信頼に至るプロセス 【コラム】~平美和
2012年1月20日更新
お正月にサッカー日本代表・長谷部誠選手の『心を整える』(幻冬舎刊)を読みました。
まだ読んでなかったの~?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、年の初めに読むことに、意味があるんだと、勝手に都合よく解釈して読みました。
コーチング研修やカウンセリング、セルフマネジメント研修などを多く担当させていただいておりますが、コミュニケーション研修で必ずといっていいほど学ぶことは、「相手とラポール(信頼関係)を築きましょう」「信頼関係築くことが大切です」ということです。
今日はその「信頼」ということについて、少し違った角度で、私が感じていることをつぶやきたいと思います。
「信頼」という状態を創るのに、どのくらいの時間が必要だと思いますか?
もちろん答えなんてありませんが、1つ言えることがあるとすれば、「信頼」という状態を築くのには、私たちは、いくつかのプロセスを通っているということです。
どのようなプロセスかというと、最初は、「警戒」という状態です。要するに怖いという恐れの状態。
そしてその次は「疑心」。怖いということではないが「本当にこの人は信頼できるのだろうか、大丈夫なのだろうか」という状態です。ですから不安感を取り除くことが大切。つまり、安心感を創り出すこと。
そう、次のプロセスは「親和」。人は、同じだな、一緒だな、なんか合っているなと思うと、安心感、または親近感を得て、心の扉を少しずつ開いていこうという勇気を発揮します。
そしてもう1つ。人は「この人誰?」という人の話はなかなか耳を傾けにくいようです。ですから、私たちが当たり前に行っている「挨拶」「自己紹介」が大切なのです。セミナーをしていても、参加者同士が自己紹介をすると、一気に空気が和らぎリラックスしていきますよね。
さて、次のプロセスは何か。そう、信頼なのです、と言いたいところですが、「信用」。信用というのは、肩書きの影響も大きいようです。
社長だから、部長だから、〇〇大学を出ているから、〇〇会社に勤めているからなどなど。社長でいる間は、年賀状やお中元お歳暮が多く届き、ゴルフのお誘いがあり……。けれども退任したとたん、お誘いがなくなったという方もいれば、社長でいる間も退任後も変わりないという方もいます。その違いは何でしょうか。
そして最後が「信頼」。信頼の状態というのはもう、おわかりのとおり「あなただから」です。「あなた」という存在が、どれほど周りに影響を与えているのか、その事に気づくことも大切なのです。
今までもたくさんの方と「信頼」という状態を創ってきているあなたが、今までより早い段階でその状態を手にすることができたら、どんなことが得られるでしょうか。
「技」つまりスキルを磨くのもとても大切なこと。それ以上に大切なことは、人としてのあり方、「心」の豊かさだと思っています。
研修講師を務めるときに、私がとても大切にしていること。そのことを、長谷部選手からも教わった年の始めでした。
そして、2012年。今日も、心を整えて、参加者の前に立っています。
平 美和 たいら みわ
1987年、郵政省入省。東京郵政局[※]において、秘書業務を経て、人事部にて人事評価制度(MBO含む)策定・運用およびその研修に関わる。併せて、コーチングの研修企画・ツール作成(マニュアル・ビデオ等)および部内講師を担当。平成15年(2003年)度の郵政公社発足に向けて、人事制度プロジェクトメンバーとしてコーチングの導入などを担当。2005年、日本郵政公社東京支社[※] 退職。研修講師、プロコーチとして独立。PHPビジネスコーチ(上級)。NLPマスタープラクティショナー認定。
※現、日本郵政(株)