しつこい! あきらめない! シンクロ日本代表・井村コーチが語る成功する人の共通点
2016年2月26日更新
社員研修用DVD『井村雅代コーチの「できない」から逃げるな!――努力するから楽しくなる』から、シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチの井村雅代さんの言葉を紹介します。
なぜ、「もっとムリをしなさい」と言い続けるのか?
「今の若い人たちは、自分の心のスイッチを自分で入れることができません」
こう語るのは、シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチの井村雅代さん。そのDVD『井村雅代コーチの「できない」から逃げるな!――努力するから楽しくなる』の内容をほんの一部ですが、ご紹介します。
十数年前の選手たちは、自分に自分でカツを入れる方法を自分なりにあみだしてもっていましたが、今の若者はそれができないとのこと。
たとえば、大事な試合前に、「よっしゃっ」と大きな声を出して、自分のほほをパンパンとたたくといったシーンを目にしたことがあると思いますが、そういう自分で自分に気合を入れ、自分の気持ちを高めることが下手になったと言うのです。
そのため、試合前はもちろん、大事な練習の前などにも、選手の心のスイッチを入れるのはコーチの仕事になったと言います。
そんな井村コーチが、この一年間で、一番使ったのが次の言葉。
「もっとムリをしなさい」
今の若者は、自分を低く見積もっていて、すぐに自分の限界まで努力したと思ってしまうそう。それは謙虚だからなのかもしませんが、井村コーチから見れば、自分のもっている才能を十分に活かしていない、もったいない状態。だから、10努力できる人が、3程度で「努力しました。もうこれ以上はムリです」と言えば、「もっとムリをしなさい。あなたは、もっともっとできる」と言い続けているのです。
「努力というのは自己申告するものではありません。他人が評価して決めるものです。自分で『精いっぱい努力しました』というのはおかしなことで、同様に、自分へのご褒美というのも単に自分を甘やかしているだけではないでしょうか。ご褒美は他人からもらいなさいと言いたい」
成功する人の共通点
近年、ビジネスの世界でも、結果だけでなくプロセスも評価する傾向がありますが、井村コーチは異を唱えます。
「勝つか、負けるか、結果がすべてです。がんばった日々に価値が出るのは結果に結びついたときだけ。結果が出なかったときのプロセスに価値はありません」
ただ、こうした厳しい現実を若者が知らないのは大人の責任であり、「結果がすべて」を求められたときに、それを「楽しい」「おもしろい」と思う大人と数多く接することが若者たちには必要なのではないかとも述べています。果たして、結果を厳しく求められたとき、それを楽しい、おもしろいと自分は思えているか、上司のなかには、耳が痛い人も多いかもしれません。
また、これまで数々のメダリストを見てきた井村コーチは、成功する人には昔も今も変わらない共通点があると言います。それが、「しつこさ」。
「成功する人は、とにかくしつこく、あきらめません。完璧を求め続け、その完璧もどんどんレベルアップしていきますし、常にまだ上があると考えています」
井村コーチは、成功するためにはいろいろな才能が必要かもしれないが、最も大切なのは心であり、「心の才能」という独特の言葉を使って、こうも述べています。
「心の才能がない人は、できなかったらすぐにあきらめて次に行ってしまいます。しかし、心の才能がある人は、できなかったことを自分の努力が足りなかったせいだと考え、できるまで100回でも1000回でも完璧にできるまでやります」
すぐにあきらめてしまうのか、努力が足りなかったと考えて行動を変えるのか。成功するために近道はなく、やるべきことを実際にやり遂げた人が成功するということなのでしょう。
「あきらめることは、いつでもできる。いつでもできることをやってはダメ」
この言葉も、若者だけでなく、多くの日本人にとって「ドキッ」とする言葉ではないでしょうか。
≪取材・構成:坂田博史≫
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監修者プロフィール
井村雅代(いむら・まさよ)
シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチ。
1950年8月16日生まれ。大阪府出身。
シンクロ選手としては、日本選手権チーム競技で2度優勝の実績をもつ。
天理大学卒業後、中学校教師を経て、78年から日本代表コーチに就任。85年に「井村シンクロクラブ」創設。
以来、長年にわたり日本のシンクロナイズドスイミング界の基礎づくり、世界で戦える選手の育成を行なってきた。その指導者としての実績や功績の大きさから日本の「シンクロ界の母」と称される。
15年1月より日本代表ヘッドコーチに復帰。