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やる気について考える――ヒーローを生み出す職場環境とは

2014年11月17日更新

やる気について考える――ヒーローを生み出す職場環境とは

人は自分の努力や成果が認められた時に、やる気が上がるものです。「ヒーローインタビュー」という研修手法は、それを応用しています。やる気と活気に満ちあふれた職場をつくるためには……PHP研究所研修事業部長・的場正晃のコラムです。
 
 
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人はどうすればやる気を出すのか?
 
人材マネジメント上の永遠のテーマとも言えるこの問いに対する答えを考えるうえで、自分自身の体験を振り返ってみることは有益です。
 
子どもの頃、運動会の徒競走で上位入賞して表彰台に上がった。絵画展に出展したら入賞した。学生時代に、模擬試験で優秀な成績をとって名前が発表された。会社に入って、仕事上の成果を上げ、上司に褒められた、等々。誰しも、これまでの人生においてスポットライトが当たった体験を一つか二つは持っているもの。そして、その体験を思い出すとき、人は自信と勇気とやる気が高まるのです。
 
研修手法の一つに、「ヒーローインタビュー」というエクササイズがあります。二人一組になって、インタビュアー(インタビューする人)、インタビュイー(インタビューに答える人)に役割分担し、「今までの人生でもっともスポットライトを浴びた体験」を引き出していくのです。あたかもプロ野球におけるヒーローインタビューのごとく、相手の「誇らしい体験」に光を当て承認していくのですが、このエクササイズによるモチベーションアップの効果は数多くの研修で実証されています。
 
要するに、人は自分の努力や成果が認められ承認された時、やる気が上がるものなのです。したがって、人材マネジメントにおいて、相手の仕事ぶりをよく観察し、成果やプロセスを承認していくことは極めて重要な意味をもつのです。
 
また、仕事上の成果が誰の努力によるものなのかが明確になるような仕掛けや配慮も必要でしょう。CS実践のお手本として常に注目されている、コーヒーショップチェーンS社には、「いい仕事」をしたスタッフを毎月表彰する制度があります。表彰された人もされなかった人も、「来月は表彰されよう!」と意欲を高め、日々の仕事に全力投球する、好循環が生まれていると言われています。
 
時代が変わり社会環境が激変しても、人の心はそう大きく変わるものではありません。「自分のがんばりをきちんと承認してほしい」という欲求は、老若男女を問わず時代を越えた普遍的・不変的な人間の本質的心理とも言えるでしょう。そうした人間の本質を理解したうえで、「観察」と「承認」によって、一人ひとりの内発的なやる気に火をつけることがマネジメントの最重要課題なのです。
 
入れ代わり立ち代わりヒーローが生まれてくるような職場には、やる気と活気が満ちあふれ、成果獲得に向かって前進する力が生み出されます。今一度、自組織の現状を見直し、何から手を打てばいいか、再点検してみてはいかがでしょうか。
 
 
 
的場正晃 (まとば・まさあき)
 
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長

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