他者視点を育むフィードバック
2014年1月 9日更新
ゆとり世代と言われる最近の若者たちの傾向として、他者視点が欠落している人が多いと言われています。電車の中で化粧に熱中する若い女性、ヘッドホンから音漏れをしても一向に気がつかない若者、仕事に適さない身だしなみや髪型をしてくる新入社員……。
結局、彼ら彼女たちは、自分の行動が他の人にどういう影響を与えているか、どういう印象をもって見られているかを考えるところまで意識が向いていないのです。
他者視点の欠落を放置しておくと「他責」の考え方が助長され、うまくいかない原因を他に求めるようになって、対人関係のコジレや仕事上のトラブル発生につながりやすくなります。したがって、他者視点にたったものの見方・考え方をすることは、ビジネスパーソンにとって必須の要件とも言えるでしょう。
では、どうすれば他者視点を育むことができるのでしょうか。もっとも効果的なのが、的確なフィードバックをするということです。たとえば、問題のある言動をした相手に対して「今朝の君の言動が、職場全体を○○な感じにさせていたよ」とか、がんばっている相手に対して「最近の君のがんばりを、『素晴らしい』と△△部長が会議で発言していたよ」等々。要するに、相手の改善点や良かった点を、上司や先輩、指導員が具体的なメッセージにして直接伝えてあげるのです。
こうしたフィードバックがなされると自分の行動を客観的に見ることができますので、自身の課題に気づきやすくなると言われています。実際、他者視点の欠落から精神疾患にかかってしまった患者をフィードバックによって治癒に導いている医療機関があるなど、フィードバックの効果性は実証されているのです。
お金も時間もかからず、手軽にできる指導法であるフィードバック。現場の管理監督者のみなさんにぜひ、その重要性を理解していただきたいと願っております。
的場正晃 まとばまさあき
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長