新入社員研修の内容をどうする? チェックリストでご紹介
2025年2月10日更新
新入社員研修で教えるべき内容をチェックリストでご紹介します。社会人としての心構えなど、新入社員すべてに共通する基礎課題のほかに、業種・業界別、職種別の内容もリストアップしています。新人研修のカリキュラム策定とオンボーディング支援の参考にしてください。
新入社員研修の内容を検討するうえで、下記の記事もぜひ参考にしてください。
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新入社員研修 全員共通の内容例
新入社員研修では、組織社会化を後押しし、社会人としての第一歩をスムーズに踏み出してもらえるよう、学ぶべき共通の内容があります。心構えやビジネスマナーなどの基本は、新人実力を発揮し、活躍するうえでの土台となりますので、グループワークなどを交えながら導入研修で指導しましょう。
社会人としての心構え
まずは、社会人としての自覚を持ち、責任感を持って行動することを学ぶ内容です。自己管理能力を高め、時間を守る、報告・連絡・相談を徹底するなどが挙げられます。職場の内外で愛され、信頼される社会人になるためには、ビジネスマナーや仕事の基本を大切に、円滑なコミュニケーションが とれるよう指導しましょう。
- □社会人としての責任(学生と社会人の違い)
- □組織の一員としての心構え、自己管理(時間管理・健康管理)
- □「仕事観」をもつ
- □仕事に対する心構え、プロ意識
- □主体的に行動する姿勢
- □「仕事観」をもつ
- □職場のチームワーク
- □主体的に行動する姿勢
- □継続的な学習と成長意識
- □モチベーション管理の方法
ビジネスマナー・仕事の基本スキル
挨拶や言葉遣い、身だしなみなどの基本的なマナーを身につけることは、円滑な人間関係の構築に不可欠です。また、名刺交換や電話・メール対応などの基本スキルも重要です。適切な敬語の使い方を学び、TPO(時・場所・場合)を意識した振る舞いができるようになることで、社内外での信頼関係を築くことができます。
- □ビジネスマナーとは何か
- □挨拶・敬語の使い方
- □名刺交換
- □電話対応(社内・社外)
- □ビジネスメールの基本
- □社内文書作成(報告書・議事録・レポートなど)
- □ビジネスチャットのマナー
- □身だしなみ・服装のルール
- □会議・打ち合わせの進め方
- □来客対応(受付・案内)
- □ネットリテラシーの基本、SNSの適切な利用方法
会社の理念、歴史、社内ルール・制度
会社の就業規則や評価制度、福利厚生などのルールを理解することは、安心して働くために不可欠です。勤怠管理や休暇申請の手続き、情報セキュリティのルールなどを正しく把握し、社内の規律を守ることが求められます。また、会社の歴史や理念、ミッション・ビジョンを理解し、それに沿った行動を意識することが、長期的な成長につながります。
- □会社の理念・歴史
- □組織のミッション・ビジョン
- □社内の組織構造と各部署の役割
- □勤務時間・休暇制度
- □社内システムの使い方(メール、経費精算、勤怠管理など)
- □コンプライアンス(情報セキュリティ、ハラスメント防止、機密保持)
- □社内でのコミュニケーションツールの使用方法
- □福利厚生の概要(健康診断・社内イベントなど)
- □交通費・経費精算の手続き
- □社内研修・キャリアアップ制度
業務遂行スキル
業務を効率的に遂行するためには、タスク管理能力やPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを活用するスキルが求められます。指示を正確に理解し、優先順位を考えながら業務を進めることが重要です。
- □タスク管理(優先順位のつけ方)
- □PDCAサイクルの実践
- □報告・連絡・相談の基本
- □指示・命令の受け方
- □問題解決の基本プロセス
- □目標管理(目標設定と評価基準)
- □業務フローの理解
- □データ管理・情報共有の適切な方法
- □ファシリテーションスキル(会議の進行)
コニュニケーションスキル
一人前の社会人になるには、相手のことをきちんと考えながら、好感を持たれる会話ができるようになることが大切です。そうすれば、社内外で豊かな人間関係が築かれ、ビジネスチャンスも広がっていくでしょう。取引や交渉を行う相手とのやり取りをスムーズに進めるためにも、コミュニケーション力を高めていくことは必要不可欠です。
- □チームワークの基本
- □コミュニケーションスキル向上(敬語、話し方など)
- □ほめられ方・叱られ方
- □上司・先輩・同僚との関係構築
- □ストレスマネジメント
- □自己成長のための学習習慣
- □リーダーシップの基本
- □クライアントとの信頼構築
- □ネゴシエーション(交渉術)
職種別の研修内容例
新入社員研修は、全員に対して共通の内容で実施したあと、実習や配属先のOJTなどにより、職種ごとの研修にすすむケースがほとんどです。職種別の新入社員研修を実施する際には、以下のような点に気をつけて計画することが、新入社員のスムーズな業務適応につながります。
営業職向け基本スキル
営業職では、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力やヒアリング力が重要です。商品・サービスの知識を深め、顧客のニーズを的確に把握し、適切な提案を行うスキルを身につけましょう。また、目標達成のための計画立案や、効果的なプレゼンテーションのスキルを学ぶことで、成約率を向上させることができます。
- □営業の基本プロセス(アプローチ・ヒアリング・提案・クロージング)
- □顧客折衝のポイント
- □提案資料・プレゼンテーションの作成
- □競合分析の方法
- □契約・見積もりの基本
- □SFA(セールスフォースオートメーション)の活用方法
- □CRM(顧客関係管理)の活用方法
- □交渉・価格調整のコツ
- □フォローアップと顧客維持
人事・総務職向け基本スキル
基本スキルとしては、社内外の円滑なコミュニケーション力、正確な事務処理能力、機密情報の管理意識、マルチタスクへの対応能力が必要になります。また、採用や労務管理、備品管理など多岐にわたる業務に対応するため、基本的なPCスキルのほかに、社内システムや勤怠管理ツールなどの活用スキル習熟、関連法規の知識習得も重要です。
- □ビジネスマナー(敬語・電話・メール対応)
- □コミュニケーション力(社内調整・来客対応)
- □事務処理能力(書類作成・データ管理)
- □PCスキル
- □採用業務の基礎知識(応募者対応・面接調整)
- □労務管理の基本(勤怠管理・給与計算補助)
- □情報管理(個人情報・機密情報・社内資料の取扱い)
- □総務業務(備品・社内イベント管理)
- □関連法規の理解(労働基準法・個人情報保護法)
- □臨機応変な対応力(急な依頼やトラブル対応)
経理職向け基本スキル
経理部門の新入社員は、会社の財務を支える重要な業務を担います。基本スキルとして、正確な数値処理能力、基本的な会計知識、細かい確認作業を厭わない慎重さが求められます。また、ExcelなどのPCスキルや関連法規(税法・会計基準)の理解も不可欠です。日々の仕訳入力や伝票処理を通じて、経理の基礎をしっかりと身につけ、正確かつ効率的に業務を進めましょう。
- □数字の正確な処理能力(計算ミス防止・チェック力)
- □基本的な会計知識(仕訳・貸借対照表・損益計算書)
- □PCスキル(Excelの関数・会計ソフトの操作)
- □伝票処理(仕訳入力・領収書・請求書管理)
- □資金管理(銀行振込・入出金管理)
- □税務の基礎知識(消費税・源泉所得税・年末調整)
- □財務諸表の基礎理解(BS・PLの読み方)
- □内部統制意識(不正防止・ダブルチェックの徹底)
- □関連法規の理解(会社法・税法・会計基準)
業種・業界別の研修内容例
新入社員研修の内容は、業種・業界によって、必要な知識・スキル、法律や顧客対応・ビジネスモデル、使用するツール・システムに違いがあることから、実務に応じた設計する必要があります。導入研修では新入社員がまず習得しておきたい知識とスキルに絞り、その後、OJTやOff-JT、自己啓発などを通じて習得したいスキルや知識を紹介しておくことで、見通しをもって職場での第一歩を踏み出せるようになります。
金融業
金融業では、身につけるべき知識が多岐にわたりますが、まずはコンプライアンスとリスク管理が重要です。そして、金融商品の基礎知識や市場動向の理解、法規制(金融商品取引法・個人情報保護法など)を順次学んでいきます。また、顧客対応力を高めるためのビジネスマナーや説明力も必要です。それらの基礎を身につけたうえで、データ分析や会計・財務の基礎、最新の金融テクノロジー(フィンテック)に関する知識も習得し、信頼される金融プロフェッショナルを目指します。
- □金融市場の基礎知識
- □金融商品の種類と特徴(投資信託・保険・ローンなど)
- □リスク管理の基本
- □コンプライアンスと法令遵守
- □投資分析の基本
- □顧客資産管理の基礎
- □マーケットトレンドの把握
- □金融犯罪防止対策 など
製造業
製造業の研修では、安全管理・品質管理が最優先です。工場や生産ラインのルールを理解し、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の習慣を身につけます。また、製品や製造プロセスの基礎知識を学び、改善活動やコスト意識を持つことが求められます。
- □工場見学・生産プロセスの理解
- □品質管理(QC)
- □製品の基礎知識
- □サプライチェーンと物流の基礎
- □安全管理・労働災害防止
- □原価計算の基礎
- □生産計画の立て方
- □環境対策とSDGsの取り組み
小売・流通業
小売・流通業の研修では、接客・販売スキルや顧客満足(CS)の考え方を学びます。商品知識や陳列・在庫管理、POSシステムの使い方を習得し、売上向上のためのマーケティングやプロモーション手法も理解します。また、クレーム対応やロジスティクス(物流管理)の基礎を学び、チームワークを意識した現場運営力を身につけることが求められます。
- □販売の基本(接客・クレーム対応)
- □在庫管理の基本
- □マーチャンダイジング
- □ECサイトの仕組み
- □顧客データの活用
- □レジ・POSシステムの操作
- □セールスプロモーションの企画
- □ブランド戦略とマーケティング
IT関連業
IT業界の新入社員は「学び続ける姿勢」を持つことが重要です。技術は常に進化するため、自ら情報をキャッチアップし、成長し続ける意識が必要です。次に「チームワーク」を大切にし、円滑なコミュニケーションを心がけましょう。また、「課題解決思考」を持ち、自ら問題を考え、行動する力を養うことも求められます。常に「お客様視点」を忘れず、技術を通じて価値を提供する意識を持ることが成長への鍵となります。
- □基本的なITリテラシー(ネットワーク、セキュリティ、クラウドなど)
- □自社の製品・サービスの理解
- □ソフトウェア開発の基本知識
- □DX(デジタルトランスフォーメーション)のトレンド
- □プロジェクト管理の基本
- □UI/UXの基礎
- □データ分析の基本
- □プログラミング基礎(HTML/CSS/JavaScriptなど)
医療・福祉業界
医療・福祉業界の研修では、倫理観と専門知識が不可欠です。医療法規や個人情報保護、感染対策、安全管理を学びます。また、患者や利用者への適切な対応やコミュニケーション力を養い、チーム医療の重要性を理解します。さらに、記録管理や報告・連絡・相談の徹底も求められ、緊急時の対応やストレスマネジメントも研修の一環として取り入れられます。
- □医療・介護業界の基礎知識
- □倫理とコンプライアンス
- □患者・利用者対応
- □保険制度の理解
- □緊急対応マニュアル
- □感染症対策
- □医療機器の基本知識
- 記録管理と情報共有の方法
まとめ:自社にあわせた研修内容で新入社員の第一歩を支援
ここでご紹介したのは、新入社員研修で教える内容のほんの一例です。新入社員の教育カリキュラムは、入社時の導入研修で教えるもの、OJTで職場で身につけさせるもの、通信教育やeラーニングを活用して自学自習させるもの、外部セミナーの活用などを組み合わせて計画する必要があります。また、入社1年目、2年目、3年目と成長に合わせてプランを立てることも重要です。HR担当者が、計画的に教育を実施することで、新入社員もキャリアプランを描きながら、主体性をもって成長していくことができるでしょう。