凡事徹底の大切さ【コラム】~今村恵理
2013年6月18日更新
PHPゼミナールで研修を担当させていただく際に、大切なキーワードとしてお伝えしているメッセージの一つに「凡事徹底」があります。「当たり前のことを当たり前に徹底的に、実践し続けること」という意味ですが、凡事徹底の大切さをあらためて実感する機会に恵まれました。
先日、現状把握と現場指導を目的に、ある地方銀行の本店や支店を1日で10店舗ほど“覆面調査”形式で訪問させていただいたところ、お店に入った瞬間に、居心地がよくまた来たいと思わせるような活気のあるお店と、なぜかギスギスとした潤いの乏しい感じで早く帰りたいという気持ちになってしまう活気不足のお店の雰囲気の違いを感じたのです。
活気のあるお店と、活気不足のお店の雰囲気の違いは、5S(整理整頓、清掃、清潔、躾)やお客様や従業員に対する感謝の心といった凡事徹底の姿勢が、特に管理職の方々にあるか、そして各メンバーにまで浸透しているかどうかに影響されるように思われます。
活気のあるお店は、全体に清潔感があり、掃除が行き届いて、整理整頓ができていました。お店の要となる管理職が、周囲を良く見て適時適切に指示や声かけをしており、メンバーのテキパキとした動作が見られ、身だしなみも整い、元気よく自然な挨拶ができていました。また、支店長とお話をする機会をいただいた際、何気ない会話の中からでも、メンバーのことを、信頼し任せている様子が伝わり、帰る際も丁寧にお見送りをしてくださいました。一方、残念ながら、活気不足のお店は、一人ひとりのメンバーは一生懸命がんばっている様子が伝わるのですが、整理整頓、環境美化の意識が不足し、自分の目の前のことで精一杯のようで、チームワークがあまり取れていない感じがしました。
忙しい中でも、全員が「私たちのお店」という意識で環境美化に努め、お互いに相手を思いやり、できる範囲で助け合い協力し合う気持ちがあると、そこにお互いの声かけや笑顔、ちょっとした心のゆとりが生まれ、それらがお店の活気につながっていると確信しました。余裕がなくなると、つい忘れてしまいがちな基本の確認と実行を継続的に推進していくこと、凡事徹底の姿勢をこれからも大切に研修を担当して参りたいと思います。
今村恵理 いまむら・えり
NHK長野放送局にて報道部勤務の後、ビジネスマナー・サービスマナー講師として研修活動を行なう。1995年よりPHPゼミナール講師。
PHP認定ビジネスコーチ(上級)、チームコーチ、(社)日本産業カウンセラー協会産業カウンセラー、全米NLP協会公認NLPトレーナー。