知・理・凛と鳴る鈴を心に【コラム】~朝倉慶
2012年12月18日更新
私のマナー研修を受講された方が新約聖書の「目から鱗(うろこ)」とおっしゃいます。何かがきっかけになって、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになるたとえです。
マナー研修というと会釈、敬礼、最敬礼の「お辞儀の仕方」「言葉遣い」をイメージされていて、形以前に大事な心があることをご存じないのでしょう。それに気づかれて「目から鱗」とおっしゃいます。形より見えない心が大事です。
人は大切にされるとそれをお返しします。ブーメラン効果があります。「相手を大切にすると相手からも大切にされる」ということです。お互いに大切にする心を“感”じて、より良い出会いにつなげて“動く”「感動」がマナーの真髄です。「感動」の瞬間の希望にあふれる笑顔を想像してみてください。その表情は輝いています。
明確な生き方や仕事観を持っていると「気づく」という感性が磨かれます。自分が大切にしているものがあると相手の大切にしているものとの違いに気づけます。それを素直に受け入れると見方や考え方が広がり、より豊かな心になります。
マナーは、自分も相手も大切にする豊かな心と、過去色々な人が残してくださったスキル「形」との調和です。そして、マナーの基本の形は、一番格の高い最上級です。最上級ですから、TPOによって変化させる必要があります。そこに相手の希望を読み取る「気づく」感性が必要になります。
心のマナーは、全ての研修の根底に流れているように思います。リーダー研修は相手が後輩、部下になり、CS研修やサービス接遇研修は相手がお客さまです。それぞれの研修で、相手を大切にする理念となる「生き方」「働き方」を構築する必要があります。「思いやり」の心のマナーの感性を磨く必要性を感じます。
PHPで学んだリーダーの原理原則に「ついてきてこそ指導ができる、進歩してこそ指導ができる」があります。ついて来てもらえるだけの魅力(=マナー)を磨き、日々新たな可能性にチャレンジする(成長=進歩)、この生き方があるから指導ができるということです。知(知恵=人間的な魅力)、理(理念=心のものさし)、凛(心と形の調和) “ちりりん”と鳴る鈴を心に、厄介なでこぼこ道であればあるほど軽やかな、爽やかな鈴を鳴らして生きていきたいと日々鼓舞しています。
朝倉 慶 あさくら・けい
1972年、全日本空輸(株)に入社。キャビンアテンダント主任を、インストラクターCAとして後輩の指導にあたる。1974年より国際線客室乗務員として乗務。退職後、YEA国際学院(キャビンアテンダント養成)講師、同副学院長を務める。1988年、朝倉ゼミナール研究所を設立、所長に就任。同時にPHPゼミナール講師としての活動を開始。現在、企業、大学、専門学校などで各種研修、講座の講師を務める。PHPコーチング・認定ファシリテーター。