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人事評価制度の見直しは、従業員の活性化につながるのか

2024年5月14日更新

人事評価制度の見直しは、従業員の活性化につながるのか

経営環境の変化や、働き方の多様化の進展などを理由に、人事評価制度の見直しを行う企業が増えています。相応の時間とコストを投入して実施する人事評価制度の見直しは、果たして従業員の活性化につながっているのでしょうか。

INDEX

人事評価制度に関する不信感、不満の高まり

アデコ(株)が実施した「『人事評価制度』に関する意識調査」(※1)によると、自社の人事評価制度に不満を抱いている人の割合が60%を超えることが明らかになりました。

自社の人事評価制度に不満

Q1 あなたはお勤め先の人事評価制度に満足していますか。(単一選択)

あなたはお勤め先の人事評価制度に満足していますか

人事評価制度に不満を感じる理由

人事評価制度に不満を感じる理由として多くの方が、「評価基準の不明確さ」と「評価の仕方に関する不公平感」を指摘しています。

Q2 人事評価制度に不満を感じる理由を教えてください。(複数選択)

人事評価制度に不満を感じる理由

※1 【調査概要】調査期間:2018年2月7日(水)~2018年2月12日(月)
有効回答:1532人(全体)*各項目に回答者数を記載 調査方法:インターネット調査(日経BPコンサルティング調べ)

人事評価制度は必要なのか

人事評価制度の究極の目的は、従業員のやる気を引き出し、人的資本としての価値を最大限に引き出すことにあります。しかしながら、多くの企業で人事評価制度に問題を抱えているとしたら、当然ながら、その必要性が問われるようになります。
実際、一部の大手企業では、アメリカで広がりを見せる「ノー・レイティング(※2)」という手法を採り入れ、人事評価を取りやめる動きも出始めています。今まさに、人事評価制度は必要なのか、その存在意義が問われているのです。

※2 まったく評価をしないとうことではなく「社員のランク付け」や「年度単位での評価」をやめるというもの

参考記事:人事評価研修(考課者訓練)とは? その課題や効果的なプログラムは?│PHP人材開発

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従業員が真に求めているものとは?

人事評価制度の存在意義を議論する際に大切なのは、従業員が求めているものが何なのかを正しく認識することです。
経営学の古典的な理論の一つに、「動機づけ・衛生理論(※3)」があります。この理論によると、仕事に対する満足をもたらす要因には、達成感や、裁量の範囲の拡大、自己成長、やりがいのある仕事などがあるとされています。一方で、労働環境や労働条件(金銭・時間・身分)などは、一定レベルを満たさないと不満を感じさせますが、それ自体には人を動機づける機能はないといいます。
つまり、賃金や役職、福利厚生面の条件を改善してもきりがありませんが、従業員が真に求めているのは、心理的な満足感なのです。したがって、人事評価の結果をきちんと従業員に説明すると同時に、努力に対しては承認し、改善点に対してはフィードバックを行えば、相手の納得感・満足感は高まるでしょう。

※3 F.ハーズバーグによって提唱されたモチベーション理論

人事評価制度の限界と運用

ある企業では、毎年3回、幹部が集まって期中の従業員一人ひとりの仕事ぶりについて評価調整会を行っています。毎回、10時間以上の時間をかけるそうですが、経営陣が定期的に一人ひとりの仕事ぶりに思いを馳せることは重要であるとの考え方から、継続的に実施していると言います。
ここまで人事評価委制度のあり方について考察してきましたが、完璧な制度というものは存在しないのでしょう。ただ、上記会社の事例のように、制度の運用面のほうが重要なのかもしれません。
人事評価制度の限界を認識しつつも、丁寧に誠実にその運用を行うことで、従業員の満足度とやる気が高まり、燃える集団ができるのではないでしょうか。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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