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課長職に求められる3つの役割

2014年12月 3日更新

課長職に求められる3つの役割

課長職には、業種・業態、規模の大小などにかかわらず、共通の本質的な3つの役割があります。この役割は、管理職に共通の項目ですが、部長職、課長職、係長職という役職によって内容・レベルが異なります。ここでは課長職の役割について、くわしくご紹介します。

INDEX

課長職に求められる役割とは

課長の職責を担っている方々に「課長職にはどのような役割があると思いますか」と尋ねると、さまざまな答えが返ってきます。一人ひとりがイメージする課長職の役割は実に多様で個性的です。そして、これには唯一の正解というものはありません。働く環境、育ってきた環境、所属している企業・団体の業種や業態、規模などはさまざまですから、課長職の役割に対する解釈が多岐にわたるのは当然のことといえるでしょう。
とはいえ、業種・業態、規模の大小に関わらず、課長職にある人には共通の本質的な役割があるのです。ここでは、普遍的な課長職の役割3項目を提示します。


【課長職に求められる3つの役割】
1.成果をあげること
2.チーム・組織を強化すること
3.新しい仕事をつくりだすこと


課長職にとって、これらを正しく理解し、実行することはその職務を全うする上で極めて重要なことです。では、この3項目について、それぞれポイントを確認しましょう。

1 成果をあげること

成果とは、結果と、結果に至るプロセスを意味します。成果というと、具体的な数字で測れる定量的な売上計画や利益計画などを達成すること、というイメージがあります。しかし、ここでいう成果には業務プロセスや職場風土の改善、部下の能力向上など、数値で測りにくい定性的な要素も含まれています。
成果については3つの指標で考えることが重要です。
1つ目は、「ビジネス・サティスファクション(Business Satisfaction)」という指標です。これは、事業の成功とか目標の達成、課題の解決などビジネス上の具体的な成果を指します。課長職の皆さんは、通常、日頃から具体的な目標を与えられ、それを達成することが求められています。「ビジネス・サティスファクション」とはそうしたビジネス上の課題解決や目標の達成のことをいいます。
2つ目は、「カスタマー・サティスファクション(Customer Satisfaction)」、すなわち顧客満足という指標です。目標達成や課題解決のためなら何をやってもよい、手段を問わないということではありません。大切なのは、あくまでお客様の満足度の向上をめざすことです。そうでなければ、持続的な事業の成長は望めないでしょう。お客様の満足度があがるような仕事ができているかどうかといった観点から成果を測ることが重要です。
3つ目は、「エンプロイー・サティスファクション(Employee Satisfaction)」です。顧客満足を実現し、仕事の成果をあげるためには、それに取り組む従業員の満足度を高めなければなりません。従業員を大切な資産と考え、福利厚生面の充実など働きやすい環境をつくることや、育成し成長させること、すなわち従業員満足度と能力の向上を常に心がけることが重要です。
課長職のあげるべき「成果」とは、これら3つの指標をバランスよく満たす成果なのです。

2 チーム・組織を強化すること

そもそもチーム・組織とは何でしょうか。単なる人の集まり(烏合の衆〉と、チーム・組織と呼ばれるものの違いはどこにあるのでしょう。
有名な経営学説によると、チーム・組織が成立するためには、
(1)共通の目的・目標がある
(2)構成するメンバー全員が協働してその目的・目標を達成しようという貢献意識をもっている
(3)メンバー相互に良好なコミュニケーションがとれている
という3つの条件が必要とされています。要するに組織とは、共通の目的・目標を達成するために有機的に結合された人間の集団です。
では、どうずればチーム・組織をより強くすることができるのでしょうか。それには強いリーダーの存在、メンバーの主体性ややる気の充実、情報の共有化、革新(変革)の気風、メンバーの役割と権限の明確化、人材育成、メンバーの学習成長意欲、公正公平な評価と処遇など、さまざまな要素があげられます。


3 新しい仕事をつくりだすこと

与えられた目標や課題を達成して、「成果」をあげることと同様、新しい仕事をつくりだすことも重要な課長職の役割です。新しい仕事というのは、文字どおり新しい事業分野、新しい商品やサービスの創造や提供ということだけでなく、業務プロセスを改善したり、品質を向上させたりすることなども含みます。
与えられた目標を達成するとともに、時代や環境の変化に対応して戦術を変更・改善したり、自ら課題や目標を設定し、周りの協力を得ながら達成していくことが求められるのです。
言葉を換えればグローバル化、価値観多様化、高度情報化といった急激な時代変化など我々を取り巻く環境の刻々の変化に対応し、自らや自らのチーム・組織を革新(変革)し、顧客に新しい価値を創造、提供しつづけることです。

部長、課長、係長で役割のレベルが異なる

3つの役割は、あらゆる役職に共通の項目ですが、その内容レベルは、部長職、課長職、係長職という役職ごとに異なります。
まず、「成果をあげる」について考えてみましょう。同じ成果であっても部長職における成果は「未来の成果」(来期以降)を意味します。他方、課長職にとっての成果は「今期の成果」(半年・年間)であり、係長職は現場第一線の指揮官であるだけに「今日の成果」です。つまり、部長職にとって最も重要な役割は、未来の成果をデザインするということ。比べて、課長職は半年・年間のやや短期的な成果、係長職はさらに短く今日の成果を求められる傾向があります。
「チーム・組織を強化する」ということについてはどうでしょうか。部長職においては、未来の組織づくりが重要な要素ですが、課長職においては、チーム・組織の総合力の向上がメインの役割です。また係長職においては、メンバー個々の戦闘能力をいかに高めるかが重要な課題です。
「新しい仕事をつくりだす」については、部長職は未来の成果に向かっての仕事と組織の革新(変革)が重要な役割です。課長職については主に戦術レベルの変更や改善が現実的な課題となります。また係長職は日々の工夫や改善がテーマとなるでしょう。
以上、役職による内容レベルの違いについて要点のみ述べてきましたが、これはあくまで1つの目安であり、基準となる指標にすぎません。できればそれぞれの役職において、さらに一段上の役割レベルの遂行をめざして、自らを磨き高めることが重要であることはいうまでもありません。

出典:PHP通信ゼミナール『課長職マネジメント革新コース』

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芦刈法明(あしかり・のりあき)
PHPゼミナール講師。
1979年、株式会社PHP研究所入社。書籍・雑誌などの普及活動に携わる。89年から経営開発事業本部にて企業・団体への研修普及および研修企画開発を担当。PHPゼミナール主幹講師。2017年に定年後、PHPゼミナール講師として階層別コースを幅広く担当している。

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