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全社員研修の勧め

2015年4月24日更新

全社員研修の勧め

この3年ほど、「全社員に同じ研修をして欲しい」というオファーが増えてきています。

私の研修は「人間力」にかかわる内容が多いので、営業から経理や製造まで部署に関係ないということも一つの要因だと思いますが、一番多い理由は「全社員が同じ研修を受講することで会社全体の共通認識が増え、同じ価値観で動く組織になるから」というものです。

確かに、経営理念の浸透をはじ社内全体で共有化しておきたいことは多いと思います。全社員が同じ研修を受講することによって、良い「社風」を創っていくきっかけになることは間違いないでしょう。

随分前ですが、ある会社の幹部と二人で話していた時のことです。その方は中小企業診断士の資格を持っていたので「どういうきっかけで中小企業診断士を受講しようと思ったのですか?」と聞いてみました。私は「自分を高めたかったから」とか「もっと経営の勉強をしたかったから」という答えだろうなと予想していたのですが、その方は「え? 周りがみんな取っていたから」と言ったのです。これには驚きました。「社風」恐るべしです。

全社員研修をお勧めするもう一つの理由は、社内に共通語が増えることでコミュニケーションが取りやすくなるからです。「山」と言ったときに、富士山を思い浮かべる人もいれば、地元の山を思い浮かべる人もいるでしょう。幼稚園の先生は砂山と答えるかもしれません。同じ言葉を使っていても、それぞれが違って定義で使っていることが多いのです。同じ研修を受講すれば、同じ言葉は同じ定義で使われます。「伝わっているはず」が減ることで仕事上のミスや感情的なトラブルも減ってきます。また、「伝わっているはず」が減ることで、部下指導もやりやすくなり部下が速く育ちます。人材が速く育つ会社の方が速く発展することは言うまでもありません。

是非、全社員研修をお勧めしたいと思います。

辻騎志(つじ・きよし)
1960年沼津市生まれ。大学卒業後、人間教育を中心とした研修機関に所属。同時に、故国谷誠朗(くにやのぶあき)氏に師事し、多岐にわたる心理療法を学ぶ。その後、専門学校にて心理学と人間関係論を担当。長年にわたり、中小企業の経営に携わった後、現在はPHPゼミナール・講師(PHPコーチング・認定ファシリテーター)として活躍中。静岡県福祉施設第三者評価者。

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