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新入社員フォローアップセミナーに思うこと―明日吹く風に、愛と感謝と希望

2015年9月16日更新

新入社員フォローアップセミナーに思うこと―明日吹く風に、愛と感謝と希望

春に新入社員研修を担当して、秋になると、新入社員研修で学んだことが、どれだけ現場で実践できたかを振り返る新入社員フォローアップセミナーを担当しています。

「今の私」から「目指したい自分像」を明確にして、新たな行動変革につなげることをねらいとしています。

新入社員の1年間は、今まで経験したことのない、さまざまな気づきや学びがあります。人生で最も大きな変化を経験できます。夢や目標があるからこそ、思いどおりにいかない焦りと、問題や課題が押し寄せるなかで過ごす日々でもあります。身だしなみや言葉遣いなど、生活習慣も変わり、混乱しそうになりながら、それでも充実した日々であったとふり返ります。

私の新入社員の頃の話です。私は航空会社に就職したのですが、最初に経験した驚きは、タイムマネジメントでした。スケジュール表には、「F14」「F24」と便名が書かれているだけで、スケジュールに書かれた便の出発時間から1時間前を計算して、それが私の出社時間でした。入社1、2年は寮生活をしていたのですが、部屋の両隣の同期と休日も出社時間もまちまち、自分の出社時間をタイムテーブルで調べて管理するという生活をしていました。最初の頃は、不安と心細さから、夜何度も起きてタイムテーブルを確認していました。月が変わると微妙に飛行機の出発時間の変更がありました。早い時間に変更の場合は遅刻になってしまいます。そこから「自己管理能力」や「自立」が学べたように思います。

私の新入社員の頃は、毎回、違うCAと乗務する、つまり同じCAと乗務しないというルールがありました。初めて会った人と仕事をするのですから、毎回緊張します。それは、慣れてしまわないで、緊張して接客サービスをお客様に提供するためと聞いたことがありました。「私、70期の朝倉と申します。新人ですので、いろいろとご指導いただかなければなりませんが、よろしくお願いいたします」と挨拶します。ボーイング727は4人乗務ですから、3人の先輩一人ひとりに丁寧に挨拶していました。挨拶をせずに先輩から「今日ご一緒する朝倉さんですね」と声をかけられた日は最悪です。当たり前のことができないのですから、信用されないのです。信用するために、先輩から質問をされたり、チェックを受けたりしました。「今日の掲示板にはどんな飲み物のサービスの変更がありましたか?」――掲示板の確認やメモをしていなかった時は、ますます窮地に追い込まれます。「この飛行機の酸素マスクの予備数は?」「あなたは緊急時に何を持ち出しますか?」――知識の習得ができているか、役割が決まっているので、それを正確に答えられるか......答えないと乗務を降ろされます。

初めて一緒に乗務する主任はどんな人なのかをイメージしながら、良好な人間関係を構築していきました。クルーのメンバーと歩いている際も、さっと小走りでドアを開けるなどの「配慮」を身に着けました。どんな人とも仲良くコラボレーション(協働)できるコミュニケーションのセンスを磨いてもらった気がします。

入社から1年経って、主任の資格を取るための研修を受けました。リーダー研修です。研修で気づいたことは、1年間さまざまな経験をして、客観的に自己を見つめることができたこと、「成長」が実感できました。自分の業務はきちんと責任を果たせる、そして後輩の面倒を見られるだけの能力を身につけていることも嬉しい驚きでした。2年目でインストラクターの資格を取るための研修を受けたのですが、確実に自己の能力のレベルアップを実感しました。指導しながら、私のレベルが確認できることに感謝できました。指導しながら自分を成長につなげられるのです。指導というテーマに興味、関心を持ちました。「緊急時のドアの開け方を言ってください」と訓練生に質問しながら、自分がどれだけ解っているかを確認することが出来るのです。

入社1年2年目は、仕事観の基礎を固める上で大切な時期です。「何を大事にしながら仕事をするのか」、自分の中に核となる「判断基準」「心のものさし」を持つことの大事さと、そのものさしを性能のいいものに進化させることの大事さを知りました。私は「愛」と「感謝」と「希望」が核になりました。「愛を込めて仕事をする」「出会いの素晴らしさに感謝する」「自分を信じ、明日吹く風に希望を持つ」――研修は、希望を共に語り、真理(愛)を心に刻む場と考えています。それを日々現場でどれだけ実践できているかを確認し、新たな行動変革につなげています。目指したい自分像と新たな行動変革を期待して、フォローアップ研修に愛を込めたいと思います。

朝倉 慶(あさくら・けい)
1972年、全日本空輸(株)に入社。キャビンアテンダント主任、インストラクターCAとして後輩の指導にあたる。1974年より国際線客室乗務員の資格取得、国際線に乗務。1976年に同社を退職。1984年、YEA国際学院(キャビンアテンダント養成)講師を経て、副学院長に就任。1988年、同学院を退職し、朝倉ゼミナール研究所設立 所長に就任。同時にPHPゼミナール講師としての活動を開始した。現在、企業、大学、専門学校などで各種研修、講座の講師を務める。PHPコーチング・認定ファシリテーター。

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