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納得しないと動かない新入社員。仕事の基本をどう教える?

2019年3月26日更新

納得しないと動かない新入社員。仕事の基本をどう教える?

昨今の新入社員は「自分が納得しない」と言われます。仕事の基本や職場のルールをどう教えるといいでしょうか? そのポイントを解説します。

納得しなければ動かない新入社員

「その仕事、意味あるんですか?」――昨今の新入社員は、上司からの指示であっても納得しなければなかなか動かないといわれます。しかも厳しく指導すると、彼らのモチベーションは大きくダウンします。
転職市場が活況を呈し、辞めても引く手あまたの彼らは、上司の側から見れば些細なことをきっかけとして早期退職に走ってしまいます。人手不足の現場で新人が辞めると責任を問われる上司世代。自分たちは厳しく指導されてきたのに、新人には優しく丁寧な指導を求められ、ストレスを感じることも多いと聞きます。
しかし、なかには素直で優秀な人もいて、自分が納得できたことは的確に実行できるので、根気よく向き合っていくことが大切でしょう。

アルバイトと正社員の違い

新入社員にまず教えたいのが、アルバイトと正社員の違いではないでしょうか。今の時代の学生は、学業のかたわらアルバイトなどで働くことが少なくありません。新卒入社であっても、仕事の経験がまったくないという人は、むしろ珍しいといえるでしょう。
ただ、同じ「お金をもらって働くこと」ではあっても、学生のアルバイトと、正社員として働くこととは、心構えも取り組み方も大きく違ってきます。日々の仕事にどのように取り組めばいいのかも、やはり基礎から教育していく必要があるでしょう。

入社内定者を対象にしたPHP通信ゼミナール『社会人、やっていいこと・悪いこと』では、「基本を守ることの大切さ」「仕事を選り好みせず、苦手を克服する」「チームに迷惑をかけないようにスケジュールを守る」「仕事は結果で評価される」「ミスを放置しない」といったテーマを取り上げています。いくつかポイントを抜き出してみましょう。

なぜ「仕事の基本」が大切なのか

武道でもスポーツでもさまざまな芸事でも、まず基本の「型」があり、それを習得することで、確かな技術を身につけることができます。同様に、それぞれの会社には、長い時間をかけて構築されてきたノウハウや、基本的な仕事のやり方があります。まずはそれをしっかりとマスターすることが、仕事を理解し、実力をつけることにつながるのです。
その意味で、まだ理解の浅い新人のうちから、「これはこうしたほうがいいのでは?」などと、勝手に変更していいものではありません。ある面、その社員のやる気や工夫の表れともいえますが、間違った方向に変えられてしまったり、ミスを誘発したりするのを防ぐため、基本を守る大切さを新入社員には教えるべきでしょう。

先述のテキストには次のような記述があります。

「基本は勝手に変えてはいけない」

入社してしばらくたつと、新しいことを覚えるだけで精一杯だった日々から解放されます。すると、気持ちに余裕が生まれ、なかには「カッコイイから」「オシャレだから」と身だしなみの基本を崩したり、「楽だから」「やりやすいから」と教えられたこととは違う手順や方法で仕事を進める人がいます。
自分なりの工夫をしようと考えることは大切です。しかし、それはいままで学んできた“基本の範囲内”でのみ許されます。基本を外れた工夫は、自分勝手な工夫でしかないのです。
仕事の進め方で考えてみましょう。みなさんが学んだ仕事の進め方は、多くの先輩たちが毎日の仕事のなかで積み重ねてきた知恵の結集であり、長年受け継がれてきたものです。時代とともに少しずつ変わっていても、基本的な考え方や手順は同じであるはずです。そして、その進め方が一番効率的であり、ミスが起こる可能性が低いものなのです。

基本を守るべき理由について、このようにきちんと教えれば、彼らも納得して仕事に取り組むのではないでしょうか。

「不得意・嫌い」を克服しなければ仕事は成り立たない

また、新入社員は経験が少ない分、不得意なことが多いものです。何かのきっかけで最初の段階で苦手意識が植えつけられ、特定の仕事に消極的になってしまう人もいるでしょう。しかし、それでは仕事が回りませんし、本人の成長もありません。苦手なこと、嫌なことでも、選り好みせずに取り組み、克服していくように導くことが大切です。先述のテキストでは次のように説明しています。

「仕事を好みで選んではいけない」

仕事は自分の得意不得意や好き嫌いで選んではいけません。もし社員全員が、自分の得意な仕事、好きな仕事だけを選んでいたらどうなるでしょうか。(中略)
まず、組織の面での問題点です。全員の嫌いな仕事が一致すると、会社でその仕事をする人がだれもいなくなります。そうなると仕事が進まず、会社が組織として機能しません。しかし、組織としての機能を保つためには、全員が嫌いな仕事をだれかにしてもらわなければならなくなります。(中略)
次に、個人の面の問題点です。与えられた仕事に全力で取り組むからこそ成長できるのであり、自分の好みで仕事をしている人は成長できません。
会社は組織です。組織は、全員がどんな仕事にも全力で向き合い、協力し合うことで成り立ちます。したがって、仕事は好き嫌いで選ぶのではなく、自分に与えられた仕事のすべてに全力で取り組まなければならないのです。

会社として、部署ごとのチームとして仕事を成り立たせるためには、新入社員一人ひとりが苦手を克服し、嫌なことでも努力して乗り切っていく必要があります。こうした考え方を理解してもらうのも、社員教育においては非常に重要なことだといえます。

常に結果を出し続ける

これも仕事の経験が少ない若い社員に多く見られる傾向ですが、「たとえ結果は十分に出ていなくても、自分は一生懸命に頑張ったのだから、それなりに評価されていいはずだ(もしくは叱られる必要はない)」と考えることがあります。学校の成績なら、テストでどんな点数をとっても、それなりに努力の跡が見えれば、ある程度は評価されるでしょう。スポーツで勝負に負けても、本人が精一杯努力した結果なら、それほど強く咎められたりはしないはずです。
しかし、仕事は結果がすべてです。途中経過においてどれだけ頑張ったとしても、最終的にミスがあったり、会社として赤字を出してしまったりしたら、それが大きな痛手になります。どんなに努力していても、それは0点の結果となってしまうのです。
これについて、先述のテキストの説明を抜粋しておきましょう。

「100点以外は認められない」

たとえば、お客さまから製品の注文があったとします。注文を受けて、必要な書類を用意し、関係部門に連絡をするという仕事の流れは完璧にできていたとしても、書類のなかの注文数を間違えていたらどうなるでしょうか。お客さまには間違えた数の製品が届くことになり、クレームの原因になります。場合によっては、仕事がいいかげんな会社だと思われ、今後の取引がいっさいなくなってしまう可能性もあります。
こういう問題が起こったとき、「仕事の流れは完璧にできていた」という言い訳は通用しません。注文数を間違えた時点で結果を出すことができていません。つまり、あなたの仕事は0点になってしまうのです。
仕事を任せられている以上、その仕事の全責任はその人自身にあります。厳しいですが、慣れや経験によって、求められる結果が変わることはないのです。仕事は100点しか認められません。

仕事がいかに厳しいものであるかを早い段階で理解してもらうのは、新入社員教育の大事なポイントだといえます。失敗が続き、赤字が積み重なり、やがて金融機関からお金を借りられなくなったら、その会社は倒産することになります。100点を取り続け、黒字を出し続けて会社を維持発展させなければ、自分の給料も出なくなるのです。そういう世界であることを、新入社員のときからしっかりと教育していきたいものです。

※本記事はPHP通信ゼミナール『社会人、やっていいこと・悪いこと』を抜粋・編集して制作しました。


PHP通信ゼミナール『社会人、やっていいこと・悪いこと』

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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