4割が内定ブルーに? 理由や対処法について詳しく解説
2021年9月17日更新
内定ブルーとは、就職活動で企業から内定を得た学生が、内定を受諾した後に、ほんとうによかったのだろうかと不安になり、気持ちが落ち込むことを指す言葉です。実に約4割が経験するともいわれています。
場合によっては早期離職につながることもあるため、企業側は何らかの対策を講じることが必要です。内定ブルーが起こるのはなぜか、また、その状況に対応する方法について見ていきましょう。
内定ブルーとは?
内定ブルーとは、就職活動で企業から内定をもらい、就職先を決めた後で気持ちが落ち込んでしまう状態を指す言葉です。結婚前に起こるマリッジブルーと同様、本来ならば嬉しい出来事のはずなのに、不安になって悩んだり、気分が落ち込んだり、普段ではしない決断をすることもあります。
自分が希望して採用選考を受けたはずなのに、いざ内定をもらうと「本当にこの企業に決めて良かったのか」という迷いが生じる。それがきっかけになることが多いようですが、新卒採用の場合は、学生生活が終わり社会人になるという、人生の変化に直面して不安になることも少なくありません。
早期離職につながることがある
内定ブルーは就職後も続くことがあります。「本当に正しい決断をしたのだろうか」「もっと別の可能性も検討できるのではないだろうか」という思いが強くなり、入社後すぐや3年未満の短期間で離職してしまうケースも珍しくありません。
一般的に新卒で社員を採用するまでに、一人につき約100万円、採用後に一人前の社会人として育成するまでにはおおよそ1,000万円の費用がかかるといわれています。入社後すぐに離職されるということは、直接的にはこれらの費用が無駄になってしまうことを意味するのです。
採用や育成にかけた費用を無駄にしないためにも、また優秀な人材の流出を防ぐためにも、内定ブルーの対処策を考え、実施することが必要といえるでしょう。
内定ブルーに陥る3つの理由
内定ブルーに対する対策を考える前に、内定者や新入社員が内定ブルーに陥る理由について理解しておく必要があります。内定ブルーになる理由としてはさまざまな事柄が考えられますが、そのなかでも特に次の3つが代表的な原因とされています。
1.選択した企業に対する不安
2.断った企業に対する未練・悲しみ
3.社会人になることに対する不安
1.選択した企業に対する不安
たくさんの企業から内定をもらうことができても、実際に入社するのは1社のみです。本当に自分の選択は正しかったのか、別の企業のほうが良かったのではないかと不安になり、内定ブルーに陥ってしまうことがあります。
選択した企業に対する不安が強くなる原因としては、内定から選択までの時間があまりないということが挙げられるでしょう。
じっくりと考える間もなく選んだため、自分の選択に自信が持てなくなるのです。また、卒論などで忙しく、企業選択にあまり時間を取れなかったというケースもあります。
2.断った企業に対する未練・悲しみ
複数の企業から内定をもらった場合は、断った企業に対する未練や悲しみ(≒罪悪感)から内定ブルーに陥ることがあります。「あの企業に入っていたら、もっと違う未来が拓けたかもしれない」「あんなに親切にサポートしてくれたのに、結局は断ってしまった」と後悔や後ろめたい気持ちをもち、気分が滅入ってしまうのです。
もともと第一希望としていた企業に採用された場合は、このような理由での内定ブルーは起こらないかもしれません。しかし、第一希望からは内定をもらえず、第二、第三希望の企業のみから内定をもらった場合は入社先をはっきりと決めにくく、いつまでもほかの企業に未練や悲しみを感じてしまうことがあります。
3.社会人になることに対する不安
新卒採用の場合、社会に出ることに対する不安で気分が滅入ることがあります。「本当に社会人としてうまくやっていけるのだろうか」「責任を果たすことができるのだろうか」と不安になり、気持ちが塞いでしまうこともあるでしょう。
社会人になることに対する不安は、自分に自信を持てないときに生じることがあります。自分以外の内定者がみな優秀に見えて、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。学生というこれまでの自己を喪失する喪の気持ち、悲しみからくる不安もあります。
内定ブルーを防ぐ6つの方法
内定ブルーの状態のまま入社すると、落ち込んだ気分が続き、仕事に対しても情熱を持てなくなる可能性があります。その結果で早期離職を呼び込んでしまうかもしれません。
このような結果を回避するためにも、まずは入社前の内定ブルーを解消しておく必要があるでしょう。内定ブルーを防ぐ方法としては、次の6つが挙げられます。
1.内定者研修を実施する
2.懇親会を開催する
3.メールや対面で相談に乗る
4.会社の見学会を開催する
5.インターンシップやアルバイトを実施する
6.内定者同士が仲良くなれるようにフォローする
1.内定者研修を実施する
入社までに内定者研修を実施することでも、内定ブルーを回避できるかもしれません。内定者研修では、ビジネスマナーや挨拶、パソコンを使った業務の基礎などの入社前に知っておきたい内容を学びます。
内定者は社会人になることに対する不安を軽減することができ、また、企業側も内定者を即戦力として育成することができるでしょう。
■参考:「内定者研修の目的とは? 成功させる方法とプログラムを紹介」
2.懇親会を開催する
入社までに内定者を対象とした懇親会を何度か開催することで、内定ブルーを回避できることがあります。「社会人としてうまくやっていけるだろうか」と感じている内定者であれば、懇親会によりほかの内定者と知り合うことで、入社に対する不安が軽減するかもしれません。
また、若手社員なども参加する懇親会を開催すれば、社内の実情を知り、先輩に親近感をもつことも期待ができ、不安の軽減につながるでしょう。
■参考:「内定者懇親会のプログラムはどうつくる? 注意点や実施意義も解説」
3.メールや対面で相談に乗る
内定者ごとに担当者を割り振り、メンターとして相談に乗ることもできるでしょう。「入社までに知っておきたいことがあれば気軽に言ってね」「困っていることはない?」といったように、内定者の気持ちに寄り添うメールを定期的に送ったり、場合によっては直接会ったりすることで、内定ブルーに陥らないようにサポートしていきます。
4.会社の見学会を開催する
会社の見学会を開催することで、内定ブルーの回避につなげられることもあります。実際に働く職場を見たり、働いている先輩社員と知り合ったりすることで、入社することに対する漠然とした不安を軽減できるでしょう。
また、見学会を通して入社後に活躍する自分のイメージが湧き、不安や悩みを前向きな気持ちに変えることも期待できます。
■参考:「内定辞退防止のために人事が取り組みたい3つのフォロー施策! 辞退の理由も紹介」
5.インターンシップやアルバイトを実施する
インターンシップやアルバイトなどで、実際に職場で仕事を体験してもらうこともできます。
内定者にとっては賃金を得つつ仕事の内容を理解する機会となり、企業側にとっては仕事の基本を身につけてもらうというメリットがあります。仕事を体験してみることで、具体的なイメージをもつこともできますから、内定辞退の回避にもつなげられるでしょう。
6.内定者同士が仲良くなれるようにフォローする
懇親会を何度か開催することで、内定者同士の親睦を深めることはできますが、さらに積極的に仲良くなれるように意識的にグルーピングすることもできます。
例えば企業に対するモチベーションの高さや志望動機、性格などが似ている内定者を探し、一緒に会う機会をつくり、入社までに仲良くなれるようにサポートします。仲の良い同期ができれば、入社への期待にもつながり、内定ブルーや内定辞退を回避することにもつながります。
まとめ:内定ブルーへの対処はしっかりと!
内定ブルーは一時的な気持ちの問題と、軽く見ることは禁物です。入社前に内定ブルーが強くなると内定辞退を招く恐れがあり、入社後も続くと早期離職を招く可能性があります。採用する企業にとっても、深刻な問題となります。
内定ブルーを回避するためには、内定者研修や懇親会などの企業側のフォローが不可欠です。人事採用担当の方は、入社までの期間、内定者の気持ちに沿ったサポートを積極的に行っていきましょう。