中途採用社員研修のプログラム
2015年3月26日更新
中途採用社員研修では「会社への帰属意識」を高めることがポイントとなります。また、転職組と一般社員を混ぜて、打ち解けやすい雰囲気の研修を行うことも効果的です。『実践 社員教育推進マニュアル』からの転載でご紹介します。
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中途採用社員研修のねらいと概要
・中途採用社員として期待される役割を認識し、理念・方針・組織風土を理解する
・報告・連絡・相談や仕事の進め方の基本を学ぶ
・自己のキャリアビジョンを明確に描き、自己革新計画を立てる
中途採用社員研修のプログラム例
中途採用社員の教育事例
転職が一般的になりつつある時代である。自社の社員の流出を防ぐ一方で、有能な中途採用の社員に助けられている会社も多い。中途採用社員は、最初の就職より慎重に職場を選び、経験と最低限のマナーを備えており、心機一転、新鮮な気持ちで働くことであろう。中途採用の社員は魅力的な人材のはずだが、一方で「前の会社とすぐ比較する」「プライドが高く馴染めない」といった声も聴かれる。
人生経験を積んでいる分、事情や仕事の癖があって当然である。その「前の会社の経験」を活かしながら、自社の方針や風土に慣れることができるか。中途採用社員の教育には、次の図の内容が挙げられる。
このほかに、転職組と一般社員を混ぜて、打ち解けやすい雰囲気の研修を行うことも効果的である。新しい会社で、孤独感の中で仕事をすれば意地も張りたくなり、否定的にもなる。しかし仲間ができれば、職場に帰属意識が生まれてくる。そして、早く会社のファンに、最低でも「この会社のサポーターになろう」と思ってもらいたいものである。
「会社の歴史・理念・風土・社会的意義」を、できれば経営者の口から丁寧に、熱意をもって語りかける機会にしたい。経験を積んでいる分、素直に染まる相手ではない。逆に、過去の仕事をまじえた自己紹介をしてもらい、「持っている色を目立たせる」のも効果的である。
中途採用で優秀な人材を集めるには、研修内容の充実度もひとつの指針となる。職種やスキルに合わせた個別プログラムを用意したり、メンター制度を設けたりすることで、個別研修に力を入れている企業が見受けられる。中途入社社員の数や会社規模に応じて、研修に工夫をしてスムーズな戦力化と定着を実現しよう。
以下に、企業の研修事例を挙げておく。
【事例】リフォーム会社S社の中途採用社員研修
リフォーム事業を展開するS社では、入社後数回にわけて100時間以上約30テーマの集合研修を実施。プログラムは、業務内容や会社の方針・営業研修・リフォームに関わる技術など多岐にわたる。業界トップレベルの企業として、自社開発のリフォーム技術や設計・施工知識・業務に関わる法律知識・商品知識は必須のため、研修で定着させる。また、営業に必要なプレゼンテーション能力や競合に勝つための商談テクニックを取り入れ、具体的で即効性の高い研修を実施して戦力化を図っている。
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専門知識の習得に多くの時間が割かれている。営業職が多い場合は、我流を持っている中途採用社員だからこそ、「わが社の看板を背負った営業トーク・プレゼンテーションの方法」を教えておいたほうがよいだろう。異業種からの転職者も、研修内容が充実していれば安心感を覚えるはずである。