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1on1で「話すこと」とは? 目的・テーマを決めて実りある対話にする方法

2025年1月20日更新

1on1で「話すこと」とは?  目的・テーマを決めて実りある対話にする方法

上司も部下も「1on1ミーティングで何を話すべきかに悩む!」「話すことがない!」という人は少なくないようです。1on1は、ただの面談ではなく、上司と部下が互いを理解し合い、信頼関係を築く絶好の機会です。さらに、部下の成長を促し組織のエンゲージメントを高めるためにも有効です。この記事では、1on1の目的に応じてどのようなテーマを選ぶべきか、具体的なポイントをご紹介します。

INDEX

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1on1で話すことやテーマの決め方は?

1on1ミーティングは、部下の行動の振り返りを上司と部下がペアで行い、お互いの成長につなげる人材育成の手法です。昨今では、実に7割近くの企業が何らかの形で1on1を実施しているという調査結果もあるほど、現場での導入が進んでいます。
しかし、1on1で「何を話していいかわからない」という悩みをよく耳にします。1on1を継続し、かつ有意義なものにするには、話すテーマを事前に決めておくのも一つの方法です。テーマは、1on1を行う目的から決めることができます。

1on1の3つの目的

1on1は人事評価の面談とは目的が異なり、部下の成長を支援することに主眼がおかれます。話すテーマについても、部下が事前に準備しておくのが基本ですが、慣れないうちは、1on1の3つの目的に沿って話すことを考えてもらうようにするとといいでしょう。

  • 上司と部下が相互理解を深める
  • 部下の成長を促す
  • エンゲージメントを向上させる

参考記事 成功する1on1のために部下がやっておくべき「これだけのこと」~部下向け準備シート例

1on1で話すテーマ(1)相互理解を深めるために

1on1の第1の目的は、上司と部下が相互理解を深めることです。お互いに相手をよく知らない、あるいは快く思っていない場合、1on1は有意義なものにはなりません。特に部下側に、自分の意見を言うと叱責をうけるかもしれない、という気持ちがあり、心理的安全性が確保されていないと、1on1は苦痛の時間になってしまいます。

信頼関係を築くためには、まずお互いをよく知る必要があります。そのために役立つテーマは、現在の仕事についての思いや健康状態、プライベートに関することです。具体的に見てみましょう。

現在の仕事にどう取り組んでいるか

相互理解を深めるためには、現在取り組んでいる仕事や業務に対して思うこと、やりがいを感じていること、逆にうまくいっていないことなどをについて対話するという方法があります。上司の方は、部下の現状を把握したうえで、今後どう進めていくか、上司として支援すべきことはないかを確認し、部下の考えを引き出します。

ある程度の対話を重ね、信頼関係ができてくると、部下から率直な意見を聞けるようになり、現在の業務についての部下自身の思いやアイデアを引き出すことができるようになります。

心身の健康面について

社員一人ひとりが心身の健康を保ち、その能力をフルに発揮して仕事に取り組むことは、会社にとってとても重要です。1on1の機会に、業務量や睡眠時間などについて聞く機会があれば、健康面のチェックになります。以下のような内容で話し合うとよいでしょう。

  • 最近、体調の変化はないか
  • よく眠れているか
  • 業務量が過剰になっていないか
  • 業務の質的にはどうか
  • 残業が増えていないか

1on1では、健康診断ではわからないメンタル面での変化などを確認することができますし、問題があれば、早期に対応することができます。また、上司がこれまでの経験からアドバイスすることもできるでしょう。

プライベートに関すること

プライベートに関する話は、1on1を開始するときに場を和ませるアイスブレイクの役割をします。たとえば次のようなテーマが考えられます。

  • 休日にしていること
  • 趣味
  • 好きなスポーツやテレビ番組
  • 家族がいる場合は、家族の状況や、家族との過ごし方
  • 気になるニュース

部下の得意なテーマで気軽に話すことで、相互理解が深まり、信頼関係が構築できます。ただし、プライベートに関する話だけでは、ただの雑談になってしまいます。あくまでアイスブレイクとして考え、それだけで終わることのないように、話題を切り替えていく必要があります。

1on1で話すテーマ(2)部下の成長を促すために

2つめのテーマは、部下の成長を促進する内容です。1on1のメインテーマとも言えますが、具体的には目標設定や課題解決、今後のキャリア形成に向けた話し合いになります。

目標設定について

会社や部署全体の方向性を共有し、部下自身の成長に向けた目標設定について話し合います。会話のなかで、部下が会社や部署のビジョンを共有しているか、目標について十分納得しているかが確認できます。また、1on1を重ねるなかで、部下の取り組み状況を確認し、課題があれば上司として解決を支援することもできます。具体的には、次のようなテーマで話し合うといいでしょう。

  • 会社や部署の方針に対して、自分自身はどのような目標で取り組んでいるか
  • 取り組みの進捗状況はどうか
  • 今後、どのような目標に取り組んでいきたいか

仕事の課題解決について

現在の仕事の悩みや課題、解決方法なども、部下の成長を促すために重要なテーマです。業務で気になっていることやできないこと、不安に思っていることを聞き出し、解決策を話し合います。1on1では、普段なかなか口に出せない本音や問題点、要望について聞き出すことができ、マイナス面を最小化してモチベーションアップへとつなげることもできるでしょう。

  • 現在取り組んでいる仕事の中で、特に難しいと感じている部分はどこか
  • その課題が発生した背景や原因について、どのように考えているか
  • その課題を解決するために、どんなリソースやサポートがあれば役に立つか

今後のキャリアに関すること

今後のキャリアについての話し合いも、部下の成長支援になります。これから身につけたいと思っている能力や、今後どのようなキャリアに進みたいかを話し合いましょう。キャリアに関して、まだ自分なりのビジョンがない部下には、以下のような内容を会話から考えを引き出し、キャリアビジョンをもってもらうきっかけをつくるといいでしょう。キャリアについて話し合うことで、まだ気づいていない能力を開発し、キャリア形成につなげることもできます。

  • 自分の強み
  • 自分の強みを活かせる仕事
  • 仕事で感じているやりがい
  • 将来チャレンジしたいこと

1on1で話すテーマ(3)エンゲージメント向上のために

1on1は、社員のエンゲージメント向上も目的としています。エンゲージメントとは「会社に貢献したい」という自発的な意欲であり、企業への愛着心を示す指標です。エンゲージメントを高めることは、生産性の向上にもつながります。エンゲージメントを高めるテーマには、部下のモチベーションを高める、ミッションやビジョンを共有する内容があげられます。詳しく見ていきましょう。

モチベーションの向上

モチベーション向上を図るためには、マイナスの要因を取り除いてモチベーションの低下を防ぐ、あるいは部下の仕事を承認するなどでモチベーションを高める、という2つの方法があります。

モチベーションの低下を防ぐテーマとして、以下のような内容があげられます。

  • どんな仕事がストレスになるか
  • 現在の仕事量は多くないか、少なくないか
  • 仕事のことを相談できる人はいるか

具体的な状況を確認しつつ、会話の中で解決策を見出すことができれば、モチベーションの低下を防ぐことができるでしょう。また、モチベーションを高めるために、次のような内容が考えられます。

  • 仕事への取り組みや成果を承認する
  • 社内での良い評価を伝える

部下の取り組みや成果を上司が積極的に承認し、部下からその説明をうけることで、部下のモチベーションを高めることができます。それによってエンゲージメントも高まります。

ミッション・ビジョンの共有

エンゲージメントは、会社のミッションやビジョンを理解していなければ育まれません。ミッション・ビジョンを共有すれば、同じ方向を向いて仕事に取り組むことができ、生産性が向上します。上司は、それらが決定に至った経緯を織り交ぜながら、部下にわかりやすく伝えましょう。また、ミッション・ビジョンを共有するにあたり、以下のような内容で話し合うのも効果的です。

  • 会社のミッション・ビジョンをどう解釈していくか
  • 事業方針を踏まえて、どのように進むべきか

戦略に対する疑問等

会社の戦略は上司から一方的に共有するのではなく、部下にわからないことがあるかを聞き出して解消を図ることが重要です。疑問を解消して戦略について十分納得すれば、仕事に対する主体的な取り組みが期待できます。経営戦略に対し、自分はどのような貢献ができるのかをテーマにすれば、エンゲージメントを高めるきっかけにもなるでしょう。

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3つのテーマから得られること

3つのテーマに沿った1on1の実施により、上司と部下の信頼関係が深まります。上司は、部下の成長を支援するという目的を理解して取り組むことが大切です。また、1on1は単に部下の成長を支援するというだけでなく、上司も一緒に成長することができます。1on1を通して若い部下から学ぶことは多く、指導力を養うこともできるでしょう。会社の成長にもつながり、結果として業績が向上します。上司と部下が相互理解を深めることは、風通しのよい職場づくりにも役立つでしょう。

部下に「話すことがない」と言われた場合の対処法

1on1は上司が主導となる人事評価面談と異なり、部下が主役となって進める人材育成の手法です。上司は、部下が本音で話すことができるような雰囲気づくり、信頼関係づくりに努め、傾聴を心掛ける必要があります。最終的には、部下が事前に自分自身で1on1で話すテーマを考え、対話のなかから解決策を見出し、現場で取り組んでいくという流れをつくることが必要です。

しかし、対話を進めようとしても、部下から「話すことがない」と言われる場合もあります。まだ十分な信頼関係ができていない場合にありがちで、「変なことを言って悪く思われたくない」という不安から、自由な発言ができないのです。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け

「話すことがない」と言われたら、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けてみる方法があります。

クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられる質問のことです。あるいは、「生まれはどこですか?」という質問のように、答えが決まっている質問もクローズドクエスチョンになります。答える側は、答え方に悩まず回答できるのがメリットです。

これに対し、オープンクエスチョンは、「はい」や「いいえ」ではなく、自由な回答を求める質問です。オープンクエスチョンで話すことがないと言われた場合は、クローズドクエスチョンを何回か試み、話に慣れてきたらオープンクエスチョンへと進めていくとよいでしょう。

すぐに使える!1on1の具体的な質問例

1on1ミーティングでは、様々なテーマを取り上げることができますが、ここではすぐに使える具体的な質問の例をいくつかご紹介します。これらの例を参考に、対話を促進し、効果的な1on1ミーティングをすすめてください。

業務に関する質問例

  • 「最近、業務で嬉しかったことは何ですか?」
  • 「現在の業務で困っていることはありますか?」
  • 「業務効率を上げるために何か改善できることはありますか?」
  • 「今取り組んでいるプロジェクトの進捗状況はどうですか?」
  • 「何か新しいスキルを習得したいですか?」
  • 「同僚や他部門とのコラボレーションについて、もっとこうしたいという希望はありますか?」

キャリアアップに関する質問例

  • 「長期的なキャリア目標はありますか?」
  • 「現在の業務内容とキャリア目標との間にギャップはありますか?」
  • 「どのような経験を積みたいですか?」
  • 「次の1年で挑戦してみたいことはどんなことですか?」
  • 「成長のために必要なサポートはありますか?」など

モチベーションに関する質問例

  • 「最近、モチベーションが高いと感じたのはどんな時ですか?」
  • 「モチベーションが低いと感じる時はどんな時ですか?」
  • 「仕事をする上で、何が一番やりがいを感じますか?」
  • 「チームとの連携で改善できることはありますか?」
  • 「仕事上で何か悩みや不安なことはありますか?」
  • 「あなたにとって理想的な働きがいとはどのようなものですか?」など

まとめ:必ず事前の準備とアジェンダを

1on1ミーティングを成功させるためには、事前の準備が不可欠です。まず、ミーティングのアジェンダを事前に作成し、部下と共有することが重要です。アジェンダには、話し合うテーマや目的、時間配分などを明記します。これにより、ミーティングをスムーズに進めることができ、より効果的な議論が可能になります。また、事前に部下に質問や話題を共有してもらうことで、上司は部下の状況や考えを事前に把握でき、より深い議論をすることができます。

例えば、部下に事前に「最近嬉しかったこと」や「業務で困っていること」などの質問に答えてもらうことで、ミーティングの時間を有効に活用できます。さらに、1on1ミーティングの頻度や時間帯、場所などを事前に決めておくことも大切です。定期的に実施することで、部下は安心して相談できる環境を整えることができます。事前の準備を徹底することで、1on1ミーティングは単なる形式的なものではなく、実りある時間となるでしょう。準備の質が、1on1ミーティングの成果を大きく左右することを意識しましょう。

1on1では、話すことのテーマに悩むことが多くあります。テーマを決めずに進めると、雑談で終わったり、何のための1on1なのかわからなくなったりすることがあるため、注意が必要です。テーマは1on1を行う目的に基づいて決め、目的を達成できるように進めていきましょう。1on1の成功は、部下だけでなく上司も成長させることになり、ひいては会社の発展へもつながります。

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