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エグゼクティブコーチングとは? 実施する効果や一般的な流れ、コーチの選び方を解説

2022年7月11日更新

エグゼクティブコーチングとは? 実施する効果や一般的な流れ、コーチの選び方を解説

経営者は、企業の方向性を定め、組織を牽引していかなければならない責任ある立場です。しかし経営トップであるがゆえに、周りに仕事の悩みを相談しづらく、孤独を感じる方も少なくありません。そこで今注目されているのが、エグゼクティブコーチングです。今回は、エグゼクティブコーチングの概要を解説します。

INDEX

経営者向けエグゼクティブコーチングとは

エグゼクティブコーチングとは、社長や取締役などの経営層を対象にしたコーチングのことです。意思決定の質の向上、経営層の意識変革や行動変革、経営幹部候補者の育成などを目的としています。

エグゼクティブコーチングの必要性

将来の予測が困難で不確実なVUCAの時代において、経営者には、自社の現状を把握しつつ、事業を取り巻く環境を見極めながら、瞬時に経営判断をすることが求められます。また、時代の変化に追いつくためには、経営に対する自らの信念をよりどころにしつつも、変えるべきものを変え、内省を通じて学び、経営者自身が成長を続けていくことが必要です。企業の存続に関して経営者の責任は重大であり、抱える課題は、その重要度が高いほど、相談できる相手も少なくなります。
そこで今、注目されているのが、エグゼクティブコーチングです。エグゼクティブコーチングでは、優れたコーチが、コミュニケーション・プロセスを通じて経営者のなかにある思いや志、理想とする経営の在り方を引き出し、主体的に気づきを得られるよう伴走します。そして、コーチとの対話を通じて、目指すべきゴールや次の打ち手を明確にすることで、より早く、確実な意思決定が可能になります。

今、エグゼクティブコーチングの需要が高まっているのは、そうした背景があるからだといえるでしょう。

ビジネスコーチングとの違い

このように、エグゼクティブコーチングは、対象や内容、コーチに求められる資質などが、企業における一般的なビジネスコーチングとは大きく異なります。
ビジネスコーチングについて詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
参考記事:ビジネスコーチングとは? コーチングとの違いや目的、メリットを紹介

エグゼクティブコーチングの3つの特徴

エグゼクティブコーチングの3つの特徴

経営者を対象にしたエグゼクティブコーチングは、一度実施したからといってその人の抱える悩みや課題をすぐに解決できるわけではありません。経営者は会社にとって重要かつ困難な課題を抱えているため、長期的な視点でエグゼクティブコーチングを実施していくことが大切です。

エグゼクティブコーチングの特徴には、次のようなものが挙げられます。

  • 実施期間は6~12ヵ月程度
  • 実施形式は1対1が基本
  • 実施テーマは経営に焦点を絞る

それぞれの特徴を確認していきましょう。

1.実施期間は6~12ヵ月程度

エグゼクティブコーチングは、月に1〜2回の頻度で6〜12ヵ月程度実施するのが一般的です。時間は1回あたり60〜90分程度で、コーチのリードによって、課題や、それに対するゴール設定、次に取るべき行動などに経営者自身が気づいていきます。エグゼクティブコーチングの実施期間に決まりはありませんが、長い場合は10年以上継続する事例もあるようです。

2.実施形式は1対1が基本

エグゼクティブコーチングの実施形式は、経営者とコーチによる1対1のコーチングが基本です。近年は対面によるコーチングだけではなく、オンラインコーチングを実施することもあります。オンラインコーチングであれば場所を問わないため、多忙な経営者でもスケジュールを調整しやすいでしょう。
また1対1のコーチングの前に、4〜6名の経営者を対象にしたグループコーチングを実施する場合もあります。グループコーチングでは、他者の考え方や価値観に触れ、刺激を受けたり、課題解決のヒントが得られたりというメリットがあります。

3.実施テーマは経営に焦点を絞る

エグゼクティブコーチングの実施テーマは、経営に焦点を絞るのが基本です。たとえば、経営戦略の立案や意思決定、経営幹部候補の育成などがあります。ただし、プライベートな悩みが業務に支障をきたしている場合は、それをテーマとして扱っても良いでしょう。

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エグゼクティブコーチングの3つの目的

エグゼクティブコーチングを実施する目的には、次のようなものが挙げられます。

  • 経営者の良き相談相手をつくる
  • 経営幹部候補者を育成する
  • 経営者の精神状態を安定させる

それぞれの目的を確認していきましょう。

1.経営者の良き相談相手をつくる

社運を左右する重要な判断を迫られる経営者ですが、判断に迷ったときに相談できる相手がいないことも少なくありません。また第三者に悩みや課題を相談する際は、自社に関する機密情報が外部に漏れるリスクを考える必要があります。
しかし、経営者が誰にも相談できず不安や疑問を抱えたまま重要な判断を下してしまうと、良くない結果をもたらす危険性もあります。

エグゼクティブコーチングでは、守秘義務があるコーチが相談相手になるため、情報漏洩などの心配をすることなく、課題解決に向けて考えを深めることができます。

2.経営幹部候補者を育成する

エグゼクティブコーチングは、現経営者だけではなく、会社の将来を担う経営幹部候補者にも有効です。経営者・経営幹部は、社会環境や市場動向を大局的に見て、ビジネスにおける視座を高めなければなりません。
その点、プロのコーチは、経営者の考え方や思考プロセスを熟知しています。経験豊富なコーチの導きによって、一つ上の階層を意識した行動計画を立てたり、思考力を養うことができるようになります。

3.経営者の精神状態を安定させる

経営者は、大きなプレッシャーを感じていることも多いものです。精神的に不安定な状態であれば、決断が迫られる場面で適切に判断ができないこともあるかもしれません。
エグゼクティブコーチングを受けることで、経営者の悩みや課題が整理され、次の打ち手が明確になると、不安が軽減されます。前向きな変化がもたらされ、良好な精神状態を維持できます。

エグゼクティブコーチングの4つの効果

経営者を対象にしたエグゼクティブコーチングで得られる効果には、次のようなものがあります。

  • 経営者の意識改革・行動変革が期待できる
  • より早く、確実な意思決定が可能になる
  • 組織全体に好影響を与えられる
  • 肯定的な人間観をもつことができる

それぞれの効果を確認していきましょう。

1.経営者の意識改革・行動変革が期待できる

エグゼクティブコーチングでは、経営者の悩みや課題をテーマとして扱います。経営者は、コーチのリードによって自身の考えを整理しながら、志やミッションに気づくことができます。
目先の忙しさに追われて考えることができなかった志やミッションを定めることで、意識や行動が変わり、それは企業経営においても成果をもたらしてくれるでしょう。

2.より早く、確実な意思決定が可能になる

市場予測が困難なVUCAの時代において、経営者の判断は、以前とは比べものにならないほど重要さを増しています。常にプレッシャーにさらされている経営者は、精神的にもタフである必要があります。
エグゼクティブコーチングでは、「恐怖や不安に対してどのように対処するか」というアプローチができるため、経営者にとって精神的な支えになります。
また、最終的な経営判断を下すのは経営者自身ですが、判断に至るまでの思考プロセスはコーチがサポート可能な領域です。コーチのサポートを受けることで、一人で悩みを抱えるよりも冷静に適切な判断ができるようになります。

3.組織全体に好影響を与えられる

コーチはコミュニケーションのプロです。コーチの話し方や聴き方、質問の仕方などを参考にすることで、社長自身のコミュニケーション力が向上します。経営者に話がしやすく風通しのいい組織になると、現場の様々な情報が経営者に入ってくるようになり、より的確な経営判断ができるようになるでしょう。
実際に「PHPエグゼクティブ・コーチング」を利用してコーチングを受けた経営者は、「どのような態度をとれば相手が話しやすいのか、また話す気持ちになるのかも学ぶことができました。経営者に欠かせない資質であり、その意義も大きかったと思います。」と話しています。

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4.肯定的な人間観をもつことができる

エグゼクティブコーチングによってこれまでの考え方や価値観が変わり、社員に対して肯定的な人間観をもって関わることができるようになります。
社員の失敗を良くないことだと感じていた経営者が、エグゼクティブコーチングを経て「失敗は挑戦の証」だと考えられれば、失敗した社員にも寛容になり「次はどのように行動したら良いか」など肯定的な見方ができます。
その結果、社員は臆さずにさらに挑戦を続けられます。人は行動と振り返りを繰り返して少しずつ成長していくものであり、そのサイクルを回していくことで即戦力を育成できます。
エグゼクティブコーチングを受けることが、社員の成長にもつながります。

参考記事:「成功循環モデル」とは? 注目を集める背景や成功のポイントを解説

エグゼクティブコーチングの料金

エグゼクティブコーチングの料金

エグゼクティブコーチングの料金相場は、1回1時間あたり3~10万円ほどと幅があります。経営者を対象にしたコーチングでは、扱うテーマが高度であること、能力の高いコーチをアサインする必要があることなどから、一般的なコーチングよりも料金が高く設定されています。

参考:「PHPエグゼクティブ・コーチング」の料金はこちら

エグゼクティブコーチングの流れ

エグゼクティブコーチングは、経営者や経営幹部候補者に多くの効果をもたらしてくれます。
どのような流れで進めるのかを見ていきましょう。

  • 意思確認と事前ヒアリングを実施する
  • 優秀なコーチを選定する
  • エグゼクティブコーチングを実施する
  • エグゼクティブコーチングを振り返る

1.意思確認と事前ヒアリングを実施する

エグゼクティブコーチングは、経営者自身の意思が重要です。コーチングを受け入れる気持ちがないと、いくら優秀なコーチが担当したとしてもその効果は期待できません。
エグゼクティブコーチングを受けることでどんな変化をもたらしたいのか、目的を事前に明らかにしておくと良いでしょう。
目的やゴールを事前に自分自身で確認し、コーチに伝えておくとスムーズです。

優秀なコーチを選定する

エグゼクティブコーチングに適した優秀なコーチを選定します。一般的なコーチングよりも高度な内容を扱うため、専門のトレーニングを受けた経験豊富なコーチを探しましょう。相性やビジネスの専門領域などを考慮しながら選ぶことが大切です。
しかし、実際にエグゼクティブコーチングを受けるのは経営者本人であるため、会社として契約する場合であっても、本人の承諾なしにコーチを選定するのは良くないでしょう。ミスマッチを防ぐためにも、最終的に本人の確認を経てから契約することが大切です。

「PHPエグゼクティブ・コーチング」では、「PHPビジネスコーチ養成講座」の修了生1,200名のうち、トップ30にランクされる「PHP認定エグゼクティブ・コーチ」が、卓越したスキルを駆使しながら、深い気づきを提供します。

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エグゼクティブコーチングを実施する

次に、実際にエグゼクティブコーチングを実施します。コーチとの信頼関係を築くために、心を開いて対話します。コーチも、経営者の様子を見ながら話すテーマや時間などリードしていきます。
成果獲得をいきなり目指すのではなく、ゴールまでに達成すべきことを経営者と共に確認しながら、無理なく進めていきます。

エグゼクティブコーチングを振り返る

エグゼクティブコーチングが終了したら、成果の確認と振り返りをします。エグゼクティブコーチングを依頼した会社によっては、成果を報告するレポートを提出してくれることもあります。
また経営者が期間中に当初の目標を達成できたとしても、定着するまでに時間がかかることも少なくありません。場合によってはエグゼクティブコーチングを継続したり、しばらくは経営者が支援を受けられる環境を整えておきましょう。

エグゼクティブコーチの選び方 3つのポイント

エグゼクティブコーチの選び方 3つのポイント

エグゼクティブコーチングを実施するにあたって重要になるのが、コーチの選び方です。単に資格や経歴だけで選んでしまうと、期待したような効果が得られない可能性があります。コーチの選び方には、次のようなポイントがあります。

  • ビジネスや経営経験が豊富である
  • 高いコミュニケーション力で経営者のやる気を引き出すことができる
  • 資格や経歴だけで選ばない

1.ビジネスや経営経験が豊富である

コーチを選ぶときは、ビジネスや経営において経験豊富な人材を選定するのがおすすめです。ビジネスや経営について一定の知見がなければ、経営者の悩みを理解し、共感することが難しくなってしまいます。 ビジネス経験のあるコーチは、課題に直面した際の乗り越え方や考え方も熟知しているため、あらゆる悩みを抱える経営者を支援してくれます。

2.高いコミュニケーション力で経営者のやる気を引き出すことができる

単に経営者の悩みを聞くだけではエグゼクティブコーチングとは言えません。経営者の話のなかから、経営者自身が思い描くゴールを明確にし、いかに具体的な行動プランを立てるかが重要になります。
行動プランを立てる上では、具体的な数値や期間、達成可能度などを確かめます。経営者がやる気に満ち、自ら行動を起こしたくなるようなプラン作成を支援し、動機付けができる力量を持つコーチを選ぶのがおすすめです。

3.資格や経歴だけで選ばない

コーチを選ぶ際に、ともすれば資格や経歴を重視してしまいがちです。良いコーチであるかどうかは、資格や経歴だけでは測ることができません。華々しい資格や経歴があっても、傾聴しなかったり、一方的なアドバイスに終始してしまえば、経営者は安心してコーチングを受けることができないでしょう。
コーチは、経営者より年上であったり業界エキスパートであったりする必要はありません。深い学びを支援してくれる人を選びましょう。エグゼクティブコーチングを提供する会社によっては、事前ヒアリングを通して適切なコーチのマッチングをサポートしてくれる場合もありますので、積極的に活用しましょう。

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