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役員研修で行うことは? 実施の目的や内容、成功のポイントを紹介

2022年8月15日更新

役員研修で行うことは? 実施の目的や内容、成功のポイントを紹介

役員研修は、経営幹部として求められるスキルや知識を身につける研修です。経営者を支え、目的達成の原動力となることを目指します。本記事では役員研修の意味や目的を説明し、研修の内容や成功のポイントもお伝えします。

INDEX

役員研修とは

役員研修とは、役員というポジションに必要な能力を習得するために行われます。経営の基礎知識やリーダーシップ、コミュニケーション力など、一般社員が受ける研修よりも高いレベルでスキルを身につけることを目指します。

そもそも役員とは

役員とは会社の中心となって経営のかじ取りを担い、管理監督を行う人材です。会社法における役員とは、取締役、会計参与、監査役と定められています(会社法第329条)。
役員は社員ではなく、会社の機関です。機関とは会社の運営において意思決定を行う人、あるいは組織のことで、株主総会や取締役会なども機関にあたります。
会社と社員は雇用関係にありますが、会社と役員は委任関係にあり、経営を進めることで会社から役員報酬を受け取ります。

参考: e-Govポータル「会社法」第三百二十九条(デジタル庁)

役員と管理職の違い

役員は管理職とは異なります。労働基準法上で役員は労働者ではなく使用者として位置付けられており、管理職は使用者に雇用される労働者です。使用者は事業主だけでなく「事業主または事業の経営担当者、その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者」と定義され、労働条件の決定や労務管理・業務における指揮命令の権限を有します。
そのため役員も使用者責任などの法的責任を問われる存在です。裁量権限も大きく、適切に権限を行使するためにも研修が必要とされます。

参考: e-Govポータル「労働基準法」第十条(デジタル庁)

役員研修は企業の成長に不可欠

役員研修は企業の成長のために欠かせません。役員は経営幹部として経営を担い、意思決定に参加します。
各部門の責任者、あるいは事業の統括者として、多くの部下を指揮する必要があります。

人材不足が問題となる近年、役員就任の若年化が進み、役員として備えるべきスキルが不足したまま就任する場合もあります。企業の成長のために、役員に求められる役割、スキルをあらかじめ研修でインプットするニーズが高まっています。

役員研修の目的

ここでは、役員研修を行う目的を3つ紹介します。

業績を高める

役員研修は、会社の業績を高める目的があります。役員は経営幹部の1人であり、事業運営に大きな影響を与える存在です。
各部門の責任者として指揮命令を行い、事業を円滑に進めます。役員のマネジメントは経営の成果に直結し、役員の能力が会社の業績を左右するといってよいでしょう。

経営者の負担を軽減する

役員に経営幹部としての能力が不足していると、経営者の負担が大きくなります。最終的な意思決定やマネジメントがすべて経営者に委ねられ、円滑な事業の運営が妨げられる可能性もあります。
役員研修で役員のスキルを高めれば、経営者は中長期的な経営戦略に十分な時間をかけることができ、業界の変化をリアルタイムに見通して的確な判断ができるようになるでしょう。

経営者に必要な資質を高める

役員研修は、経営者に必要な資質を高めるためにも重要です。役員は経営の一端を担うとともに、その中から経営者(代表取締役)になる人が出てくるかもしれません。そのため、経営者として身につけるべき資質を高めることが求められます。

「経営の神様」と呼ばれた実業家の松下幸之助は、『PHP』昭和42年8月号で「だれが経営者になろうとも」というテーマのもと、経営者がもつべき要件について以下の4つをあげています。

  • 確固とした事業観
  • すぐれた経営的識見
  • 経営を進めていく実行力
  • 強い責任感

4つをすべて満たすことは難しいかもしれませんが、これらの要件をもたない人が経営者になればスムーズな経営ができないでしょう。そのような事態は本人が困るだけではなく、会社も成長できません。

常に自分が経営者としてふさわしいかどうかを自問自答し、みずからの経営力を高めていくことが大切です。そのような責任感を養うことが、役員研修の最大の目的といえるでしょう。

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役員研修の内容

役員研修の内容

役員研修で学ぶ内容は多岐にわたります。役員に就任したばかりであれば経営に関する基礎知識を学びます。経営に関する基礎知識のほかに、コンプライアンスやリスクマネジメントなど、専門知識を学ぶことも必要です。
ここでは、役員研修で学ぶ代表的なプログラムの内容について紹介します。

経営に関する基礎知識

社員から役員に就任するケースでは、担当業務の専門的なスキルやマネジメント能力はあっても、経営に関する基礎知識は不足している場合があります。その場合、主に経営戦略や会計財務、経営法務といったテーマで基礎知識を俯瞰的に学びます。
特に経営幹部には財務的な知識を前提にした経営判断や管理が求められ、財務・経理に関する知識のインプットが大切です。

リーダーシップ

組織を率いるリーダーシップも、役員に求められるスキルです。
役員は、自部門の理念やビジョンを発信し、目的達成に向かって社員のモチベーションを高める必要があります。そのために必要な体制の構築や、管理監督の中心となる管理職との意思疎通など、大局的なマネジメントが求められます。

加えて、役員は管理職と比べて一般社員と接する機会が少なく、心理的な距離が広がってしまう場合があります。役員という立場ならではのリーダーシップを身に着けることが求められます。

コミュニケーション力

コミュニケーション力も、役員研修で学ぶスキルのひとつです。役員は経営に関わる立場として、現場の声を汲み取ることが求められます。
現場の情報や社員の声は役員には届きにくいものです。コミュニケーションの橋渡し役となる管理職の力も借りながら円滑なコミュニケーションをとり、「率直な意見を言いやすい」「会社を良くするために協力したい」と思われるようなコミュニケーション力と人間力を身につけることが大切です。

コンプライアンス知識

役員にはコンプライアンス知識が必要です。コンプライアンスとは法令遵守という意味で、企業活動においてはただ法令を守るというだけではありません。公序良俗などの社会的な規範に従い、社会から非難されるような行動をしないことを指します。
役員は研修で十分なコンプライアンス知識を身につけ、コンプライアンスを遵守するために社内ルールの策定や周知を行わなければなりません。

リスクマネジメント能力

リスクマネジメント能力も重要です。リスクマネジメントとは将来発生する可能性のあるリスクを想定し、事前に損害・損失を最小限に抑えることです。
リスクとして想定できることは、内部的には不祥事による企業イメージの悪化や、外部的には自然災害などがあげられます。
役員はこれら発生の可能性があるリスクを事前に想定し、適切な対応ができるようにしなければなりません。

分析能力

役員には市場分析やデータ分析などの分析能力も必要です。リスクマネジメントともつながる能力ですが、自社が市場でどのようなポジションにあるのか、今後の戦略はどのようにしていけば良いのか、定量的な分析を通して事業の方向性を決める必要があります。
会社の内部では、社員の特性や資質を観察、分析し、適切な担当業務に配置するなど、人を見る力も求められます。

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役員研修を成功させる2つのポイント

役員研修を成功させるためには、いくつかポイントがあります。まず、自社の役員にどのようなスキルを身につけてほしいかを明確に定義しなければなりません。役員が身につけるべきスキルは、自社の弱点を強化できるものかどうかで判断します。
また、研修で学んだことを現場で活かすためのフォロー体制も欠かせません。
役員研修を成功させる、2つのポイントを紹介します。

1.研修で得られる成果を明確に定義する

役員研修は、受講の目的を明確にする必要があります。この研修を受講することによって、どんな能力が得られ、それらを使ってどのようにビジネスに好影響を及ぼすのか、具体的なゴールイメージを描くことが大切です。

理想の姿を描けたら、そこからバックキャスティングして、自社の役員に足りていない能力や弱点を洗い出します。それらを補完するように研修プログラムを検討すると良いでしょう。 ただ形式的に役員研修を実施するのではなく、会社の成長にどう役立てるのかを考えたプログラムを組むことが大切です。

2.アフターフォローの体制を整える

研修は「やりっぱなし」「学びっぱなし」になりやすいのも事実です。研修で学んだことを現場で活かすためのアフターフォローが大切です。研修後に一定の期間が経過したら研修の振り返りを行い、必要なスキルや知識が定着しているか、現場で活かされているかを確認します。
フォローアップ研修をセットで検討したり、研修を1時間ずつなどの短い時間に分け、長期間に渡って実施するのもおすすめです。

まとめ

役員の能力は企業の成長に強い影響を与えるものであり、経営幹部としてのスキルを身につける役員研修は重要です。役員研修により役員の能力レベルが上がれば、業績アップや経営者の負担軽減を図れるでしょう。
役員研修を成功させるには、自社の役員に必要な要件を定義し、「やりっぱなし」で終わらせない設計が大切です。
会社の成長を加速するためにも、役員研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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