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理念の明文化と共有で「断らない医療」を実現~医療法人社団 双愛会様

2025年9月 4日更新

理念の明文化と共有で「断らない医療」を実現~医療法人社団 双愛会様

4人に1人が65歳以上という「超高齢社会」日本で今、注目されているのが在宅医療である。住み慣れた自宅で落ち着いて療養する。家族に見守られながら安らかな気持ちで最期の時を迎える。そんな安心社会の創造に貢献したいと、在宅医療専門クリニックを開業した伊谷野克佳さん(「松下幸之助経営塾」卒塾生)。その志をスタッフの高度な専門能力と融合させ、組織の力として発揮するためには何が必要だったのか。東京・蒲田のクリニックを訪ね、話をうかがった。

「病院で死ぬ」が当たり前の超高齢社会

日本の総人口は、2008(平成20)年にピークを迎え、その後2011(平成23)年以降は減少を続けている。一方、65歳以上の高齢者人口は一貫して増え続け、2017(平成29)年には3,500万人を突破。総人口に占める高齢者の割合は27.7パーセントと、過去最高を更新している。
世界でも類を見ない速さで進行する日本の超高齢化に対して、医療・介護の分野では対策が急務となっている。
その一つが「在宅医療の推進」である。
高齢になると身体の機能が低下し、通院が困難になるケースが増えてくる。そうすると、身体の状態・調子としては本来入院するほどではない患者も、通院困難というだけで入院という選択をせざるをえない状況が生まれる。「本当は住み慣れた自宅で療養したい」という患者本人の希望も叶えられなくなる。
病院は基本的に治療の場としてつくられているので、生活するという観点では必ずしも快適とはいえない。したがって、入院が長引くと「自宅に帰りたい」と訴える人が増えるのである。「せめて死ぬ時は家で」という望みもむなしく、そのまま病院で最期を迎えるケースも少なくない。
1950年代前半では、人が死を迎える場所は「自宅」が最も多く、約8割を占めていた。病院で亡くなったのは1割程度である。現在、その比率は全く逆転し、約8割が病院で、自宅は1割強である。
われわれは、いつのまにか「病院で死ぬこと」を当たり前の常識として受け止めるようになった。もし在宅医療がもっと充実し、誰でもそれを受けられるようになれば、本来入院する必要のない患者は家で療養することができ、家族や地域社会との交流を続けながら、安心と快適の中で日常生活を送ることが可能になる。また、愛する家族に見守られながら、心安らかに死を迎えられる人も増えるはずだ。
在宅医療の充実は、高騰する国民医療費を抑制する方策の一つであるとともに、高齢者の生活の質の向上に資することにもなるのである。
そうした時代背景もあって、近年、在宅患者に対する訪問診療の件数は年々増加している。
では、件数の増加に伴って訪問診療を行なう医療機関が同じだけ増加しているのかといえば、一概にそうともいえないようだ。今回取材をしたのは、そうした数少ない在宅医療のスペシャリストで、東京都大田区および品川区で訪問診療に特化したクリニックを経営する伊谷野克佳さんである。
伊谷野さんは2005(平成17)年に独立・開業した。医師になった当初は大学病院や地域の基幹病院に勤務し、心臓血管外科医として活躍していたが、8年目を迎えたところで、在宅訪問医療の世界に舵を切る。そこにはどんな思いがあったのか。

取材・文:若林邦秀 写真提供:双愛会
※本記事は、雑誌『衆知』2018年7・8月号より転載したものです。
※肩書は掲載当時のものです。

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