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研修効果を高める受講前後の取り組みとは?

研修効果を高める受講前後の取り組みとは?

(2020年9月11日更新)

 
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企業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、人材開発に対する投資効果がこれまで以上に厳密に問われるようになってきました。どうすれば研修効果を高めることができるのか、受講前後のポイントをご紹介します。


研修効果を測定する手法

人材開発(特に研修)の効果を測定する取り組みは欧米で進んでおり、そのための手法として、カークパトリックモデルや、ジャック・フィリップス法、BEM(Behavioral Engineering Model)法などが開発され、多くの企業で導入されています。
ただし、ここで注意すべきは、いずれの手法も研修受講による知識習得度と行動変容度を測定することが主目的であって、研修実施が業績向上にどれほど貢献しているかを正確に測定するものではないということです。


研修効果測定の限界

日本の企業では人材開発担当者が研修実施の稟議を上げる際に、経営トップから「この人材開発投資が業績向上にどのようにつながるのか、具体的な数字で示せ」と要求されることが少なくありませんが、こうした話を聞いたある欧米企業のCEOが、「そんなことを言うトップがいる会社は生き残れないだろう」と述べたそうです。
人材開発に熱心な欧米企業は、実際は前述のように知識習得レベル、行動変容レベルでの効果は測定するものの、業績との関わりにはさほどこだわっていないようです。なぜならば、業績が向上するか否かはさまざまな要因が複雑に絡み合った結果であり、研修を実施した効果が即、業績につながっていることを正確に測定するのは無理があると考えているからです。


日本企業と欧米企業の人材開発観

こうした研修効果測定に対する日本企業と欧米企業の考え方の違いは、人材開発に対する経営者の思い入れの差から生じているように思われます。
人材開発を重要な経営課題の一つと見なし、経営トップが全面的に研修などにかかわり、その結果としての業績責任はトップが負うという欧米企業と、人材開発は担当部門の仕事であり、トップにはほかにやるべき重要な仕事があると考えられることの多い日本企業。(従業員一人当たりに対する人材開発投資額が日本企業は圧倒的に少ない実体もそのことを裏付けているように思われます)
もちろん、欧米企業のやり方がすべて正しいとは思いませんが、会社全体で人材開発に取り組もうという姿勢はわが国の企業が見習ってもいいのではないでしょうか。


研修効果を高めるポイント

そもそも研修効果とは、研修の受講者の意識変容と行動変容が実現するような結果が導き出されることを意味しています。従って、本当に研修効果があったかどうかは、受講直後のアンケートだけではなく、受講後の職場におけるものの見方・考え方、行動の状況を測定して判断するしかないのでしょう。その前提に立って研修効果を高めるためには、受講前、受講時、受講後の各フェーズにおいて押さえておくべきポイントがあります。

【受講前】
1.研修の目的を受講者に正確に伝え、受講する意義を理解させる
2.自身の現状や課題に向き合い、学ぶ必要性を感じさせる
→このポイントを押さえるためには、事前課題を出して自分と内省させたり、上司との面談を通じて自己の課題に気づかせるなどの働きかけが重要となります。

【受講時】
1.研修での学びと、職場での現実の課題とを関連付けて考えさせる
2.研修後の実践課題を設定させる
→研修での学びをいかにして日常の業務に活かしていくかを考え、具体的にどういう行動を取るか、考える時間を多くとることが、職場に帰ってからの行動変容につながりやすくなるのです。

【受講後】
1.定期的なリマインドを通じて記憶の忘却に歯止めをかける
2.他者からのフィードバックや問いかけによって、行動変容を支援する
→学んだ知識や情報を忘れることに歯止めをかけると共に、行動変容を促す雰囲気を上司が意図的に醸成していくことがカギとなります。

以上、研修効果を高めるポイントをご紹介しましたが、貴重な時間とお金を投入して実施される研修が実効性を上げるためには、人事教育部門だけの取り組みでは限界があることは明白です。いかにして、現場、特に受講者の上司を巻き込むことができるかが、成功の要諦と言えるでしょう。


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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。


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