「本気で部下と関わる」ということ【コラム】~辻騎志
2012年12月 3日更新
管理職研修をしていてつくづく感じることは、“本気で部下と関わっている上司が極めて少ない”ということです。別の言葉で表現するなら“部下を愛していない上司が多い”ということになるでしょうか。
マザー・テレサは「愛の反対は無関心」と言いましたが、部下のことに無関心な上司が多いのです。
研修で、「皆さんは部下のことをどれくらい知っていますか?」と言って「フルネーム、年齢、趣味、家族構成……」と進んでいくのですが、フルネームから書けない方がいるのです。これには驚きました。「士は己を知る者のために死す」(史記)とは、ほど遠いと言わざるを得ません。これでは、部下が思うように動いてくれなくても当然ではないかと思います。
そうなってしまった原因として考えられることは、(1)自分の仕事に追われていてそれどころではない、(2)そもそも部下に関心がない、(3)感情的に関わるのがおっくう、(4)自分に自信がない、といったところでしょうか。以下、その対策について考えてみたいと思います。
(1)自分の仕事に追われてそれどころではない
まずは自分が仕事を抱え込みすぎていないか、部下に任せていいものはないかをチェックしてどんどん任せて行くことです。時間をつくって部下指導するのが仕事です。
(2)そもそも部下に関心が無い
人は自分に関心を持ってくれる人に関心を持ちます。こちらの言う事に耳を傾けてほしければ、まず、こちらが相手に関心を示すことから始めた方が賢明だと思います。
(3)感情的に関わるのがおっくう
人間は感情の動物です。自分の感情を見つめることから始めてみましょう。自分の感情を理解し、受容してくると、相手の感情に対しても受容できるようになります。
(4)自分に自信がない
自分に自信をつけるのは自分の役割です。小さな目標を一つずつ達成して、成功体験を自分にさせてあげましょう。少しずつ目標のレベルを上げて行けば自信につながります。
これらのことを克服して、ぜひ部下と真剣に関わり育てて行ってほしいと思います。
辻 騎志 つじ・きよし
1960年沼津市生まれ。大学卒業後、人間教育を中心とした研修機関に所属。同時に、故国谷誠朗(くにやのぶあき)氏に師事し、多岐にわたる心理療法を学ぶ。その後、専門学校にて心理学と人間関係論を担当。長年にわたり、中小企業の経営に携わった後、現在はPHPゼミナール・講師(PHPコーチング・認定ファシリテーター)として活躍中。静岡県福祉施設第三者評価者。