必ず成功すると考えること~松下幸之助『実践経営哲学』に学ぶ
2023年1月10日更新
事業がうまくいかないと、「不景気だから仕方ない」「政府の政策が悪い」などと、原因を他に求めがちなもの。しかし松下幸之助は、経営は必ず成功するものだという信念に立とうと訴えています。この記事では松下幸之助の著書『実践経営哲学』から、企業経営の成功について解説します。
経営は百戦して百勝
企業の業績は景気や運によって左右されるのが現実だという見方がありますが、経営は本来いかなるときでもうまくいくものであると考えるべきです。
昔から「勝敗は時の運」とか「勝敗は兵家の常」というような言葉があって、戦では勝つこともあれば、負けることもあるのが普通の姿だと考えられていたようである。
そして経営についても同じように、うまくいったり、いかなかったりというか、利益があがるときもあれば、損をするときもあって、それが普通なのだとする見方もある。確かに企業経営には、景気不景気といったこともついてまわるし、また運というようなものも一面に考えられるから、そうしたものによって業績が左右され、利益があがったり損をしたりという姿をくり返すことは現実に見られる姿である。
しかし私は、基本的には企業経営はそのように外部の情勢に左右されて、うまくいったり、いかなかったりするものではなく、本来はいかなるときでもうまくいく、いわば百戦して百勝というように考えなければならないと思う。
成功は運のおかげ、失敗は自分のせい
成功の原因は自分でなく運にあり、逆に失敗の原因は運でなく自分にあると考えればおのずと失敗が減り、どんな状況下でも経営が順調にいくようになります。
私自身の経営については、このように考えてやってきた。すなわち物事がうまくいったときは"これは運がよかったのだ"と考え、うまくいかなかったときは"その原因は自分にある"と考えるようにしてきた。つまり、成功は運のせいだが、失敗は自分のせいだということである。
物事がうまくいったときに、それを自分の力でやったのだと考えると、そこにおごりや油断が生じて、つぎに失敗を招きやすい。(中略)反対に、うまくいかなかったときに、それを運のせいにして運が悪かったということになれば、その失敗の経験が生きてこない。自分のやり方に過ちがあったと考えると(中略)、それだけ失敗も少なくなって、どういう状況下にあっても経営が順調にいくという姿になってくるわけである。
正しい経営をすれば、どんな状況でも必ず企業は発展する
日ごろから自社の経営を厳しく吟味し、当を得たやり方を求めている企業は、景気不景気にかかわらず、隆々と発展していくでしょう。
不況だから利益があがらなくても仕方がない、というのも一つの見方である。しかし、現実に不景気の中でも利益をあげ、業績を伸ばしている企業があるということは、やはりやり方次第だということではないだろうか。(中略)経営のやり方というものは、いわば無限にある。そのやり方に当を得れば必ず成功する。だから、不景気であろうと何であろうと、必ず道はあるという考えに立って、それを求めていけば、やはりそれなりの成果はあがるものである。(中略)日ごろから、"失敗の原因はわれにあり"という考えに徹して、みずからの経営を厳しく吟味しつつ、なすべきをなしていくことが大切である。そういうことをしている企業は、戦争とか大きな天変地異でもないかぎり、どんな状況にあっても隆々と発展して、その使命、社会的責任を果たしていくであろう。
景気であっても、業績を伸ばしている企業はあります。打開策は必ずあるという前向きな気持ちで、自身の経営を見直す心がけが大切だといえるでしょう。
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