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論理的な意思決定の方法

2016年1月18日更新

論理的な意思決定の方法

成功確率の高い結論を出すためには、論理的な意思決定が欠かせません。若手の頃から、論理思考によって自分の行動を決める習慣を身につけさせる必要があります。その方法を、吉田繁夫氏にご紹介いただきます。

今回のテーマは「決める」です。一概に「決める」と言ってもいろいろなケースがありますが、仕事や大事なことを決めるときはじっくり考えて決めたいものです。

論理的な意思決定とは

「決める」ことが重要なのは、それが自分の行動を決めることであり、それによっては将来の結果が変わってしまうかもしれないからです。

そこで私たちは、できるだけ良い結果、すなわち成功確率の高い結論を決めるために、論理的に考えることが必要になります。勘や成り行きに任せては良い結果を得られそうにありません。

論理的な決定のために用意するものは、どのような結果にしたいのかという自身の意思(目的)と、その実現に関わるできるだけ多くの情報です。これらの情報から、結論の案(選択肢)をつくり、どの案が自分の期待に最も近いのかを判定することを意思決定といいます。

ここで重要なのは、意思決定とは"選択"だということです。案が一つしかなければ、何も検討せずとも、それが自動的に結論になります。少なくとも「する」「しない」といった最低の選択肢が無ければ、論理的な意思決定にはなりません。

意思決定のプロセスは、

(1)自身の意思を「目的」として設定する
(2)そのための手段の案を「選択肢」として設定する
(3)選択肢を比較する基準として「選択基準」を設定する
(4)選択基準ごとに選択肢を比較する
(5)比較の結果を結論とする

という流れです。

「選択条件設定」と「選択肢の比較」の方法

「選択条件設定」と「選択肢の比較」について、もう少し説明を加えます。

選択肢同士を比べる基準が「選択基準」ですが、これは選択にあたって自分が"こだわること"です。たとえば、家を買うときの一般的な選択基準は「価格が安い」「駅に近い」「間取りが広い」などですね。

ここまでは誰でも考えることですが、さらに選択基準に「ウェイト」を付けます。いろいろな選択基準にも、自分のこだわり度の違いがあるはずです。それを点数で、選択基準ごとに設定します。たとえば「価格が安い:10点」「駅に近い:7点」という具合です。点数は自身の価値観、つまり「こだわり度(こだわりの強さ)」です。

その次に行う「選択肢の比較」は、選択肢同士を選択基準に照らして比べることですが、このときも選択基準ごとに点数を付けていきます。たとえば「価格が安い」という選択基準について、「A物件:10点」「B物件:8点」という具合です。この点数は、自分のこだわりにどれだけ合致しているかを表し、「個点」と呼びますが、選択基準ごとに点数を付けていくのは、他の選択基準と混同して点数を付けないようにするためです。

なお「ウェイト」「個点」ともに、こだわり度の最も高いものを10点と設定し、他はそれに対する点数として考えると、設定しやすくなります。

そして、ウェイトと個点を掛け合わせた点数が「評点」で、評点の合計点がで、どの選択肢が自身の意思に総合的に最も合ったものかを表します。

問題発見力

ただし最後にもう一つ。点数は、あくまでも自身のこだわり(価値観)を表したものなので、勘違いや思い違いということもあります。そのため、一度まとめた点数を即座に結論とするのではなく、自身の思い違いなどが無いか、ていねいに再確認することが大切です。

「ロジカル交渉力」開発コース
ロジカル・プレゼンテーション入門研修
吉田繁夫(よしだ・しげお)
シーズ経営研究所代表。経営コンサルタントおよび研修講師。コンサルティング分野では、現状分析から課題抽出、対策設定の支援と助言、経営計画の論理的な策定指導、経営改革指導、人材の情緒的特性も考慮した業務改革・改善のための管理者指導を展開。研修分野は、論理思考をベースにした思考力、状況分析力、問題解決力、計画立案力、マネジメントコミュニケーション力、部下指導力、プレゼンテーション力、文書作成力などが中心。2005年に研修会社(株)エイチ・アール・ディー研究所を設立し、当初より現在まで代表取締役社長。著書に『事業計画の立て方』(TAC出版)、『結果を出す管理者・出せない管理者』(あさ出版)など多数。通信教育講座『「ロジカル交渉力」開発コース』(PHP研究所)監修。

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