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講義とロールプレイだけの新入社員研修は限界! ゲームとワークで自立型社員を育てる

2017年3月17日更新

講義とロールプレイだけの新入社員研修は限界! ゲームとワークで自立型社員を育てる

社会人の心構えを座学で学び、挨拶や電話応対をロールプレイで学ぶ従来型の新入社員研修では成果が出ないという声があがっています。ゲームやワークをとり入れて自立型人材への一歩を踏み出させるというのが、今後の主流になりそうです。

なぜ従来型の新入社員研修プログラムが機能しないのか?

最近、人材開発担当者から「新入社員研修が機能していない」という悩みを伺います。さらに、「どのような研修をすれば機能するのか」というご相談を受けます。その悩みの真意とは、「マナーや仕事の基本を教える以前の仕事をする姿勢と心構えができていない」という問題です。これまでの新入社員なら、会社に入ってくるまでに備わっていた「働く意識」「主体性」「社会人の常識」「コミュニケーション」「打たれ強さ」を、昨今の新入社員は身につけておらず、この傾向は年を追うごとに深刻になってきています。

今までの新入社員研修は、社会人の心構えや仕事の進め方を座学で学び、挨拶や電話応対、来客応対はロールプレイで学ぶプログラムが一般的でした。今や、教える側・研修する側が一方的に指導する研修スタイル、定型的なプログラムには限界が来ています。

講義形式やロールプレイ形式など、一方的に指導するスタイルは受身姿勢にならざるを得ません。つまり、一方的な講義や定型的なロールプレイが、新入社員を「指示されないと動かない」「マニュアル通りにしか動けない」人材にしてしまっているのです。

上司の世代では、会社の指示した通りに忠実に動く人材が求められていました。そのため型にはめる研修が主流でした。しかし、昨今のビジネス環境が激しく変化する時代では、新入社員といえども「自ら考え、自ら行動し、自ら成果を出す。うまくいかない場合は、自ら反省し、自ら改善する」ことができる自立型人材が求められています。そこで研修も主体的に自律的に学ぶスタイルに変えていく必要があります。

そこで最近は、ゲームやワークを取り入れることで、新入社員が楽しみながら自ら気づき、積極的に行動して学ぶプログラムが注目されています。講義と訓練で詰め込むよりも、ゲームやワークのなかでコミュニケーションやチームワーク、PDCAの目的や重要性を疑似体験して気づかせる方が、研修効果が高まるようです。自立型人材への一歩を踏み出すには、自らの気づきが何よりも重要なのです。

ゲーム・ワークの3つの効果

ゲーム・ワークを取り入れると3つの効果が期待できます。

(1)研修に主体的に参加させることができる
受講者全員が参加しないと成立しないように設計されているので、参加せざるを得ません。またゲーム性を持たせることで、興味を促し、競争心も刺激することで、主体的な学びを促進します。

(2)体験型にすることで、より具体的に理解できる
職場の仕事を疑似体験することで、会社の理念、仕事の意義や目的、戦略やPDCAの重要性、自分の課題といったことを、職場に配属される前に、理解させることができます。

(3)コミュニケーション力やチームワークを醸成することができる
チームをつくり競争させることで、受講者一人ひとりが、役割分担してお互いに協力するようになります。そうすることで自然にコミュニケーションとチームワークを学べます。それは知識としてだけではなく、これから一緒に働いていく仲間との絆を強くする素晴らしい機会にもなります。

このように、ゲームやワークを通して職場の仕事を疑似体験し、適切な振り返りを盛り込むことで、受講者の主体性を引き出して効果的な学習を促すことができます。新入社員の長所は「素直であること」なので、最初にリードしてあげることで、主体的に学び、考え、行動するようになるのです。何よりも、楽しみながら学ぶことで研修会場が活気に満ち溢れます。
受講した新入社員の感想を見ても、貴重な気づきを得ていることがわかります。

「コミュニケーションを取りながら進めていくことで、チームワークの大切さを感じた」「ゲーム感覚でシミュレーションができて、会社経営のイメージがつかめた」「自分の役割をこなしながらも周りを見て仕事をすることが大切だと痛感した」など、楽しむだけでなく、しっかり学んでいることがわかります。

目的を明確にしてゲーム・ワークをとり入れる

ゲームやワークは、楽しいから、盛り上がるからという理由だけでとり入れてしまうと失敗します。大切なのは目的を明確にすることと、そのゲーム・ワークのファシリテーター(進行役)が設定した目的をしっかり把握することです。
どういうことに気づいてほしいのか、なにを身につけてほしいのかを明確に決めた上で、それに合ったゲーム・ワークを選ぶことです。

これからの新入社員の定着・育成のために、従来型の新入社員研修に、ゲームやワークをとりいれ、自立型社員への第一歩を踏み出すきっかけにしていただければと思います。

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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