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講師が気を配るべき効果的な研修講義のポイントとは?

2016年5月18日更新

講師が気を配るべき効果的な研修講義のポイントとは?

言葉、発声、態度、表情――効果的な研修講義のために、講師が気を配るべきポイントをご紹介します。

研修講師が使う言葉の大切さ

人の知覚においては、嗅覚より聴覚より、視覚が優位である。研修においても、講師が「何を言ったか」よりは、「どんな講師が」「どのように」言ったかのほうが受講生に与える影響が強いのは確かである。とはいえ、人が人である理由のひとつには、人と人をつなぐツールである「言葉」の存在がある。

講師は、受講生に伝えたいことを、この言葉によって伝えることができる。まず、「言葉」を意識することが大事である。言葉は揮発性があり、発する先から消えてなくなる。しかし、それが一生、人の心に残ることもあれば、人の心を傷つけることもあるのである。そんな「言葉」の使い手であるという認識をもっていただきたい。

正しい発声と好ましい話し方で伝える

言葉は、講師の「声」として受講者に送り届けられるわけだが、「声色」という単語があるように、声にも多種多様な性格がある。

声は、相手を信頼させる響きにもなれば、嫌悪感を抱かせる音にもなる。講師には、正しい発声から生まれる好ましい話し方で、メッセージを伝えていただきたい。

分かりやすい言葉の使い方

・大きめの声で(会場の広さと、マイクの使い方にも注意)
・ゆっくり、はっきり(背筋を伸ばすことと、口を開ける大きさも重要)
・適度なスピードで
・流暢よりも明瞭、最初から最後まで聞こえるように
・一本調子にならないように、テンポとリズムを活用する
・アクセントに注意(言葉は見えない)
・時と場合によっては、声の大きさや、話すスピードを変える
・一文が長すぎないように、また、語尾をきちんと話す
・自身の口癖に注意する(えー、あー、~ですがね、など)
・専門用語、カタカナ語には特に注意
・敬語は正しく(謙譲語と尊敬語の区別)
・言いたいことはひとつに(メッセージを明確に)
・ポイントは繰り返して(人はすぐに忘れる……)
・具体的な表現で(誤解の余地なくイメージを共有化)

発声法を学んだり、話し方講座に通ったりすることが重要なのではない。大切なのは、聞き手である受講者に思いやりを持ち、分かりやすく話そうとする気持ちである。
自分の背中は見えないし、自分の顔も何かに映さない限りは見ることができない。自分のことは意外と分からないものなのである。自分がどのように言葉を発しているのか、一度は録音して聞いてみることをお勧めする。

研修講師は、態度や表情にも気を配ろう

研修会場で受講者が講師から得る最初の情報は、聴覚からではなく、視覚からである。講師の言葉の前に飛び込んでくるのが、講師の態度と表情ということになる。

研修では、あくまで受講者が主役である。講師には、受講者が割いている「時間」と、受講者が集っている「場」を最大限に有効活用し、価値を与える責任がある。講師はそれが受講者に影響を与える以上、立ち方、歩き方、身のこなしから、眼力、表情、しぐさ、姿勢にも注意を払うべきであろうし、逆にこれらを、メッセージを送るツールのひとつとして有効活用すべきである。

言葉の録音と同様、自分のインストラクションを撮影してみるのもよいだろう。自分の癖はないか、立つ位置は適切か、研修中の動き、静動のバランスはどうか、意味もなく歩き回っていないか、表情は豊かか、話の内容に適した表情かなどを定期的に確認する。自分のインストラクションから、熱意や信頼感、そして若干の緊張感が感じられるかどうかをチェックする。

第一印象とは

・身体的特徴(性別、年齢、体型)
・服装(着こなし、清潔感、流行)
・表情(視線、喜怒哀楽の表情)
・動作(姿勢、ポーズ)
・言葉(声質、声量)
・礼儀(あいさつ、お辞儀、誠意)
・健康(顔色、エネルギー量)
・風格(知性、生き様)

目は口ほどにモノを言う/視線の配り方

・視線は8の字を描いて、会場全体をまんべんなく見る
・漠然と見るのではなく、一人ひとりに絞って目線を合わせていく
・自分の癖はないか、死角はないか(最前列左右は見えにくい)
・まばたきは多すぎないか
・視線を動かすスピードは速すぎないか
・キーパーソンやよく頷くタイプの参加者をポイントにすると話しやすい

ジェスチャーはコミュニケーションツール

ジェスチャーだけで世界旅行だってなしうるのだから、手振り身振りも立派なコミュニケーションツールのひとつである。とはいえ、あまり意識してジェスチャーを行う必要はない。ジェスチャーが大げさすぎたり、多すぎたりすると、受講者は逆に不信感を抱くようになる。講師とは、なんと難しい役割だろうか。
大事なのはバランスである。過ぎたるは及ばざるが如し。そして何より、講師の自然な感情から生まれる、自然なジェスチャーを大切にすることである。

ジェスチャー

・軽く両手を広げる(大切なことを伝える合図として、場が切り替わるとき等)
・胸に手をあてる(感情を込めたいとき)
・眼を閉じる(感情を込めたいとき)
・ホワイトボードを軽く叩く(重要ポイントを指し示す)
・立つ位置を変える(話やテーマが切り替わるとき)

こんなジェスチャーはご法度!

・腕を組む(拒絶のポーズ、見下されている気持ちを与える)
・ポケットに手を入れる
・やたらとウロウロ歩き回る(見ているほうが落ち着かない)
・サインペンや指し棒を触り続ける

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

松下直子(まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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