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コンフォートゾーンに安住する社員。さらなる成長を促す2つの方法とは?

2019年8月 1日更新

コンフォートゾーンに安住する社員。さらなる成長を促す2つの方法とは?

安全安心なコンフォートゾーンに留まっていると、人は成長することができません。その状況を抜け出し成長を促すには?

「コンフォートゾーン」とは?

コンフォートゾーンとは、自分にとっての「快適な領域」を意味する心理学の言葉です。人は本能的に自分にとって快適な領域の範囲内で、安心安全に生きようとします。そして、このコンフォートゾーンから出ることに対して、不安や不快感を覚えます。

コンフォートゾーン

この「コンフォートゾーンの範囲内で生きていきたい」という本能的な心理状態は、普段の生活だけではなく、仕事環境においても起こっています。

たとえば、不満のない職場環境で働いていたのに、突然の辞令で部署異動を言われ、強烈な不安や不満や不快感を覚えたとします。これは、外的要因によってコンフォートゾーンの外に出なければならなくなってしまった状態に、ストレスを感じているのです。

「ラーニングゾーン」と「パニックゾーン」

では、コンフォートゾーンの外には具体的にどのような領域が広がっているのでしょうか。じつはコンフォートゾーンの外側には「ラーニングゾーン」と「パニックゾーン」という二つの領域が存在しています。

ラーニングゾーン、パニックゾーン

ラーニングゾーンとは、「学びの領域」と言われる領域です。この領域は不安や不快感はあるものの、自分の意思決定が及ぶ範囲内の領域です。もちろんこの領域では失敗や敗北もありますが、挑戦や努力や創意工夫によって、新たな学びや成長が多く得られる領域でもあります。

パニックゾーンとは直訳すると混乱ですが、本質的な意味としては「対応不能な領域」と言えるでしょう。自分の意思決定がいっさい及ばず、自己の抱えることのできる許容範囲を超えた過度の負荷がかかるのが特徴で、このコンフォートゾーンの外側にある2つの領域の違いを判断するのは、不快感の強さよりも「意思決定が及ぶ範囲」かどうかがひとつ基準となります。

コンフォートゾーンの外に飛び出すことが自己成長に

一説によると、人の行動の源泉は大きく二つしかないと言われています。一つは「快を得たい」という動機、そしてもう一つは「不快から逃れたい」という動機です。

この二つが意味することとは、人は「できるだけコンフォートゾーンの中で生きていたい」「できるだけコンフォートゾーンの外には出たくない」という心理状態を持っているということです。

しかし、人としての大きな成長は、コンフォートゾーンの外側にあります。子どもの頃は、環境の変化だったり勉強の機会だったりを、ある程度、周囲の環境(例えば、親や学校)が与えてくれます。本人の望む、望まないに関わらず、定期的にコンフォートゾーンの外に出る機会があるのです。

ですが、大人になってからは、そのようなコンフォートゾーンの外に出る機会を外的環境から与えられる回数が減っていきます。

それは、自立したことによって与えられる機会が少なくなるということもあるのかもしれませんが、それよりも、これまでの人生経験を通して自分のコンフォートゾーンが広がってしまい、ちょっとした環境変化やイレギュラーなどがコンフォートゾーンの範囲内になってしまったことが、主な理由ではないかと筆者は考えています。

コンフォートゾーンから出る2つの方法

では、どうすればその広がったコンフォートゾーンから出て、意識的にラーニングゾーンへ入ることができるのでしょうか。

そのためには、大きく二つの方法があります。一つは「自ら変化をつくり出す」という方法。そしてもう一つは「偶然に訪れた変化をまずいったん受け入れる」という方法です。

まず、一つ目の方法についてですが、自ら変化をつくり出すために一番簡単なのは、惰性的になってしまっている仕事や学習に、自ら新しいチャレンジを取り入れる工夫をするということです。

たとえば、仕事であれば、これまでの仕事内容に対して、あえてもうひと手間、ふた手間かけて改善してみるとか、丁寧にやってみるのが、小さな一歩ではあります。

そしてもう一つの方法、「偶然に訪れた変化を、まずいったん受け入れる」についてです。筆者は、コンフォートゾーンの外側に出ることで受ける不快感のことを、個人的に「ノイズ」と呼んでいます。人はノイズを受けると、本能的にコンフォートゾーンの中に留まろうと行動を起こします。

自分から望んで挑戦したときには、ある程度心の準備をしてノイズと向き合えますが、突然訪れた変化に対しては、人は自己防衛をしてしまいます。つまり、コンフォートゾーンに留まろうとするのです。そして、本当にそこに留まってしまうと、新たな自己成長はありません。

生きる力とは「失敗や困難を乗り越える力」

そこで、オススメしているのがノイズの強さを、そのまま「成長の幅」として捉えるようにしてみることです。

たとえば、急な変化でコンフォートゾーンの外に出てしまい、強いノイズに晒されたとしましょう。そこでそのまま「いやだなぁ」「これまでどおりがいいなぁ」と拒否反応を示しているのと、「これだけ自分の心が拒否反応を示しているのだから、この試練を乗り越えたらこのノイズに応じた分の大きな自己成長が得られるんじゃないだろうか。だったら失敗してもいいから、臆せず正面から挑戦してみよう」と考えるのとでは、その後の自己成長に大きな違いが出てくるのではないでしょうか。

元メジャーリガーの松井秀喜さんは、現役時代に次のような言葉を話しています。

「生きる力とは、成功を続ける力ではなく、失敗や困難を乗り越える力だ」

現役時代も今も、自身のコンフォートゾーンの中に落ち着くことなく、常に挑戦し続けてきた松井秀喜さんだからこその裏打ちある言葉です。

成長を続ける人は、共通して不安の本質的な意味を理解しています。コンフォートゾーンという考えを知り、不安や不快感といったノイズを「自分の心の内から出てくる、成長のサイン」と捉え、自ら成長の機会を見つけ出していきましょう。

延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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