きびしさ~松下幸之助「人を育てる心得」
2016年6月13日更新

指導者は公の立場に立ってきびしい要求をもたねばならない
初代梅若実は能の名人といわれた人だそうだが、若いころ山階滝五郎という人のところへ稽古に通っていたという。ところがある時、謡曲の一カ所を何べんくり返しても「よし」といってもらえない。かといって、「こうしろ」と教えてももらえず、ただ「できるまでやれ」と何度も謡わされるだけである。
それでついには涙を流しながらくり返したけれども、それでも滝五郎はいいとはいわない。そのうちにふと滝五郎の姿が見えなくなったので、きょうの稽古はこれでおしまいかと思い、帰ってしまった。ところが、そのあと滝五郎が戻ってきた。実がいないので、「どうしたのか。まだできるはずはないが」と家人にたずねると、「先ほど帰りました」ということなので、大いに怒って、「もうあしたから稽古はしない」ということになった。そこで驚いた実は再三わびて、やっと許しを得、またきびしい稽古を重ねたというのである。
これはいわゆる芸道修業のきびしさというものであろう。どんな道でも、名人、上手といわれるような人は、このようなきびしい修業をへて、はじめてその域に達するのだと思う。そして、そのためにはやはり教え導く立場にある者が、そういうものをもたなくてはならないということである。
まして、世の指導者といわれる人びとにはそのようなきびしさは不可欠のものだといえよう。指導者として事を行なうのは、いわゆる公事であって、私事ではない。つまり、そのことによって、国家社会なり、人びとになんらかのプラスを与えるためにやるのであり、自分個人のためにやるのではない。
だから、指導者はそのことに怠りがないよう、自分に対して、また下の人に対して、ある種のきびしさをもたなくてはならない。それは個人的には一面つらいことであり、時には情においてしのびないということもあろう。だが、そうした私情をおさえて、きびしい要望をし、きびしい追及をし、過ちに対してはきびしい叱責をするということが、指導者が事をなすにあたって求められているのである。いわば、それは指導者が世間から無言のうちに求められていることだといえよう。
指導者に公の立場に立ったきびしさがあって、はじめて人も育ち、事も成就するのだと思う。
【出典】 PHPビジネス新書『人生心得帖/社員心得帖』(松下幸之助著)





































































![[新版]できる社員の仕事術マスターコース](/atch/tra/IBI.jpg)
![[新版]中堅社員パワーアップコース](/atch/tra/IAJ.jpg)




















![[改訂版]会社の経営数字マスターコ-ス](/atch/tra/AFE.jpg)
![[新版]会社の数字入門コース](/atch/tra/AFC.jpg)












![[金融編]「美しいペン字」練習講座](/atch/tra/DFC.jpg)



![[新版]ケースで学ぶ 実践!コンプライアンス ~社会人として求められる考え方と行動~](/atch/el/95139_01.jpg)
![[ケーススタディ]今こそ知っておきたい コンプライアンス50 ~違反防止で終わらない。価値を高める行動へ~](/atch/el/95140_01.jpg)

















![[テレワーク時代の]社会人やっていいこと・悪いこと](/atch/dvd/I1-1-065.jpg)























![ホスピタリティ・マインド[実践3]心くばりで感動を共有しよう](/atch/dvd/A1-2-036-1.jpg)
![ホスピタリティ・マインド[実践2]気くばりで顧客満足度アップ](/atch/dvd/A1-2-035-1.jpg)
![ホスピタリティ・マインド[実践1]品格あるマナーで好感度アップ](/atch/dvd/A1-2-034-1.jpg)




![私たちのコンプライアンス[4]](/atch/dvd/I1-1-073.jpg)








![ストレスチェック制度対応 [改訂版]セルフケアからはじめるメンタルヘルス・マネジメント](/atch/dvd/I1-1-040.jpg)





![みんなで実践[異物混入対策]SNS炎上防止とクレーム対応](/atch/dvd/I1-1-035.jpg)
![みんなで実践[異物混入対策]現場改善で異物をなくす](/atch/dvd/I1-1-034.jpg)






































