若手社員に教えたい、上司への報告で過度に緊張しないコツ
2020年2月21日更新
上司への報告に苦手意識をもっている若手社員。過度に緊張せずに正確に伝えることができるようになるためのポイントは?
極度の緊張「あがり症」を克服して仕事を効率的に
昨今、企業では「働き方改革」の取り組みで、効率的に仕事をすることが求められます。そのためには、集中して密度の高い仕事をすることが欠かせません。従来の仕事の質ではなかなか突破できない部分があります。あえて乱暴な言い方をしますと、9時から17時まで、平均的な集中力で仕事をするのは、もう過去のやり方と思わなくてはなりません。
効率的に仕事を進めるには2つの方法があり、まずは、時間を区切って集中力を高めること、次に段取りよく仕事をすすめていくこと。若手社員と言えども、この2つは、しっかりとできるようになる必要があります。
周りとのコミュニケーションで極度に緊張する「あがり症」の場合、せっかくの集中を自分でブレーキを踏んで妨げることにつながりますから、仕事力を高めるという意味でも、なんとか克服してもらいたいものです。
自分の緊張を意識しすぎないこと
上司への報告が緊張でうまくできない、苦手意識をもっているという若手社員に、まず助言してあげたいのは、自分が思うほどには見られていない、ということ。言い換えるなら、自分では緊張してあがっていると思っていても、そのことが、聞く人、上司には、そこまで注目されているわけではないのです。残念ながら。
ですから、いい意味で開き直り、「自分があがろうが、どうなろうが、相手はそこまで気にしていないのだ」と割り切ってしまえばいいと助言してあげましょう。自意識過剰になると、結果として集中力が減ってしまいます。ですので、自分のあがり症に敏感になりすぎないことも一つの対策と言えるのです。
集中力を高める方法とは
ところで、働き方改革で求められる集中力ですが、「集中」とは、「能力を最高度に発揮できる心身ともに適度に緊張した状態」をいいます。そして「過度の緊張」が、いわゆる「あがり」です。
誰しも、集中をずっと何時間も続けていることはできません。仕事の成果を出したいのであれば、時間を区切って集中することです。要は、だらだらと集中しないで時間だけ過ぎるような密度の薄い仕事はしないことです。
集中のあとには必ず休息をとること。拳を握るのが集中としますと、拳を広げて力を抜くのが休むことです。そして、本当に集中したなら15分、長くても20分以上は持ちません。しかし、その短時間で集中して仕事の成果を出すのです。
上司とのコミュニケーションで過度に緊張しないコツ
話をもどして、緊張して上司にうまく報告できない若手社員をどうするかということですが、「何を話すか」に集中しますと、緊張や「あがり」は軽くなります。一般に、私たちは何か一つのことに集中していますと、他のことに同時には集中することができません。ですので、話の構成や話す順番に集中するというのが一つの方法です。
そこでどう話すかということですが、相手が上司の場合は、若手社員としては、まずは正しく伝えるのを第一に考えて練習してもらうといいでしょう。自分目線でなく相手目線で「この報告をしたとき、誤解なく伝わるのか?」というのが必ずおさえたいポイントです。
もう一つは、しつこいくらいに確認することです。相手にしてみれば、同じことばかり確認してきて「くどい」と思うかもしれませんが、言葉不足で伝わらないよりはるかにマシです。
また、若手社員であれば、人情としては、うまくいった報告を先にしたいと思うでしょう。しかし、うまくいかなかったことを報告することが大切であると教えましょう。「たぶん大丈夫です」のような、憶測や希望を交えないことも基本です。
事実を正しく伝えること、結論を先に、うまくいかなかった結果は先に、そして憶測を交えず事実を報告するというのが基本。それに加えて、自分が話したいときにいきなり話すのでなく、上司の忙しい時や、気分がすぐれない時を避けるなどの配慮をするというのも、きちんと教えます。
もちろん、ふだんから上司とのコミュニケーションを密にしておくというのも、緊張しないためには大切です。そして、話す内容や順番などに集中してその訓練を積むことを意識していくと、緊張してうまく話せないということも徐々になくなっていくのではないでしょうか。
松本幸夫(まつもと・ゆきお)
人材育成コンサルタント。1958年、東京生まれ。「最短でできる人をつくるプロ」として、最前線を走り続けている。マスコミや流通、通信、製薬、保険、電気、金融、食品といった業界で指導を行い、営業をはじめとするあらゆる職種のプロを育成することに定評がある。自らスピード仕事術を実践。年間220回の研修、講演活動を行い、そのリピート率は92%を超える。NHKなどのテレビ出演も精力的にこなす。ベストセラーとなった『とにかく短時間で仕事をする!コツ』(スバル舎)、『仕事が10倍速くなるすごい!法』(三笠書房)、最新刊『仕事のできる人が絶対やらない質問の仕方』(日本実業出版社)など著書は220冊を超える。