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事例にみる中小企業の内定辞退防止~効果的な方法はあるのか?

2017年11月28日更新

事例にみる中小企業の内定辞退防止~効果的な方法はあるのか?

就職戦線が売り手市場となるなか、「内定辞退」の問題が深刻化し、特に中小企業では採用担当者が頭を抱える問題になっています。内定辞退防止に効果的な方法はあるのでしょうか。事例から考えます。

「内定辞退」が深刻化しています。就職情報サイトを運営するリクルートキャリアの調査では、2018年春卒業予定の大学生のうち、内定を辞退した割合を示す「内定辞退率」が2017年10月時点で64.6%となったようです。同社が集計したこの6年間で最も高い数字です。
大卒の新卒採用ではもともと、中小企業は大企業に比べて様々な意味でハンディを負っていますので、内定辞退を防ぐためには、より一層の工夫が必要になってきています。
今回は、私の企業取材をもとに、中小企業が実施している内定辞退防止の具体的な方法を紹介します。

内定者を集めて改めて会社説明会を実施

社員数110人の飲料水メーカーは、内定者を集め、採用担当者が業務や仕事について、あらためて説明をしています。採用試験の段階で会社説明会を行っているのですが、その場では、学生が聞きたいことを聞けない場合があります。疑問を抱えたまま入社することを避けるために、さらなる説明会を開くのです。
説明会では、内定者からの質問が増えるような工夫をしています。内定者に年齢が近い20代の採用担当者がファシリテーターとなり、司会役である人事部長や役員に質問をします。双方のかけあいで進めていくのです。その合間に、内定者たちが質問をするように誘います。

社長、幹部との懇親会を実施

創業40年を超えるIT企業(社員数90人)では、社長が自宅に内定者を招き、パーティーをします。採用担当者が同席し、社長に会社の歴史や事業内容、実際の仕事、勤務について質問をするのです。社長の答えについて、採用担当者が内定者に意見や感想を聞きます。そうしたやりとりから、内定者の疑問や不安を取り除くようにしているのです。

インターンシップ、アルバイトの受け入れ

社員数130人の電子機器メーカーは、内定した学生に、3日~5日間のインターンシップを体験させています。その期間、配属希望の部署や実際の仕事に関わることができるようにしているのです。会議にも参加し、社員と食事をします。そして、終了時点で、入社の意志があるかないかを採用担当者が確認しています。
通常、インターンシップは採用試験の前に実施しますが、この会社は、内定を与えた後に行うことに特徴があります。内定辞退や入社後のミスマッチを防ぐ施策と言えます。
アルバイトについては、これまでも多くの企業が自社でのアルバイトを認めてきました。私が聞く限りでは、かんたんな作業をさせることが多かったように思います。
しかし最近は、中身が変わりつつあります。内定辞退を防止するために、本人の希望部署や仕事に関わることができるように配慮しているのです。パソコンを使い、データを大量に処理するなど、入社数年の社員が取り組むような仕事をさせる場合もあります。やりがいや達成感を得てもらうためだそうです。
社員数50人ほどの運動機器メーカーでは、社長がアルバイトをしている内定者を連れて、営業先の会社に行きます。移動の合間に、仕事や職場の人間関係などについて語ります。これが、内定者の心をつかむことになるようです。

内定者研修、通信教育、eラーニング

内定者の不安を取り除くために、内定者研修を実施する中小企業が増えています。多いのは研修会社、経済団体の「内定者研修」を内定者に受けさせる方法です。受講テーマとして多いのは、「社会人や会社員としての心がまえ」などです。
やや専門的な内容を学ぶ場合もあります。社員数150人のIT企業は、3月の卒業までに50時間におよぶeラーニングによる研修を受講させています。「ITエンジニアの基礎」と称した内容で、IT専門学校の1年次の学習内容に相当するレベルです。内定者は1か月に1度のペースで会社に出向き、学習の進捗や疑問点を採用担当者に報告します。毎回、軽食をとりながら、採用担当者や内定者たちが近況を語り合います。内定者に年齢が近い20代後半~30代前半の社員が参加することがあります。
内定者の不安解消や社会人としての心構えを身につけるために、通信教育やeラーニングの課題を課す場合、社会人向けの通信教育の編集制作をする会社や出版社の教材を使うことが多いようです。たとえば、1か月に1度のペースで回答を提出し、採用担当者には内定者の受講状況が報告書として送られてくる教材です。eラーニングのコースもあり、学習の進捗状況や理解度がリアルタイムに把握できるようになっています。

CADの機器やパソコンを貸与

精密機器メーカー(社員数300人)は、内定者である理系の学生に、自社のCAD(computer-aided design・コンピュータによる設計支援ツール)の機器(60万円相当)を貸与しています。期間は卒業までの間で、希望者に限ります。IT企業の中には、性能の高いパソコンを貸与する会社もあります。内定者が卒論を書くために、パソコンを長時間、使うことに配慮しているのです。これらもまた、内定者が会社に安心感を持つような工夫と言えるでしょう。

社内イベント、社員旅行に参加

懇親会や忘年会、社員旅行などに内定者が参加できるようにしている会社もあります。参加費、旅費などは会社が全額負担します。こういう場では、内定者が話しやすいように、常にそばに採用担当者や20代後年から30代前半の社員がいるようです。
内定辞退を防ぐために最も効果があるのは、会社として内定者へ誠意を見せることです。会社が誠意をもって、「ぜひ入社してほしい」という期待を内定者に示すことができれば、おのずと学生に伝わるのではないでしょうか。

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吉田典史(よしだ のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年以降、フリーランスに。特に人事・労務の観点から企業を取材し、記事や本を書く。人事労務の新聞や雑誌に多数、寄稿。著書に『封印された震災死その「真相」』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった...』(ダイヤモンド社)、『悶える職場』『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA/中経出版)など。

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