新しいことを覚えようとしない、変化に対応しないベテラン部長
2017年7月11日更新
「このシステムに入る操作はどうするの?」「クラウドって何?」というように自分の苦手なこと、新しいことを覚えようとしない部長。あなたの職場にもいませんか?
あげくの果てに「横文字で言われてもわからないよ。日本語で説明しろ! 日本語で」と怒鳴りだし、まったく学ぶ姿勢がありません。
部長が学ばなければ、会社自体が淘汰される
「俺はITが苦手だから」「なんでもIT化すればいいってもんじゃない! アナログの方が早いんだよ」「こんなこと、覚える暇がない」「今までのやり方でうまくいっているんだから変える必要がないだろ!」――こんな言い訳をして、新しいことを受け入れない部長はどこの職場にもいるものです。
ITやAIなど技術革新がいままでにないスピードで進んでいく昨今、仕事や生活においてもそれらを活用しなければ時代に取り残されていきます。つまり、どんな人でも新しいやり方を学ばなければならないのです。
特に、会社の命運を担うポストにいる部長が学ばなければ、会社自体が淘汰されてしまいます。
働き方改革を主導するのは誰の仕事?
働き方改革は今、多くの会社にとって重要な経営課題になっています。会社や事業の中長期的な戦略を推進する部長として、業務を変革したり、ITリテラシーを高めたり、ネットワーク環境を活用することが求められます。
多くの会社は、残業を積極的に減らすことを目指して、社員にノートパソコンやタブレットを支給して、スケジュール管理、伝票や書類作成、報告書や企画書作成など、すべての業務をクラウド上で処理することを進めています。
若手社員はどんどん新しいことを覚えて業務に活用できるのですが、ベテラン社員はなかなか覚えられません。部下より劣っていることを認めたくない、部下にバカにされたくないという理由から、必死で抵抗する部長もいます。
なぜ部長が抵抗勢力になる?
昔から、何か新しい仕組みやシステムを導入する際、真っ先に反対するのがベテラン社員です。職場に新しい発想と果敢なチャレンジを促さなければならないリーダーの部長が、なぜ抵抗勢力になるのでしょうか?
それは、今まで培ってきたものを捨てなければならないからです。そして、新しいことにチャレンジすることのリスクや責任を負いたくないのです。
また、新しいことを取り入れようと思えば、そのことをよく知っている人から教わらなければなりません。今までのやり方で業績を上げてきて、熟練した技術を持っている部長はプライドが邪魔をして、教えを請うことができません。さらに、部下や若手社員が抵抗なく活用していれば、ベテランの部長は取り残されてますますついていけなくなります。
部長がチャレンジしないと、どんな弊害が出る?
部長が新しいことにチャレンジしなければ、2つの大きな弊害が出てきます。一つは、事業部が変化への対応に後手になるという弊害です。発想や考え方、やり方が今までのままであると組織が活性化しないどころか、業績がじり貧になって衰退していきます。
二つ目は、部下がチャレンジしようと思った時に邪魔をするということです。主体性やチャレンジ精神がある有能な部下はやる気をなくし、イエスマン社員や指示されたことをこなすだけの受身社員になってしまいます。
イノベーティブな部長を育てるには
働き方改革やイノベーションを起こすには、新しい考え方や方針を提示して、これまでの習慣や仕組みを変える必要があります。その際、部長が最も重要なキーを握っていると言っても過言ではありません。
部長研修では、「ビジョン」「ミッション」「顧客本位」を軸に物事を判断することを教えてください。 イノベーションは、誰もが思いつかないような画期的に新しいことを考えることではありません。これまでの常識や既存のやり方や仕組みを一度否定してみて、「ビジョン」「ミッション」「顧客本位」を軸に再構築する、その試みがまさしくイノベーションです。
部長をイノベーティブに育てることは、一般的な研修ではできません。違った価値観の人や他業界の人との他流試合をさせる研修が有効です。異業種交流会や公開セミナーなどに行かせると良いでしょう。
違う価値観に触れたり、新たな視点ややり方を目の当たりにすることで、危機感をもったり、目指すべき方向性が見えたりして、意識改革と行動革新を促します。非日常から学ぶことで、新しいことにチャレンジすることの重要性を実感できるものです。
【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)