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「君はどう思う?」はNG!? 人事部長のための「質問力」入門

「君はどう思う?」はNG!? 人事部長のための「質問力」入門

(2019年5月 8日更新)

 
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部下育成は適切な問いかけから。人事部長が身につけておくべき「質問力」について解説します。

 

いきなりの質問は避けるのが基本

社内では、上司が部下よりも力関係では上位にあります。といっても、もちろんハラスメント的な意味ではなく、あくまでも権限があることが多いという意味です。

ですので、質問も場合によっては、命令に近いニュアンスにとられることがありますし、部下が「違います」「そうは思いません」とハッキリ言えないことも多いのです。たとえば「そう思わない?」という上司からの質問に、「そうは思いません」と返すのは、余程の勇気がないとできないものです。多くの場合は、あいまいに「そうですね」とか「ええ」などと返すくらいでしょう。

まず避けたいのは、“上司は部下の意見を聞け”ということを金科玉条のように信じ、いきなり質問することです。質問はコミュニケーションの一部です。そうであるからには、あなたが上司として質問したら、必ず答えがあってそれが1つのセットということは忘れないことです。質問するだけのコミュニケーションは成り立たないということを忘れてはいけません。もちろん、「何人参加予定?」とか「集まりは何時からだった?」というような単純な問いは別です。

 

オープン型の質問では先にコメントを

答えの必要な質問であれば、必ずするべきことがあります。それは、自分のコメントを短い一言で良いので、言ってから質問することです。いきなり「君はどう思う?」というのは一見意見を求めているように見えますが、好ましい質問とは言えません。

といいいますのも、部下は同僚相手に自由に意見を言うのとは違って、人事部長を相手に、いきなり長々と意見は言いにくい立場にいるのです。

また、いきなりの「どう思う?」というのは質問そのものがオープン型(イエス、ノーで終わらない説明しなくてはならない)ですので、要領がよくわからないというのもあります。まずはクローズド(イエスかノーだけで済む)で苦労しないで答えることのできる質問から入るのが定石です。

「さまざまな意見があって当然だと思うけれど、君はどう思っている?」

「賛成の意見が多いようなんだ。君の意見は?」

というように短いコメント程度で十分です。答えやすくするためのコメントです。あまり自分の意見を長く話したり、持論を展開してから「君は?」というのは、自由なコミュニケーションにはならないでしょう。

 

命令のニュアンスにはしない

人事部長の質問というのは、繰り返しますが、部下の答えと合わせて1セットです。

「この制度には問題が多いと思うから改革しないとならないなと思う。君はどう考えているんだ?」などと質問しても「はい、確かにそう思います」のような答えになり、ここでの質問と答えをあわせてみても、とても自由なコミュニケーションとはいえないでしょう。ニュアンスとしては、あからさまな命令ではないにしても、「自分は制度の問題があると思うから、改革しなさい。いいですね」と暗黙に伝えているようなものです。

人事部長としては、質問を受けた側がどうとらえるのか、そしてそこに命令のニュアンスが感じられないかを考えましょう。

 

やってみることもなく質問する部下

人事部長に限らず、上司の重要な役割のひとつに部下育成、部下の能力を向上させるということがあるでしょう。特に、コミュニケーション能力に大きく関わる質問の基本形は必須です。

自分で行動することや考えることなしに「わからないので教えてくださいますか?」「初めてするので教えてもらえませんか?」というように、部下が、いわば丸投げで上司に頼り切りの質問が多くなるケースを考えてみましょう。自分でやってみてどうしてもわからないのでとか、調べてみてどうしても理解できない部分があるので、というような質問なら、まだ上司も答えようという気にもなります。

 

部下の質問力を鍛えるには?

このような部下の質問力の問題は、日頃の上司側の質問の仕方にも遠因があるかもしれません。日頃からうまく質問する人は、仕事での質問もうまいものです。現場で急に質問がうまくできるのではありません。これは、段取りや、プレゼン、聞き方など他のビジネススキルにもあてはまるのです。

最近は、“飲みニケーション”は少なくなりましたが、一例としてご紹介しましょう。

部下と初めて行った店で「おススメは何ですか?」といきなり質問することはないでしょうか。そういったケースでも、部下はしっかり「体験」して無意識に学習しているものです。わからなければ、その時点でただ質問すればよいと思うわけです。

そうではなく、たとえば、事前に情報を集めておいて「白身魚がおいしいと評判ですが、今日のおすすめは何ですか?」と質問する、という形を見せることができます。

そして、これは、単なる飲食店での注文の話ではありません。さまざまな場面で手本を見せることによって、間接的に部下を育成することにつながるのです。

 


 

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松本幸夫(まつもと・ゆきお)

人材育成コンサルタント。1958年、東京生まれ。「最短でできる人をつくるプロ」として、最前線を走り続けている。マスコミや流通、通信、製薬、保険、電気、金融、食品といった業界で指導を行い、営業をはじめとするあらゆる職種のプロを育成することに定評がある。自らスピード仕事術を実践。年間220回の研修、講演活動を行い、そのリピート率は92%を超える。NHKなどのテレビ出演も精力的にこなす。ベストセラーとなった『とにかく短時間で仕事をする!コツ』(スバル舎)、『仕事が10倍速くなるすごい!法』(三笠書房)、最新刊『仕事のできる人が絶対やらない質問の仕方』(日本実業出版社)など著書は220冊を超える。


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