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大企業病の症状とは? あなたの会社は大丈夫か?

2015年11月19日更新

大企業病の症状とは? あなたの会社は大丈夫か?

企業に深刻な事態を引き起こす「大企業病」とは? その症状について、海老一宏氏の解説です。
 
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業績不振や不祥事の原因にもなる大企業病

 
大企業に勤務している皆さんが気がつかないうちに罹る病気、しかもそれは普段は特に症状はでないものの、知らず知らずのうちに組織を弱体化させる原因となったり、特に個人が転職をしたり、退職すると大きな症状が出て、自分も苦しみ周りにも悪影響を及ぼす病気。それが大企業病と呼ばれるものです。この病気は、大企業の社員の中でも特に幹部やエリートが罹る率が高いのが特徴です。
 
大企業病は、昨今大企業の不祥事が問題となったり、ある時期日本をリードしていた巨大企業が業績不振に陥ったりという状況が続いていますが、企業の幹部やエリートが自覚なく罹ることで、その原因になっている可能性があります。
 
また、個人レベルでみると、1990年代のバブル崩壊や2008年のリーマンショックの影響で行った大リストラで会社の外に出ざるをえなかった社員が、次の職場がなかなか見つからない、あるいは運よく転職先が見つかって働き始めても定着しないなどの深刻な症状として現れます。
 
 

大企業病の症状と対策

 
この大企業病について、その症状と対策についてお話します。
 
一人の力は限界があるものの、その力が結集してチームとなり、企業のブランドや資金力などを活用して大きな仕事につなげて行くのが会社です。特に大企業と言われている会社は、永年の歴史が刻むブランド力や企業PRによる知名度が強力です。会社の名前を出すだけで新規営業が出来たり、黙っていてもどんどん問い合わせが来たりする会社はまさにその典型と言えます。
 
さらに組織がしっかりしていることと、社員に浸透している企業文化や風土も重要です。部下は上司や先輩を敬い、上司は部下を育てて組織としての統率が自然にできていて、会社の指示命令に背くことはあまりありません。組織の規律を守ることや企業文化を大事にすることは自分を守ることになるからです。また仮に誰かが欠けても、優秀な社員がたくさんいますから、バックアップができる体制があるのも大企業の特徴です。優秀な社員が転勤したり配置換えになったりしても、企業全体としてのパワーに変化は見られません。さらに仕事の効率化や成果をあげるために分業化や教育も進んでいて、成果をあげるべく期待されている業務に没頭できるように様々なシステムができています。
 
一方、世の中に圧倒的に多い中小企業はその反対です。ブランドも知名度もなければ組織も脆弱で、会社の社員の質も、そもそも優秀な社員採用が難しいことに加えて経験値や教育が少ないために大企業と比べると相対的に劣っています。社員数も少ないために、一人一人の業務量も多く、また複数の業務を兼務していることもよくあります。仕事もチームでするというよりは一人一人の力量に大きく依存しています。
 
例えば営業マンを例に取れば、自分で市場調査や競合調査をして商品を企画するところからはじめ、カタログやホームページの文面やデザインも考えて、業者と打ち合わせもする。見込み客を自ら探してアプローチして商品をPRする。受注すると工場に出向いて生産の指示をして、納品の手配からクレームの受付まで行い、請求書も自ら作り資金の回収まで行う。このようなすべての流れを誰の手も借りずに一人で行っている中小企業の営業マンは多いはずです。
 
大企業はどうでしょうか? 市場調査は外部に委託、営業部門以外にも商品企画部門、販売促進部門、営業支援部門、生産管理部門、債権管理部門などと組織が分かれてそれぞれについての責任が明確になっています。
 
中小企業の幹部は、売上を上げて利益を出すことが仕事の大命題であり、本質的で中心的な問題です。売上を上げることと利益を出すこと以外は全て付随した仕事であり、必要に応じて臨機応変に活用しています。
 
これに対して大企業の社員は、組織が細分化されていてそれぞれに責任があるために、いったい何がもっとも重要なことなのかが見えにくくなっています。組織があればその維持のために保身が起きます。つまり全体の為に行動するのではなく、その組織と構成員の為に組織の長が判断して動いていくために、本末転倒的なことも起きてしまいます。言い方を変えれば一人一人の社員の視野が狭いとも言えます。これも大企業病の特徴の一つで、次第に企業の本質が失われて行きコントロールが出来なくなって行きます。これが昨今の大企業の不祥事や業績不振の遠因ともなっているように思います。
 
みんなが一生懸命仕事をしているのに一部で不祥事を起こした、あるいは、いつに間にか業績が悪化しているという企業の存続を揺るがすような大事態になります。
 
次回は、個人が罹る大企業病についてお話します。
 

 
 
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【著者プロフィール】
海老一宏 (えび・かずひろ)
人材紹介コンサルタント。キャリアカウンセラー。アクティベイト株式会社代表取締役社長。
1957年、宮城県仙台市生まれ。中央大学卒業後、東証一部上場企業 品川白煉瓦株式会社(現、品川リフラクトリーズ)に入社。人事、経理、営業に携わる。1992年に起業し、レンタルビデオ・CDショップを開業。1店舗からのスタートで、FC本部の経営まで事業を拡大。2000年に人材紹介会社に入社し、トップエージェントとして活躍。2005年に独立し現職に。財団法人みやぎ産業振興機構のビジネスプロデューサーも務める。エージェント歴は15年。面談者は6000名以上。エン転職コンサルタントで6年連続利用者評価NO.1(当社調べ)。
著書に『40歳からのサバイバル転職成功術』(ワニブックスプラス)、『一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと』(明日香出版社)。

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