そして、その使命感が仕事のやりがいになります。さらに、自分の仕事にやりがいを感じることができるようになれば、多少の厳しい壁に直面したとしても、自力で乗り越えていくことができるようになり、メンタルが強くなりやすくなるという良い循環を生み出すことができます。
大多数の企業では、メンタルヘルス対策というと産業医の導入や勤務環境の整備などと考えているようです。もちろん、そういった目に見えるかたちでの取り組みも非常に大切です。会社をあげて取り組んでいかなければいけないことです。
一方で、目には見えないメンタルヘルス対策。つまり、職場内でのコミュニケーションをどのようにとっていけばいいのか、どういった内容を話していけばいいのか――。会社全体、または各管理職が考えていかなければいけないことなのではないでしょうか。
教育出版局 企画制作部 海野 翔太
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