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相次ぐ「バイトテロ」の原因~働く人の幸せと会社組織の在り方を考える

相次ぐ「バイトテロ」の原因~働く人の幸せと会社組織の在り方を考える

(2019年2月25日更新)

 
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社会問題になっている「バイトテロ」の原因から、働く人の幸せと会社組織の意義について考えます。

 

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社会問題になっている「バイトテロ」とは?

今年に入り、ニュースなどで騒がれ注目を集めているひとつの言葉があります。「バイトテロ」という言葉です。バイトテロとは、アルバイトなどの主に非正規雇用の従業員が、コンビニエンスストアや飲食店など自身の職場で、商品である食料品や備品、設備などに対して、あってはならないような悪ふざけを行い、それをスマートフォンなどで撮影し、SNSに投稿して炎上する現象です。問題が発生した店舗だけでなく、その企業自体が社会的な信用を失い、結果、株価の下落や売上減少に繋がるなど、大きな社会問題になっています。

 

企業側が失った信頼は回復が容易ではない

バイトテロを起こした従業員は、イタズラ程度の感覚で、自分たちの行っていることが社会的にどのような意味を持っているのかを深く考えず、その軽はずみな行為に及んでしまっているケースが多いようです。そして、たとえ自分たちの行為が表面化し問題が大きくなったとしても、そのアルバイトを辞めてしまえばそれでおしまい、といった程度に考えている節もあります。

バイトテロが発生した企業側も、辞めさせて終わるだけでなく警察へ被害届を提出したり、民事で損害賠償を求めるといった手段をとっています。しかし、これら企業側の一連の対応は、バイトテロによって企業側が受けた損害を取り戻すというよりは、今後バイトテロのような非道徳的な行為の再発を抑止するための対処的な手段である、といった方がよいのかもしれません。なぜならば、企業が受けた被害の総額を正確に算出することは難しいでしょうし、たとえ算出できたとしてもきっとそれは個人レベルで賠償しきれる額ではありません。そもそも企業が世間から失った信頼は賠償では回復できません。

しかし一番の問題は、上記のような企業側の対応も、バイトテロのような問題においては本質的な解決には至らないことにあるのではないでしょうか。

 

「バイトテロ」問題の本質と解決への道

では、本質的な解決とはいったい何でしょうか。それは「罰則や制裁をつくればよい」とか「飲食店のバックヤードをお客様からすべて見えるような設計にすれば解決する」といった、やり方・手段だけでどうにかできるものではないのかもしれません。

この問題の解決には、「従業員一人ひとりの、働くことの意味」と、それぞれの会社組織の「事業を営むということの意味」を真剣に考える機会をつくり、その学びを深めていくことが必要です。筆者がそのように感じる一番の理由は、このバイトテロという行為の本質に、人間性の問題(倫理・道徳の欠如)を感じるからです。

江戸時代の農政家である二宮尊徳は、経済と道徳について次のような言葉を残しています。

「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」

尊徳のこの言葉は、その当時赤字続きであった藩の政治体制に対して発した言葉ではないかと思いますが、これは政治だけでなく会社経営や事業運営にも当てはめて考えることのできる、本質的な言葉ではないでしょうか。特に上記の尊徳の言葉にある「道徳なき経済は罪悪である」という部分は、今回のバイトテロの本質をとらえていると言えるでしょう。

 

「バイトテロ」が発生する原因とその背景

なぜ従業員がバイトテロのような行為に及んでしまうのか、理由は様々ですが、そこには心のどこかに自分たちさえよければ「他人なら傷ついてもいい」「他人に迷惑をかけてもなんとも思わない」「ものを粗末に扱ってもよい」とか、そもそも誰かに被害が及ぶことにまで考えが及ばないといった、当人たちの倫理・道徳の欠如があることはたしかです。

ではその思考はどこから来ているのでしょうか。それはその従業員が、これまでの自分の人生で(たとえば、働いてきた職場環境や、学校生活、私生活の中で)、自ら体験し学んできたことなのです。つまり、「自分たちもそうされてきたから、自分もそうしてよい」とか心のどこかで思っている、もしくはそこにまで感性が及ばない、鈍感な感性しか持てていない、ということです。

たとえば、職場では、自分の仕事に収入を得るための価値以上のものを見いだせていないとか、私生活で言えば大切な人たち(家族や友人関係)に大切に扱ってもらえなかったとか、そのような感じなのかもしれません。

バイトテロが発生する背景には、当然そのような行為を犯す当人たちの問題もあります。しかし、企業側もまた「道徳なき事業を営んでいないか(そのような行為を犯す人間を、育ててしまっている職場環境ではないか)」と、自己を見つめ直し、事業に関わる従業員の人間的成長の場を築いていかなければなりません。

「類は友を呼ぶ」や「朱に交われば赤くなる」という諺があるように、そのようなバイトテロが起こる背景にはその職場がそのような人間を集めてしまっている、そのような人間が育ってしまう部分が少なからずあるのではないでしょうか。そのような職場環境が、本当にその事業に関わる全ての人々の幸せにつながっていると言えるでしょうか。私には、今回のバイトテロの問題は、利益追求や規模の拡大を優先しすぎた近年の経済観念がもたらした負債、そのツケの支払いのように思えてなりません。

 

ソーシャルメディアの教育

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。


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