若手社員の成長に欠かせない3つのスキルとは?
2017年10月20日更新
入社2、3年の若手社員が、成長を続けていくために身につけておくべきスキルとは? PHPゼミナール「若手社員研修」の人気講師が解説します。
TPDCAをきっちり回す
ミスが多い、同じところでいつも躓いている、計画は立てるが結果がついてきていない、そんな若手の仕事ぶりが目に付くことはありませんか? 若手社員自身の声としては「やるべきことに追われて、ただ日々が過ぎていく」「いつも時間がないという感覚に陥っている」というものが多いようです。
そこでまず身につけてほしいのが、PDCAのスキルです。
T-target(目標を設定する)
P-plan(計画を立てる)
D-do(実行する)
C-check(見直し評価する)
A-action(修正行動をとる)
これを、日々の仕事で正しく回すことが肝要です。私が講師を務めるPHPゼミナール「若手社員研修」では、PDCAに、T-target(目標)を付けて、TPDCAとして、仕事の普遍的な「型」を徹底していただきます。
「TがあいまいなままPに入ってしまうと仕事はどう進むのか」
「Pに時間を取られすぎてDになかなか入れないのはどんな場合が考えられるか」
「PとDは実行するがCとAがおざなりになるとどうなるか」
「Pが単なる作戦変更にしかなっていない場合はどんな弊害が起こるか」
「Cの機能が有効に働いていないときに起こりがちなことは何か」
「Aを怠るような仕事をしているとどんな仕事ぶりになるのか」
これらを日頃の自分の仕事に落とし込みながら、TPDCAの重要性とポイントを学びスキル化を実践します。
仕事には目的と目標があります。もしくは目的と目標を設定することで結果が生まれます。
自分たちが何のために行動しているのか、目的・目標の設定を明確にし、PDCAを意識して回していくことにより、成長し続けるサイクルが生み出されます。またTPDCAサイクル上の目標と進歩状況や結果をレポートしておくことの重要性も付け加えておきたいと思います。
確実な報連相で周りの信頼を獲得する
若手社員にぜひ身につけてほしいスキルの2つ目が「報連相」です。
若手社員は「自分ひとりで責任をもって仕事を終わらせなければならない」と強く思う傾向があります。結果「自分ひとりで仕事を抱え込んでしまう」ことになります。
「今、話しかけていいのだろうか」
→「こんなことを相談していいのだろうか」
→「こんなレベルの相談をしたらバカにされないだろうか」
→「こんなことを報告すると怒られ、評価が下がるのではないだろうか」
→「そもそもどんな風に伝えたら、表現したらいいのだろうか」
→「これくらいなら報連相せずとも、自分で問題を解決した方がいいのではないか」
→「とりあえずできるところの他のタスクをやっておこうか」
このようなサイクルになってしまうと、上司や周りも、
「こちらから声をかけないと何も報告してこない」
→「順調に進んでいるのかどうかがわからないまま」
→「蓋を開けてみると、タイミングが遅すぎて手の打ちようがなくなってしまっていた」
という状況になります。これが続くと、いつまでたっても信頼関係が築かれません。
若手社員にこうした意識改革を促すためには、まず報連相の重要性とメリットを理解させる必要があります。「自分の仕事の結果やプロセスはチームや組織と連動している」「上司や先輩の力を借りてでも結果を出すことが大切だ」ーーこのような意識改革ができれば、おのずと行動も変わってくるでしょう。自発的な報連相アクションを習慣化することで、周りに信頼感を与える人材へと育っていただきたいものです。
アサーティブコミュニケーション
最後に、若手社員にはアサーティブなコミュニケーションの技術をぜひ身につけてほしいということをお伝えします。
若手社員の多くは、話し方に癖がなく、プレゼンテーションなどをスムーズにこなして驚かされることが多々あります。ところが、一対一の対面コミュニケーションになると、存外に苦手であったりします。また「YES」は言えるのだけれども「NO」を言うのが難しいという声もよく聞きます。
仕事では、ときに相手の意に沿わないことを言う必要がありますし、「NO」を提示しなければならないこともあります。また自分の失敗などのマイナス情報の開示も必要です。意見が合わない相手と交渉することも求められます。
そのようなステージでは、特にアサーティブなコミュニケーション(相手を思いやりながらも、きちんと自己主張する会話力)が必要なスキルになります。
(1)自分の気持ちや要求に気づき、その内容を相手に「伝わるように」伝える
(2)相手との良い関係を築くために積極的に相手の話に耳を傾ける
(3)相互尊重の基に「NO」を伝える
(4)相手からの批判に対し、上手に対応する
以上の4つが、若手社員に求められるアサーティブなコミュニケーションのポイントです。
私たちは、いつも、どんな場所でも、誰に対してもアサーティブコミュニケーションができるわけではありません。また、必ずアサーティブでなければならないということではありません。しかし主体的なコミュニケーションが必要であると自己選択したときに、「言えないから言わない」ではなく「努力と工夫をもって言ってみよう」という態度が、その後の仕事ぶり変えていきます。またこの態度が、自分を肯定する力、ひいては自信を作っていくベースにもなるのです。
そこで私が担当するPHPゼミナール「若手社員研修」では、ケースワークやロールプレイをとり入れて、受講生の皆さんにアサーティブコミュニケーションを体得していただくことを目指しています。
「TPDCA」「報連相」「アサーティブコミュニケーション」――あなたの会社の若手社員はいかがでしょうか。ビジネスパーソンとしての基礎を築くこの時期に求められるスキルをきちんと身につけているかどうか、今一度、確認していただければと思います。
吉田真知子(よしだ・まちこ)
住金物産(株)にて国内営業事務に従事後、フリーアナウンサーに転身。2000年より話し方・コミュニケーション研修を開始した。03年に産業カウンセラー、04年にキャリアコンサルタント資格を取得して以降、企業・自治体・教育機関等における人材開発に注力している。07年からは中央労働災害防止協会メンタルヘルス推進支援専門家として、事業所のコンサルテーションやカウンセリングを担う。現在は、人材活性・チームコンサルタントとして、講演・研修・チームコーングで人材・組織開発を展開。個人の個性と可能性を活かした参加型プログラムを得意とする。
一般社団法人全国チームコーチ連盟理事。大阪家庭裁判所委員会委員。PHPゼミナール講師。