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人事考課とは? 目的や問題点、考課者訓練のポイント、アンコンシャス・バイアスへの対策を解説

2022年8月29日更新

人事考課とは? 目的や問題点、考課者訓練のポイント、アンコンシャス・バイアスへの対策を解説

人事考課制度の改革を進める企業が増えるなか、人事考課に対する部下の関心は、かつてないほど高まっています。同時に人事考課に対して不満を感じる人も増えているといわれます。そこで今回は、人事考課の問題点や目的、考課者訓練、アンコンシャス・バイアスへの対策をご紹介します。

INDEX

人事考課の問題点とは?

人事考課は、直接の上司から部門責任者、経営層と複数の考課者によって段階的に行なわれるのが一般的です。しかし、考課者間で考課の甘い・辛いなどの不公平があったり、考課結果についての本人へのフィードバックが不十分だったりすると、納得できない部下が続出し、場合によってはモチベーションの低下や会社への不信感につながることになります。なかには、積み重なった人事考課への不満が、離職の原因になってしまうケースもあるといいます。
人材の流動性が高まり、働く人の価値観も多様化するなかにあって、人事考課は重要な経営課題として改めてクローズアップされているのです。

人事考課の目的・意義

それでは、人事考課とは、もともと何のために行なうのでしょうか。その目的を、まず確認しておきましょう。

リクルート、ライフネット生命などの人事責任者を歴任した曽和利光氏(株式会社人材研究所 代表取締役社長)は、人事考課の目的は大きく3つあるといいます。

1 自律行動の促進
人事考課時に、部下に改善してほしいこと、伸ばしてほしいことをしっかりとフィードバックできれば、上司と部下の間で改善すべき課題や仕事上の目標が共有されます。その結果、上司が部下の行動を逐一チェックして指示を出さなくても、部下は自ら「何をすべきか」を考え、主体的に行動できるようになります。

2 改善点の明示
日本人には、「耳の痛いことを相手に伝えるのが苦手な人が多い」といわれています。しかし、人事考課制度を利用することで、普段は言いにくい内容(部下にあらためてほしいこと、もっと努力してほしいこと 等)であっても、部下に伝えやすくなります。

3 評価の納得度の向上
上司・部下間の評価認識のギャップをなくし、納得度を高めていくのも人事考課の重要な目的の1つです。

以上が人事考課の目的ですが、これら3つの前提となる考え方があります。それが、人事考課は「上司・部下間の目線を一致させるために行なうもの」という考え方です。この前提をしっかりと理解しておかなければ、人事考課はうまくいかず、結果として、部下のモチベーションダウンや早期離職を招いてしまうのです。

考課者への教育研修が不足している

このように人事考課は社員への影響が大きいものですが、考課者にしっかりと人事考課の教育を実施している企業はそれほど多くはありません。考課者になったタイミングで人事考課制度の説明をしていればいいほうで、何もしないという企業もあるようです。
しかし、あくまでも人事考課制度は仕組みであり、それを理解するだけでは適切な運用は望めません。仕組みを運用する人、つまり考課者がその本質的な意味やそこに潜むリスクなどを理解しておかなければならないのです。
すなわち、教育研修が不足すると、たとえば、考課者本人が無自覚のうちに部下のやる気を削ぐような人事考課をつけるというケース生まれてしまい、先に述べたような事態に発展してしまうのです。

適正な人事考課を妨げるアンコンシャス・バイアスとは?

上司がつけた人事考課への社員の不満を解消するためには、考課者訓練が必須となるわけですが、教育に必ず取り入れたいのが「アンコンシャス・バイアス」に関する研修です。
アンコンシャス・バイアスは、「無意識に生じる認識や偏り」と定義される心理学の用語です。「思い込み」「偏見」「決めつけ」「先入観」などと訳されることもあり、人事考課制度の適切な運用にも、理解が不可欠なものだといわれています。というのも、人事考課のあらゆる局面で、アンコンシャス・バイアスが働く危険性が潜んでいるからです。

たとえば、人事考課について、次のようなことを見聞きしたことはないでしょうか。

  • 「ハロー効果」
  • 顕著に高い特定の評価項目において強い印象を受けた結果、その項目に引きずられて、その他の項目についても同じように高く評価してしまう心理作用
     
  • 減点化傾向
  • マイナス評価が先に立ち、「あれもダメ、これもダメ」と減点方式で評価をする傾向

  • 独自論理の適用
  • 評価者が自分勝手に作った理屈、論理によって評価を行なってしまう心理作用およびその現象

これらは、人事考課時に注意すべきアンコンシャス・バイアスとしてよく指摘されるものです。このほかにも「被考課者の能力や成果を把握するための日々のコミュニケーション」や「人事考課面談で考課結果をフィードバックする時」などのあらゆる場面でアンコンシャス・バイアスが働いているといわれています。
すなわち、[被考課者の観察]→[評価]→[フィードバック]という人事考課に関わるすべてのプロセスにおいて、アンコンシャス・バイアスが働く危険性が潜んでいるのです。

考課者訓練にはアンコンシャス・バイアス教育が不可欠

人事考課のバイアスにとらわれると、部下の能力・成果を適切に把握できず、人事考課面談のフィードバックも部下にとって説得力のないものになります。もちろん、部下のモチベーションやパフォーマンスへ大きな影響が生まれてしまうでしょう。
つまり、適切な人事考課をするためには、人事考課の基本的な考え方やルールを学ぶだけでなく、アンコンシャス・バイアスについての教育・研修が不可欠なのです。

PHP研究所の考課者向けeラーニング教材

PHP研究所のeラーニング教材『アンコンシャス・バイアスから考える人事考課』(監修・曽和利光氏)は、人事考課に関連するさまざまなバイアスを学びながら、「人事考課制度の意義や目的、評価やフィードバックの注意点」といった「人事考課の基本」も身につけることができるコースです。昇進昇格時の考課者研修や、アンコンシャス・バイアス研修の一環としてご活用いただけます。

本教材を通して、偏見や思い込みにとらわれず、適正な考課ができるようになれば、部下の考課への不満は軽減されます。それだけでなく、上司と部下の関係の質も向上するという副次的な効果も期待できます。
そして、結果として、仕事にも意欲的にチャレンジするようになり、その前向きなが姿勢が部下をさらに成長させるという好循環が生まれるでしょう。
会社と社員、両者の成長につながるような人事考課を行なうためにも、ぜひ本教材をご活用ください。

PHP研究所 マルチメディア制作局

eラーニング『アンコンシャス・バイアスから考える 人事考課』はこちら

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