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優秀な人材は、悪しきワンマン社長の会社に入社しない

2016年3月16日更新

優秀な人材は、悪しきワンマン社長の会社に入社しない

多くの企業が苦戦している採用と定着。どこに問題があるのでしょうか。海老一宏氏が解説します。
 
 
*  *  *
 
「企業は人なり」。分かりきったことです。
実に多くの企業が、優秀な人材の採用と定着に苦戦し、業績を上げることができていません。それは、転職者でも新卒者でも変わらない問題です。採用のお世話をしている私から見ると、経営者も人事責任者も、採用と定着に関して本気で考えているかどうか疑問がある会社があります。むしろ、合格点をつけられる企業は意外に少ないと言わざるをえません。
 
「そんなことはないよ。採用にも定着にも苦しみ抜いている。どれだけ経費も人件費も無駄にしているか!」そんな声が聞こえてきそうです。
しかし採用の意志に大きな問題はなくても、最終、社長面接などで些細な問題があるのかも知れません。
なぜ採用も定着もできていないのか? 一度原点に戻って真剣に考えてみたらいかがでしょうか?
 
 

社長の個性や人間性がとても重要

採用に関して重要なポイントは三つあります。
 
一つは会社イコール社長であり、社長の個性や人間性がとても重要だということです。決して、町工場の社長より大企業の社長が素晴らしいなどと言うつもりはありません。ここで社長のあるべき姿は論じませんが、よくある悪いパターンを書きます。
 
・傲慢で人の言うことを聞かない
・社員を頭から信用しない
・社員は会社の駒としか考えていない
・社長が楽をするために社員がいると考えている
・社員を雇ってやっていると思っている
・自分以上の人間はいないと思っている
・社員のせいで会社が成長しないと思っている
・社員の未来の行く末を考えていない
 
このような社長と面接すると、優秀な人材はまず、その会社を見切ってしまいます。いい人材ほど面接すると辞退します。当然です。悪しきワンマン社長の会社に入社する優秀な方はいません。
いえ、社長に会う前に、人事責任者が社長の悪いところを真似ていることも考えられ、その時点で辞退することもあります。
もっと言うと、会社のたたずまいや受付の女性の雰囲気にも、社長の人間性が出ています。
社長に人間性を良くしなさいとは誰も言わないでしょうから、いい人材を取れないのであれば、これを機会に社長は一度自分自身を見直してみたらいかがでしょうか。社長だから尊敬されているのではなく、一人間として尊敬されているかどうかを自問自答してみてください。
 
第二に、採用面接を候補者の経歴や人間性の確認だけと思っている企業があります。一方的に選んでいるだけです。どのような面接が理想かと言えば、社長の人間性を披露しながら、会社のビジョンを語り、入社後の自分の働いている姿をイメージさせることです。そして、そのイメージした人材の能力を判断するようにします。
つまり、会社が抱える課題や目標を話し、それへの取り組み方法をイメージさせて話してもらうのです。ここに候補者の経験や人格が出ますから判断ができます。自ら動くタイプか、人を使うタイプかなどがわかります。
採用される人材のほうも、自分の入社後の活躍イメージができてやる気が出てくれば、入社を決断しやすいと思います。ただ、経歴を聞かれただけという面接は、ほぼ失敗します。事実、内定辞退となるケースは社長面接後が多いのです。
 
第三に、これはと思う人材には、最終面接で明確なビジョンとミッションとポジションと待遇を示して、入社してもらえるように社長が直接頼むことです。ビジョンやミッションやポジションと待遇は、入社時と大きな期待に応えてくれたらどうするかという中期的なものも伝えることが必要です。この時に社長の採用への熱意が感じられないと候補者は不安を感じて決断しにくいのです。
 

本気で探せば素晴らしい人材と巡り会える

先ほど町工場でも大企業でも関係ないといいました。
町工場でも社長が本気で探せば、会社を何倍もの素晴らしい会社にする人材と巡り会うことも出来ます。今売上が小さく、社員が少なくても、社長のビジョンがあるならそこに興味を持つ人材はいます。規模が拡大しても、それを続けることが会社の成長に必要です。
社長は、百人に一人の良い人材を、他社と競い合って採用するのだという意識を持つべきです。
 
あとは、採用後の定着の問題です。
一言で言えば、社員が育つまで手間をかけることです。人間性がある社長が育てるのです。だめなところを見つけて諦めていたら、永遠に人材の定着は無理です。
 
いい人材と一緒に素晴らしい会社にするという意識が、社長には必要だと思います。
 
 

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【著者プロフィール】
海老一宏 (えび・かずひろ)
人材紹介コンサルタント。キャリアカウンセラー。アクティベイト株式会社代表取締役社長。
1957年、宮城県仙台市生まれ。中央大学卒業後、東証一部上場企業 品川白煉瓦株式会社(現、品川リフラクトリーズ)に入社。人事、経理、営業に携わる。1992年に起業し、レンタルビデオ・CDショップを開業。1店舗からのスタートで、FC本部の経営まで事業を拡大。2000年に人材紹介会社に入社し、トップエージェントとして活躍。2005年に独立し現職に。財団法人みやぎ産業振興機構のビジネスプロデューサーも務める。エージェント歴は15年。面談者は6000名以上。エン転職コンサルタントで6年連続利用者評価NO.1(当社調べ)。
著書に『40歳からのサバイバル転職成功術』(ワニブックスプラス)、『一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと』(明日香出版社)。

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